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顔面が赤くなる“酒さ”ってどんな病気? 〜酒さが疑われる4つの症状とは〜

顔面が赤くなる“酒さ”ってどんな病気? 〜酒さが疑われる4つの症状とは〜

東北大学大学院 医学系研究科・医学部 皮膚科 准教授、東北大学病院 皮膚科 副科長

山﨑 研志 先生

目次
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酒さとは、頬や鼻、額などの顔面が赤くなる病気で、成人の女性に多いといわれています。このような症状が慢性的に持続することによって、QOL(生活の質)が著しく低下する恐れもあります。酒さは治療を受けることで数か月ほどで改善することもあれば、なかには年単位で治療が必要なケースもあるとされています。

本記事では、酒さとはどのような病気なのかを詳しく解説します。

酒さの主な症状は以下の4つです。これらの症状のうち1つ以上の症状が見られる場合、酒さを疑います。

  • 一時的に顔面が赤くなる(一過性顔面潮紅)
  • 持続的に顔面に赤みが見られる(持続性紅斑)
  • 丘疹(きゅうしん)(小さな盛り上がり)や膿疱(のうほう)が溜まったもの)が見られる
  • 毛細血管拡張

また、上記のような主症状に伴い、以下のような副症状が見られることもあります。

  • ほてり、熱感、刺すようなヒリヒリ感
  • 盛り上がった赤い皮疹(紅色局面)
  • 乾燥
  • 浮腫(むくみ)
  • 眼の症状
  • 顔面以外の末梢(まっしょう)で酒さの主症状が見られる
  • 瘤腫(りゅうしゅ)(皮膚のしこり)様変化

酒さは、どのような症状が顕著に見られるかによって以下の4型に分類されます。

紅斑毛細血管拡張型酒さ

顔面が赤くなり、毛細血管の拡張を認めます。

丘疹膿疱型酒さ

主に、にきびのような丘疹や膿疱が見られます。

鼻瘤、瘤腫型酒さ

鼻が盛り上がる鼻瘤(びりゅう)が見られます。鼻の変形や拡大が生じたり、鼻部の皮膚が肥厚したりします。また皮脂腺が増大して、皮脂の分泌が過剰になったりします。

眼型酒さ

結膜の充血、眼球の異物感や熱感、瘙痒(そうよう)かゆみ)、乾燥、羞明感(しゅうめいかん)(まぶしく見える)などの目の症状が見られます。

酒さの発症原因は明らかではありません。ただし、酒さの症状を悪化させる要因として、以下のようなものがあることが分かっています。

  • 気温の変化(寒暖差)
  • 日光(紫外線)の照射
  • 乾燥
  • アルコールやカフェインの多量摂取
  • 香辛料のきいた刺激物の摂取
  • 精神的な緊張

など

酒さの治療を行ううえでは、酒さと似た症状が現れる他の病気との鑑別が重要です。

鑑別が必要な代表的な病気は、接触皮膚炎花粉症・花粉性皮膚炎、光線過敏症脂漏性皮膚炎尋常性ざ瘡にきび)、毛包虫性皮膚炎などが挙げられます。また、これらと比べて発症頻度は高くないものの、見逃してはいけない病気に、全身性エリテマトーデス皮膚筋炎などの膠原病(こうげんびょう)、好酸球性毛包炎、顔面播種状粟粒性狼瘡(がんめんはしゅじょうぞくりゅうせいろうそう)などがあります。

また、これらの病気は、酒さと同時に発症しやすい病気でもあるため、これらの病気を合併していないかについても確認する必要があります。

酒さの治療では、まず日々の生活の中で症状を悪化させる要因を取り除くことを心がけていただいたうえで、症状に合わせた薬物治療や理学療法を行います。

生活指導

先述したように、気温の変化、日光の照射、乾燥といった外的な刺激は、酒さの症状を悪化させる要因です。そのため、これらの刺激を回避することが症状改善のために重要です。

具体的には、紫外線を予防するためにサンスクリーン剤(日焼け止め)や日傘の使用を促したり、肌の乾燥を防ぐために保湿を中心としたスキンケアを推奨したりします。また、アルコールやカフェイン、香辛料のきいた刺激物も酒さを悪化させる要因となるため、これらを避けるよう指導します。

薬物治療

生活指導を行ったうえで、症状に合わせて外用薬や内服薬を選択します。ただし、日本において酒さに対して保険適用となっている薬剤は数少なく、自由診療として保険適用外の薬剤を使用しながら薬物治療を進めていくのが現状です(2020年8月時点)。

外用薬として主に使用されるのは、メトロニダゾールゲル、タクロリムス軟膏で、いずれも現時点では保険適用外です。保険適用となっている薬剤として、イオウ・カンフルローションが処方されることもあります。内服治療では、丘疹膿疱型酒さに対してドキシサイクリンやミノサイクリン塩酸塩といった抗菌薬の内服の有用性が証明されています。

理学療法

紅斑毛細血管拡張型酒さに対しては、理学療法としてパルス色素レーザー治療とI P L(Intense Pulsed Light)が有効とされています。ただし2020年8月時点では保険適用外の治療です。

酒さは、長年にわたり症状に悩まされる人もいます。なかには、鼻瘤によって鼻の変形や拡大を伴ったり、結膜炎を生じたりすることもあり、QOLを著しく低下させてしまう場合もあります。しかし、専門医による診断・治療を受けることで、症状の改善が期待できるため、気になる症状がある場合にはためらわずに皮膚科を受診しましょう。

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  • 東北大学大学院 医学系研究科・医学部 皮膚科 准教授、東北大学病院 皮膚科 副科長

    山﨑 研志 先生

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