インタビュー

完全には予防が難しい子どもの熱中症─どのような対策が有効か

完全には予防が難しい子どもの熱中症─どのような対策が有効か
萩原 佑亮 先生

東京都立小児総合医療センター 救命救急科 医長

萩原 佑亮 先生

この記事の最終更新は2017年10月16日です。

暑い季節になるとお子さんに帽子をかぶらせ、涼しい格好で外出することが多くなります。暑い季節でもっとも気になる熱中症。子どもが熱中症にかからないよう予防したいところですが、毎年くる夏の時期にはどのような対策をしていけばよいのでしょうか。熱中症にならず、元気に夏を過ごすためには、対策が非常に重要だといいます。

熱中症の対策について今回は、東京都立小児総合医療センターの萩原佑亮(はぎわら ゆうすけ)先生に解説していただきました。

まず大前提として、おたふく風邪のような感染症と違い、熱中症は予防が難しいとされています。そのため、熱中症にならないための対策が非常に重要になります。

子どもは体質上、熱中症になりやすく、いくら対策しても時には熱中症になってしまいます。しかし、しっかりとした対策を行っておけば、熱中症にかかったとしても軽度の情報で留めることができます。

熱中症はときに生命に危険がおよびます。しっかりと対策して、最悪のケースを避けるようにしましょう。

熱中症の予防で牛乳を飲むと効果があるといわれていますが、牛乳を必ずしも飲まなければならないわけではありません。日本救急医学会が発行している熱中症診療ガイドライン2015にも記載はありますが、強い科学的根拠があるわけではありません。

水分補給が1番の目的なので子どもが牛乳を飲みたいといったなら牛乳で水分補給をしても問題ないということです。

そもそもヒトは常に体内で熱を作り続けます。これを体外に放出することで、体温を一定の範囲に保っています。体を動かしたり、熱いところにいたりすると、より多くの熱を放出する必要がありますが、それがうまく機能しないと熱中症になってしまうのです。

つまり、熱を体に溜め込みすぎることが熱中症のそもそも原因だといえます。

子どもは大人よりも熱中症になりやすいといわれていますが、それは大人より熱を溜め込みやすい体質だからです。

具体的には、下記の6つの理由があげられます。

  • 大人に比べて熱を体内で作りやすい
  • 暑い環境にいると、熱を吸収しやすい
  • からだが小さいので、血液の量が大人よりも少なく、手足まで広がっていきづらい
  • 汗腺(かんせん:汗をだす腺)が未発達で、体温調節がうまくできない
  • のどが渇いても自分から水分補給がしたいと申告しにくい
  • 大人と比べて暑さに順応することに時間がかかる

熱中症の対策にはいくつかの方法があります。最大限の対策をしておくことが望ましいでしょう。

脱水症状の予防はもっとも重要な熱中症対策です。こまめな水分補給を忘れないようにしてください。子どもは遊びに夢中になると、水分補給を忘れてしまいがちです。保護者の方や周囲の大人がしっかりと気にかけ、こまめに水分補給させるようにしてください。

直射日光は子どもの熱中症の大きな原因のひとつです。子どもに帽子をかぶらせ、頭部に日光が直接あたることを避けることが重要です。子どもはすぐに帽子を脱いでしまうことが多いので、こまめにチェックして帽子をきちんとかぶらせることが重要です。

もし、子どもが帽子を嫌がるようであれば「この帽子が頭を守ってくれるんだよ」と丁寧に説明することで子どもも納得しやすくなります。暑い日のお出掛けのときには帽子を被るという習慣が大切です。

熱が体内にこもることが熱中症のそもそもの原因です。風通しのよい服を着せ、なるべく体温調節が効くようにすることが大切です。

暑い日にはエアコンの使用を避ける必要はありません。また、エアコンを使用している際にはエアコンの風が直接当たることは避けるようにしてください。

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