ていなとりうむけっしょう

低ナトリウム血症

最終更新日
2021年11月30日
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2021/11/30
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

低ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム濃度が低い状態のことです。健康な人では腎臓が尿の排泄量を調節することで、体内で一定の濃度が保たれていますが、何らかの原因で水分とナトリウム量のバランスが崩れると、体内の水分量に対してナトリウムの量が少ない状態になります。

ナトリウムは体内の浸透圧を調節したり、神経や筋肉を正しく機能させたりする役割をもっています。体内のナトリウム濃度が下がると軽い疲労感がみられはじめ、重症化するとけいれんを起こしたり、昏睡状態(こんすいじょうたい)に陥ったりすることもあります。

低ナトリウム血症を引き起こす原因にはさまざまなものがあり、ホルモン分泌異常や腎疾患、心疾患などがあります。低ナトリウム血症がみられた場合は体の水分量とナトリウム量のバランスなどから考えられる原因を特定します。

低ナトリウム血症は腎機能が低下する高齢者でよくみられます。ただし、下痢や嘔吐、多量に汗をかいたときに水分を補給しようと水のみを摂取することなどでも低ナトリウム血症を引き起こすことがあり、若い人でも起こり得る病気です。

原因

低ナトリウム血症は血管内の水分量(細胞外液量)に対して、血管内のナトリウム量が少なくなる状態です。細胞外液量とナトリウム量のバランスがどのように変化しているかによって3つのタイプに分けられ、考えられる原因が異なります。

細胞外液が少ないタイプ

体内の水分とナトリウムが共に失われていますが、水分よりもナトリウムの減少量が大きいために低ナトリウム血症を発症している状態です。強い嘔吐や下痢、ある種の利尿薬の使用などが原因となっています。

細胞外液が正常な場合

抗利尿ホルモンと呼ばれる、体内の水分量を調節するホルモンの分泌異常が原因のときにみられる特徴です。抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)と呼ばれる病気が原因であることが多く、腫瘍(しゅよう)や炎症、脳疾患やある種の精神病薬や抗がん剤、胃薬などで引き起こされる可能性があります。

細胞外液が過剰な場合

ネフローゼ症候群腎不全肝硬変心不全などでよくみられる特徴で、多量の水分が体内に保持されるため、ナトリウム濃度が低下します。

症状

低ナトリウム血症の症状は、ナトリウム減少の程度と減少のスピードによって異なります。程度が軽い場合は無症状なことが多く、まず軽い疲労感がみられはじめます。さらにナトリウムが減ると頭痛、嘔吐、食欲不振、精神症状がみられるようになり、重症になると昏睡やけいれんが起こり、早急な対処が必要になります。

また、低ナトリウム血症の原因によっては、原因疾患による症状がみられることがあります。たとえば、心不全肝硬変、腎疾患などの病気では細胞外液量が増加するためむくみがみられます。

検査・診断

低ナトリウム血症は、血液検査で血中のナトリウム濃度を調べることで分かります。診断基準は検査を受ける医療機関によっても異なりますが、一般的には血清ナトリウム濃度が135mEq/L未満のときに低ナトリウム血症と診断されます。

低ナトリウム血症はさまざまな病気によって引き起こされますが、原因を特定することは簡単ではなく、ほかの症状や服用している薬など患者さんからの聞き取り内容や、細胞外液量と尿中ナトリウム濃度のパターンから考えられる病気を推測します。

細胞外液量と尿中ナトリウム濃度のパターンから推測される主な原因は以下のとおりです。

  • 細胞外液量が増加している場合:心不全肝硬変腎不全ネフローゼ症候群
  • 細胞外液量が正常な場合:抗利尿ホルモン分泌不全症候群(SIADH)、甲状腺機能低下症、副腎不全
  • 細胞外液量が減少している場合:嘔吐、下痢、やけど(尿中ナトリウム濃度が低いとき)、塩類喪失性腎症、低アルドステロン症、一部の降圧薬や利尿薬(尿中ナトリウム濃度が高いとき)

治療

低ナトリウム血症の症状が軽い場合、または無症状の場合は、低ナトリウム血症の病態に合わせて対処することで回復します。

細胞外液量が正常か、増加しているタイプの低ナトリウム血症に対しては、水分の摂取量を制限します。それに加え、細胞外液量が増加している場合はナトリウムの制限、利尿薬が原因になっている場合は使用量の減量や薬の中止を行います。細胞外液量が減少しているタイプの低ナトリウム血症に対しては、病態に応じて生理食塩水や高たんぱく食、高塩分食によるナトリウムの補充、副腎のはたらきを改善するステロイド剤などを使用します。

上記の治療だけでは不十分な場合は、ナトリウム溶液の点滴投与や、体の水分の排出を促すための利尿薬を使用することもあります。ナトリウムの投与スピードが速いと浸透圧性脱髄症候群と呼ばれる症状が現れることもあるため、数日間にわたってゆっくりとナトリウムの補正を行います。

低ナトリウム血症の程度が大きい場合は脳に重篤な影響を及ぼすこともあるため、直ちにナトリウムを補充する必要があります。ただし、この場合も急激にナトリウム濃度を上げすぎることで脳に影響を及ぼすことがあるため、低ナトリウム血症の症状を観察しながら慎重にナトリウムを投与します。

予防

低ナトリウム血症は、基本的には腎臓での調整が困難な腎機能障害や高齢者などでの発症が多いですが、健康な人でも大量に汗をかいた場合などに、一度に大量の水を摂取することで発症する可能性があります。汗には水分と共にナトリウムが含まれており、大量に発汗してナトリウムがなくなったときに水だけを飲むと、体内のナトリウム濃度が薄まってしまうためです。

そのため、夏場やスポーツをする時などに大量に汗をかく場合は、水分だけではなく塩分も同時に摂取することが大切です。日本スポーツ協会では、熱中症予防のために0.1~0.2%の食塩と糖質を含んだ飲み物を摂取することを推奨しています。1Lの水にティースプーン半分の食塩と角砂糖をいくつか溶かすことで簡単に作ることができますので、大量に汗をかいたときの水分補給に役立ててみるとよいでしょう。また、降圧薬や利尿薬、抗うつ薬などを飲んでいる人、腫瘍や脳疾患の既往がある人は、食事の摂取不良や体調不良により低ナトリウム血症を容易に発症しやすい状況にあります。体調不良が続いた際にはかかりつけの医師に相談するようにしましょう。

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