院長インタビュー

すべての人に安心を届ける“病院らしくない病院”、牧田総合病院

すべての人に安心を届ける“病院らしくない病院”、牧田総合病院
荒井 好範 先生

社会医療法人財団仁医会 牧田総合病院 理事長

荒井 好範 先生

目次
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東京都大田区にある牧田総合病院は、2021年に同区の大森から蒲田に新築移転した急性期の病院です。移転を機にさまざまな意味で“病院らしくない病院”へと生まれ変わり、すでに蒲田で大きな存在感を示している同院の地域における同院の地域での役割や今後ついて、理事長である荒井 好範先生に伺いました。

当院は大田区大森で1942年に開業した“牧田医院”を母体としています。その後は徐々に病床数を増やし、1972年には284床を持つ、急性期の患者さんも受け入れる総合病院になりました。2021年には隣駅の蒲田駅から徒歩5分、都内の大動脈である環状八号線沿いに新築移転し、290床を擁する急性期病院として新たなスタートを切っています。

当院がある蒲田は、東京都の2次医療圏でいうと品川区・大田区を含む“区南部医療圏”になります。この地域はまだまだ人口が増え続けており、高齢化が進行しているもののお子さんの数も増えているのが特徴で、とくに急性期病院にはさまざまな疾患に対応できる機能が求められます。当院は、蒲田より南に大きな急性期病院がないこと、大動脈の環状八号線に面していることから、蒲田以南の2次救急(入院や手術を要する重症患者への救急医療)の中核的な役割を担っています。

牧田総合病院外観(牧田総合病院ご提供)

救急においては24時間365日、状況が許す限り断らないことを目標とし、脳神経疾患(脳卒中、頭部外傷など)、整形外科疾患を中心に、ほぼすべての救急疾患の受け入れを行っています。とくに脳卒中では治療成績を大幅に向上させる脳卒中専用集中治療室(SCU)を、都内の病院のなかでもかなり多い数である12床も設置しており、脳卒中協会から大田区で唯一の“一次脳卒中センター(PSC)コア施設”に認定されています。当院にいらっしゃった脳卒中の患者さんは、回復期や慢性期になったら蒲田にある関連病院の「牧田リハビリテーション病院」にて、当院との密接な連携の下で再発予防までを見据えた治療を一貫して受けていただくことができる点も大きな強みだと考えています。

(牧田総合病院ご提供)

移転前から当院の強みであった整形外科では、関節症、手外科など幅広い疾患に対応しています。人工関節置換術では、膝関節のスペシャリストである東京慈恵会医科大学整形外科の齋藤充教授、股関節のスペシャリストである同藤井英紀准教授が非常勤で治療に当たっています。手外科では、平出 周副院長を中心に、症例の豊富な手外科専門医(日本手外科学会認定)が切断された指の血管や神経の縫合など専門的な治療を行っており、大田区や品川区以外の区や神奈川県からも患者さんがいらっしゃっています。当院の手外科のレベルの高さは、専門医の育成を行う「手外科基幹研修病院」に指定されていることからもお分かりいただけると思います。

脊椎脊髄の病気については、整形外科と脳神経外科の両科の協力による脊椎脊髄疾患治療を日本で切り開いてきた福井康之医師、朝本俊司医師が当院で治療を行っていて、側弯症のスペシャリストある石川雅之医師がチームに加わり、外傷、腫瘍、側弯症といった脊椎脊髄のほぼすべての疾患を治療の対象にしており、都内だけでなく全国から患者さんが当院へいらっしゃっています。

移転後は産科が少ないという地域の医療ニーズに応え、とくに周産期医療(妊娠22週から生後満7日未満までの周産期の期間、母体、胎児、新生児を総合的に連続的に取り扱う医療)に力を入れています。さらには子宮筋腫を始めとする婦人科の病気の治療にも注力しており、この地域のお母さんにいっそう頼っていただける存在になりたいと考えています。

また、当院では高気圧酸素治療にも力を入れており、現在4台の第1種高気圧酸素治療装置で治療を行っています。この装置は酸素が不足した組織に酸素を行き渡らせるもので、当院の高気圧酸素治療センターで突発性難聴・放射線障害・スポーツ外傷・腸閉塞・骨髄炎など幅広い病気に対し治療を行っています。

高気圧酸素治療センター(牧田総合病院ご提供)

大森から蒲田に移転をする際に考えたのは、新しい病院を“病院らしくない病院”にしたいということでした。そのため、デザインは病院然としたものではなく、明るい現代的なデザインにこだわっています。具体的には、日差しがたくさん入る窓を多用したり、外来では診療科名は表示せず、を出さず番号で案内するようにしたり、壁への貼り紙による雑然とした掲示物をなくしたりしました。その結果、患者さんからは「きれい」「落ち着く」といった嬉しい声をいただいたほか、職場環境が改善したことで職員のモチベーションも向上し、病院の雰囲気がとても明るくなったと感じています。

エントランス
“病院らしくない”待合室(牧田総合病院ご提供)

また、当院は治療のためだけに訪れるのではなく、誰もが気軽に来ることができる場所になることも目指しています。院内に200人を収容できる“くすのきホール”という多目的ホールを作り、無償でこの地域にお住まいの方に使っていただけるようにしました。先日は近くの保育園のお子さんたちが演奏会を行い、病院らしくないとてもにぎやかな盛り上がりとなりました。ホール名の“くすのき”は大田区の木です。このホールは大田区の皆さんにたくさん使っていただき、この地域をより明るく変えられたらと思っています。
さらに病院の外には、蒲田駅の方向を示す案内版を設置しました。駅までの道案内は病院の仕事ではありませんが、このような取り組みを通して皆さんのお役に立ち、当院に親近感を持っていただけたら嬉しいです。

くすのきホール
くすのきホール(牧田総合病院ご提供)

我々は「すべての人に安心を」というビジョンを掲げ、指針としています。

その達成のために、すべての診療科が“きちんとした医療”を提供できるよう、一定以上のレベルを持った医師を揃え、機器も新しいものを入れました。救急においては「断らない救急」を掲げており、今後は年間1万台の救急車を受け入れたいと思っています。また、当院は“センター”を多く設置していますが、診療科の垣根を超えて治療に当たるセンターが多いことは当院の風通しの良さの現れであり、患者さんの安心感につながると期待しています。

さらにいえば、「すべての人」には当院の職員も含んでいます。そこで、たとえば職員専用レストランを広く明るい雰囲気にし、提供するメニューも美味しさや種類にこだわって提供しています。これらの取り組みを通じて、すべての人に安心をというビジョンの実現に多少なりとも近づけたらよいなと思っています。

当院が大森から蒲田に移ってきてまだ3年足らずですが、以前からここに牧田リハビリテーション病院があったため地元の医師会の先生方とはよい関係を築けており、たくさんの患者さんを紹介いただいています。これからも地域の患者さんをかかりつけの先生と一緒に診て地域の皆さんに尽くし、皆さんから信頼される病院でありたいと考えています。

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  • 社会医療法人財団仁医会 牧田総合病院 理事長

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