インタビュー

子どもの熱中症-自宅でできる処置・対処法とは?

子どもの熱中症-自宅でできる処置・対処法とは?
萩原 佑亮 先生

東京都立小児総合医療センター 救命救急科 医長

萩原 佑亮 先生

この記事の最終更新は2017年10月18日です。

子どもが熱中症で体調不良を訴えている場合に、すぐに病院に行くべきなのか、それとも家でしばらく様子をみるべきなのか悩まれる方も多くいるのではないでしょうか。熱中症には自宅対処で十分なケースもあります。引き続き東京都立小児総合医療センターの萩原佑亮(はぎわら ゆうすけ)先生に解説していただきます。

重症のケースを除けば、家庭での適切な対処で熱中症の症状は改善します。熱中症の場合、

  • からだを冷やす
  • ゆっくり休ませる
  • 水分補給をする

以上が主な対処法になります。軽度の熱中症の場合、これらを行うだけで、症状はずいぶん改善するはずです。

涼しい場所に避難し、熱くなったからだを冷やすようにしましょう。できればクーラーの効いた部屋などが望ましいです。また、水で絞ったタオルを首の両脇、脇の下、大腿の付け根に当てるなども効果があります。

冷やす部位

衣服を脱がし、子どもが楽な体勢でゆっくり休ませましょう。

スポーツドリンクや経口補水液に絶対的にこだわる必要はなく、基本、子どもが飲みたいといったものを飲ませて構いません。重要な点は水分を補給させることです。少し薄めたリンゴジュースが飲めるようであれば、それを飲ませるのもよいといわれています。

熱を下げようと解熱剤を使用しても、熱中症の場合、熱は下がりません。涼しい場所で、体を冷やし、ゆっくり休ませることで自然と熱は引いていきます。

子どもが頭痛を訴えている場合には、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛剤(発熱がみられる際に処方されている薬)を使用すれば頭痛の症状を緩和することができます。

子どもが熱中症になった場合や汗をよくかいた日は、ミネラルと塩分の補給が大切です。ミネラルや塩分が補えるメニューにするとよいでしょう。

麦茶にはカリウムなどミネラルが含まれています。麦茶なら子どもも飲みやすく、食事の際など、麦茶を普段より多めに飲むようにするとよいでしょう。

味噌には塩分とミネラルが多く含まれています。子どもが熱中症にかかった場合や汗をよくかいた日は、食事にみそ汁を添えてあげるとよいでしょう。

症状がよくなったら普通の食事に切り替えても問題ありません。念のため、意識して麦茶やみそ汁をだすのもよいでしょう。

症状が軽度であれば、病院を受診しても、先ほど解説した家庭で行える対処と変わりはありません。自力で水分補給できないケースには、点滴をして水分補給をすることがあります。

重症の熱中症の場合、集中治療が必要になります。重症化してしまうと、臓器不全が起きることもあります。腎不全や肝不全の症状がみられた場合、気管挿管(きかんそうかん:鼻または口から気管チューブを挿入し気道を確保する方法)・人工呼吸器管理(じんこうこきゅうきかんり:人工呼吸器による呼吸管理)、点滴治療、血液透析など症状にあわせた対症療法で臓器不全の治療を行います。

 

FAQ:「子どもが熱中症になったらどのような対処をすればいいでしょうか。また、どういう場合、医療機関にいくべきですか?」

  • 涼しい場所に移動
  • ゆっくり休憩
  • 水分補給

子どもが飲めるものを飲ませて、スポーツドリンクや経口補水液にこだわらなくてもよいです。

・意識がない、痙攣しているなど、一目で様子がおかしいと判断できるような場合には重症である可能性があります。救急車を呼ぶなりして、急いで近くの医療機関に行くようにしましょう。

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