インタビュー

細菌性腟症の治療方法

細菌性腟症の治療方法
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2016年01月01日です。

細菌性腟症は、帯下(たいげ。「おりもの」のこと。)の臭いやグラム標本を用いたNugent法、炎症の所見などから総合的に診断されます。細菌性腟症と診断されると、どのような治療が行われるのでしょうか。国内における性感染症治療の第一人者である尾上泰彦先生に引き続き伺いました。

細菌性腟症の治療方法は腟錠(腟坐剤)を使用する局所療法と、薬の経口摂取による内服療法があります。

  • クロラムフェニコール
  • メトロニダゾール(保険適応外)

いずれかを1日1回1錠を後腟円蓋部に挿入します。これを6日間1クールとして治療を行います。 もしくは、クリンダマイシンを自家調整(保険適応外)して就寝前の挿腟を3~5日間続けます。このとき薬剤の効果を高めるために、治療初期には滅菌蒸留水もしくは生理食塩水で腟内を洗浄します。帯下の量が多い、もしくは臭いが強い時には、0.025%塩化ベンザルコニウム液、もしくは10%ポビドンヨード液で腟内の洗浄をすることがあります。

保険適応外となりますが、メトロニダゾール1回500mgを1日2回、7日間連続して服用する方法もあります。

細菌性腟症と早産流産には因果関係があるといわれているため、妊娠中の女性が細菌性腟症と診断された時には、積極的に治療を行うことが望ましいとされています。

妊娠中の女性に治療をする際には、ペニシリン薬のアンピシリン(ABPC)もしくはアモキシシリン(AMPC)2,000mgを1日4回に分けて、7日間服用すると効果を確認することもあります。しかし、これは効果が確立された方法ではないということに留意する必要があります。

萎縮性腟症は比較的高齢の女性にみられることが多く、細菌性腟症に準じた治療もしくはエストリオールや内服薬による治療が行われるのが一般的です。更年期症状が強くあらわれているときには、ホルモン補充療養のほかに漢方薬を使用する東洋医学的治療が併用されることもあります。

局所療法や内服療法による治療が終了したら、腟内容物の性状検査、グラム染色標本の観察などを観察、自他各所見から判定を行います。この治癒判定は薬物療法終了後から1ク ール後に行われますが、これは不完全な治療を避けるために休薬期間を設けるからです。

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