原因
三尖弁閉鎖不全症の原因は、主に一次性と二次性の2つに分類されます。一次性は三尖弁の構造自体に問題がある場合で、二次性はほかの要因によって三尖弁の機能が影響を受けている場合を指します。三尖弁閉鎖不全症では二次性のほうが圧倒的に多くみられます。
一次性
一次性の三尖弁閉鎖不全症は、三尖弁そのものに異常がある場合に発生します。具体的な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 炎症による弁の変形……リウマチ熱
- 感染症による弁の損傷……感染性心内膜炎
- 先天性の弁の異常……エプスタイン病、三尖弁逸脱症
- 全身性疾患の影響……カルチノイド症候群、マルファン症候群
- 外的要因……外傷、放射線治療の影響
など
これらの要因により、三尖弁の構造が変化し、本来の機能を果たせなくなることで閉鎖不全が生じます。
二次性
二次性の三尖弁閉鎖不全症は、三尖弁自体には直接的な異常がなくても、ほかの心臓や肺の病気によって引き起こされます。主な原因には以下のようなものがあります。
- 僧帽弁閉鎖不全症などのほかの弁膜症の悪化や肺高血圧症*などによる二次的な右心室の負担増加
- 心房中隔欠損症や心室中隔欠損症などの先天性心疾患による、二次的な右心室の負担増加
- 心臓の血管が血栓(血の塊)で詰まる心筋梗塞によって右心室の動きが悪くなる
- ベースメーカーのリード(電線)による三尖弁の開閉障害
など
これらの要因により閉鎖不全を引き起こします。右心室に過度の負担がかかることで、正常な構造の三尖弁でも適切に閉じることができなくなることが主な原因です。
*肺高血圧症:心臓から肺へ血液を送る肺動脈の血圧(肺動脈圧)が異常に高くなる病気。
この記事は参考になりましたか?
この記事や、メディカルノートのサイトについてご意見があればお書きください。今後の記事作りの参考にさせていただきます。
なお、こちらで頂いたご意見への返信はおこなっておりません。医療相談をご要望の方はこちらからどうぞ。
「三尖弁閉鎖不全症」を登録すると、新着の情報をお知らせします