治療
上咽頭がんは、頭頸部に生じるがんであり頭頸部がんの一種類です。「頭頸部」には、話をする、飲み込むなど日常生活に不可欠な機能があるほか、常に他者の目にふれるため容姿にも深く関わる場所です。したがって、この場所に起きたがんの治療を考慮する際、患者さんの生活の質をいかに担保するかという視点が重要になります。
また、上咽頭がんは脳神経とも近接しており、治療に際してはいかに機能を温存するかという視点も重要視されます。構造的な複雑さをさらに高め、手術的なアプローチがより困難なものとなっています。
以上の観点から、上咽頭がんの治療では放射線療法を中心に行われます。遠隔転移がある場合などには、抗がん剤の全身投与も選択されます。放射線療法と化学療法の投与方法としては、相互のタイミングをどのようにするかについては個々の状況を見て判断されます。
手術療法を行う場合もとても高い技術が求められます。手術は、頭蓋骨を切る、顔面の骨を切るなどの作業から始まり、脳に近い部分にあるがん細胞や顔の重要な神経のある場所の腫瘍を慎重に切除しなければならず、さらにこの領域は出血も非常に多いため、十数時間に及びます。技術も必要としますし、その十数時間の手術に対応できるドクターやナースの力も不可欠のため、非常に困難な治療といえます。
- 頭頸部がんに対する新たな治療法――ピンポイントでがん細胞を破壊するBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)とは?大阪医科薬科大学 関西BNCT共同医療セ...粟飯原 輝人 先生
口腔(こうくう)がんや咽頭(いんとう)がん、喉頭(こうとう)がんなどが含まれる頭頸部(とうけいぶ)がん。その主な治療法には、手術、放射線治療、...続きを読む
- 2020年6月より新たに登場したBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)とは? 正常細胞への影響を抑えながら、がん細胞をピンポイントで破壊する放射線治療を解説南東北BNCT研究センター 診療所長、弘...廣瀬 勝己 先生
がんの治療法の1つである放射線治療。従来の放射線治療では、程度に差はありますが、がん細胞だけでなく正常組織にも放射線によるダメージが及ぶことが...続きを読む
- 咽頭がんと喉頭がんの治療・手術ー経口的咽頭切除(ELPS)とは?東京医科歯科大学 医学部 頭頸部外科学講...朝蔭 孝宏 先生
頭頸部のなかでも、下咽頭、喉頭は、のどの奥にあるため口を開けただけでは見ることができません。そこに発症する咽頭がんの手術は、従来は喉の外側を切...続きを読む
- 咽頭がんの導入化学療法を用いた低侵襲治療東京医科歯科大学 医学部 頭頸部外科学講...朝蔭 孝宏 先生
従来用いられていた抗がん剤治療と放射線治療を同時併用する方法は、患者さんの負担が非常に大きいものでした。治療中の副作用も大きく、もし再発した場...続きを読む
医師の方へ
「上咽頭がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします