概要
咽後とは、食道(喉の食事が通過する部分)と椎体(背骨)の間に挟まれるスペースのことです。その部位に細菌感染が起こり、その結果、膿が溜まることを咽後膿瘍と呼びます。咽後は、頭蓋骨の付け根から横隔膜までの縦に長くつながっており、感染症が急速に広がるため、重症になる可能性もあります。
原因
一般的には、上気道(喉や耳などの)感染症にかかりやすい3~5歳前後の小児に発症することが多く、咽頭炎、扁桃炎、副鼻腔炎、歯科感染症からの合併症として、また、外傷や異物誤嚥に続いて罹患します。また、成人で発症する場合には、感染症にかかりやすい糖尿病の患者さんは罹患しやすいといわれています。
症状
上記に記載した通り、上気道感染症(咽頭炎、扁桃炎、副鼻腔炎など)に引き続き発症する可能性が高いので、各病気の症状がはじめに出ます。たとえば、
- 発熱
- 咽頭痛
などです。その後、咽後膿瘍を発症した場合には以下の症状が出現します。
- 首の痛み:首を曲げたりするときに痛みが出現する。
- 開口障害:口を大きく開けることが困難になる。
- 嚥下障害:のどの痛みが強く、飲み物や水分を飲み込むことが困難となる。
- 呼吸困難:症状が進行すると膿瘍が大きくなり、空気の通り道である気道が、圧迫される症状が出現します。
また、症状を正確に訴えることができない子どもは
- 耳をよく触る
- 機嫌が悪い
- 元気がない
- 食欲がない
などの症状が現れることが多いです。
検査・診断
医師の診察にて以下の初見が確認されます。
- 扁桃腺(のどの奥にある)の腫れ
- 首自体が腫れる・太くなる
- 頸部リンパ節腫脹(首の付け根に数センチのゴリゴリした円状の塊を触れる)
などがありますが、確定診断では、造影CTによって膿瘍が確認されます。似たような症状が出現する病気は下記です。
以上の病気と鑑別するための、喉頭ファイバー検査や髄液検査なども行うことがあります。
治療
緊急性がある場合
症状が進行し膿瘍が大きくなると、空気の通り道である気道が圧迫され呼吸困難が生じます。その場合には、気管挿管(口からチューブを入れること)もしくは、気管切開(のど切開して、管を入れる)を行わなくてはいけません。特に乳幼児では気道が狭いため、緊急性が高いです。
緊急性がない場合
緊急性がない場合でも、入院による治療は必須で、点滴での抗菌薬治療などを行います。また、膿を直接取り出すための手術が必要なことがあります。
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