医療技術の進歩で妊娠中からの診断が可能となった口唇裂・口蓋裂は、手術や治療においても限りなく良い状態まで治すことが可能となりました。とはいえ、ご家族の心配は尽きることがないでしょう。安心して手術を受けられるようにするためには、知識を得て、準備を整えることが大切です。この記事では、川崎医科大学附属病院「口唇裂・口蓋裂ケアチーム」の資料をもとに、口唇裂・口蓋裂の形成術についてご説明します。
口唇裂(こうしんれつ)の形成術は、一般的に体重6キロを目安にした生後3ヵ月頃に全身麻酔で行われます。手術後は「細口哺食器」で哺乳するので母子ともに慣れておくことが必要です。生後2ヵ月を過ぎたら、お子さまが眠くてミルクを欲しがるときや、機嫌の良いときから少しずつ始めて練習しておきましょう。
また、手術後の約1ヵ月は、赤ちゃんが傷口を手で触れたり、指吸いなどで傷口が開かないように、手作りした「安全帯(腕輪)」を使用します。スムーズに使えるよう、手術前から練習しておきましょう。汚れた際の予備もご用意ください。作り方・装着方法は後述いたします。
生後から手術(口唇裂の形成術)までは直接授乳やP型哺乳器で哺乳し、手術後は吸い口が細くて出る量も調節できる「細口哺食器」を使用します。使用の目的は、手術で縫い合わせたところが「吸う」ことにより引っ張られ、創部(そうぶ・皮膚にできた傷跡)に悪影響を与えるからです。「細口哺食器」は手術後約1ヵ月使用する必要があります。先端が柔らかく、傷つくこともあるので、数本は準備しておきましょう。
手術後は痛みや違和感、点滴などの影響で一時的に飲みが悪くなることがあります。また、慣れるまでは、お子さまがぐずったり、むせやすくなるかもしれませんが、気長に行ってください。
口唇裂の手術後は、傷口を“テープとスポンジまたはハイドロコロイド粘着プレート(ピタシート®)”で保護します。退院する際に医師や看護師さんに説明を受けてください。
口蓋裂(こうがいれつ)の形成術は、一般的に1歳6ヵ月頃に全身麻酔で行われます。お子さまの手が、傷のある口の中に入らないように、手術後約1ヵ月は安全帯(腕輪)の使用が必要です。手術前に安全帯の準備と装着の練習を行い、日頃から指吸いの癖がつかないよう気を付けておきましょう。
口蓋裂の手術後は、傷の痛みや嚥下痛(えんげつう・飲み込むときに起こる違和感や痛み)が強いので、点滴の期間が長くなります。食事は流動食からはじまり、お粥へと変えていきますが、お菓子・果物・硬いものは禁止です。当分の間はプラスティックのスプーンで家族が食べさせてあげてください。食事の終わりにお茶を飲ませ、お口を清潔に保ちましょう。
手術後に約1ヵ月使用する「安全帯(腕輪)」は、以下の材料で作ります。口唇裂・口蓋裂、どちらの手術あとにも使用するので、お子さまの成長に応じサイズを合わせていく必要があります。
<安全帯(腕輪)のつくり方と装着方法>
川崎医科大学 医学部 臨床医学 元形成外科学教授
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