症状
身体的基礎疾患が原因で発現する精神症状は基礎疾患にかかわらず、ある程度の共通性があるとされています。
急性期には意識障害を中心にせん妄、もうろう状態、アメンチア(軽度の意識混濁、思考の散乱のより周囲の状態が理解できず、まとまりのない行動を呈する)、幻覚を呈し、意識障害の改善後の慢性期には健忘症や認知機能障害、過敏情動性衰弱状態を呈します。
下垂体機能低下症
脳腫瘍などによるホルモン分泌低下に伴い精神的不活発、易疲労感、抑うつ、無関心、多幸、不安、焦燥感などが生じます。重篤な下垂体機能低下では意識障害を来し、これを下垂体昏睡と呼びます。
甲状腺機能亢進症
バセドウ病によるものが多いです。精神症状として不安、焦燥感、過度の緊張感などが出現します。甲状腺機能亢進による手指振戦や発汗、頻脈などの症状からパニック障害と誤診されやすいです。
精神症状としては躁症状が多いがです。うつ状態では幻覚妄想を来し、甲状腺クリーゼではせん妄を主とした意識障害を来すこともあります。
甲状腺機能亢進症
原発性、または二次性の副甲状腺ホルモンの分泌亢進による高カルシウム血症を来し、活動性の低下、無気力、不安、焦燥感、抑うつ時に幻覚妄想などの精神症状が出現することがあります。
副甲状腺機能低下症
副甲状腺ホルモンの分泌不全または作用障害による血清カルシウム濃度の低下を来し、テタニー、けいれん発作がしばしば見られるため、てんかんと誤診されることがあります。
精神症状としては抑うつ、不安、焦燥感などが出現します。
クッシング症候群
副腎皮質ホルモンの慢性過剰分泌によるものです。身体症状としては中心性肥満、高血圧、月経異常、皮膚線条、多毛症などがあります。精神症状では、抑うつ、焦燥感、不安、幻覚妄想など多彩です。特に抑うつが顕著で、希死念慮を生じることもあります。
SLE精神病
全身性エリテマトーデス(SLE)とは、全身の臓器に再燃と寛解を繰り返す慢性の炎症性疾患で多彩な症状を来します。中枢神経症状における精神症状の占める割合は大きく、急性錯乱状態(せん妄を主とする急性外因反応)、不安障害(不安、パニック状態、強迫観念)、認知機能障害、気分障害(抑うつ)、精神病症状(幻覚妄想など)が出現します。
ステロイド精神病
クッシング症候群と同様の病態を生じ、精神症状は不眠、躁状態、抑うつ状態、幻覚妄想、昏迷など多彩な症状を来します。ステロイドの大量投与で精神症状を来しやすくなります。
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