院長インタビュー

地域の医療機関と力を合わせ、一人ひとりの患者さんを支える――JR札幌病院が目指す地域医療

地域の医療機関と力を合わせ、一人ひとりの患者さんを支える――JR札幌病院が目指す地域医療
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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JR札幌病院は、大正時代から100年以上にわたって地域の健康を支え続けてきた総合病院です。現在は紹介受診重点医療機関として地域のクリニックや病院と密に連携しながら、質の高い急性期医療を提供しています。

紹介患者さんはもちろん、紹介状や予約なしに来院される患者さんも可能な限り受け入れ、日中の救急搬送の受け入れにも取り組む同院の地域医療への思いについて、四十坊 典晴(しじゅうぼう のりはる)病院長にお話を伺いました。

当院のルーツは、大正時代の北海道開拓にまでさかのぼります。当時、開拓を進めるために鉄道の整備が必要であり、その拠点であった札幌に作られた小さな診療所がスタート地点というわけです。国鉄時代を経て、1987年にJR北海道の発足とともに現在の病院として新たな歩みを始めました。日本全国に鉄道病院はありますが、現存するJR病院の中では東京、大阪に次いで3番目に古い歴史を持っています。

これまで幾度かの建て替えを経て、現在では地域に根ざした医療を目指し、2023年からは紹介受診重点医療機関として地域の医療機関との役割分担を進めています。長い歴史の中で培ってきた地域とのつながりは、当院にとって何よりの財産だと感じています。

私たちは、特定の病気だけを診る専門病院ではなく、幅広い診療科を備えた総合病院として急性期医療を担っています。札幌駅から徒歩圏内に位置し、中央区を中心にした地域に根ざした医療を行う当院が大切にしているのが、日常的な不調はクリニックや診療所にお任せする役割分担をしつつ、重大な病気が疑われる患者さんや手術が必要なけがなどがある患者さんをしっかりと診させていただくことです。

当院には内科から外科までさまざまな診療科がそろっており、患者さんが抱える健康問題に総合的にアプローチできる体制を整えております。1つの病気だけでなく、その方全体を診る総合病院としての強みを生かし、地域の方々が安心して暮らせるようサポートしていくことが私たちの使命だと考えています。

当院は紹介受診重点医療機関であるため、基本的には他の医療機関からの紹介状をお持ちの方を優先して診察しています。しかし、紹介状を持たずに予約なしで直接来院される「ウォークイン」の患者さんも、午前11時までに受診受付をしていただければ受け入れる方針をとっています(別途選定医療費が税込7,700円かかります)。
具合が悪くて当院を頼ってきてくださった方を、むげに断るようなことはしたくありません。選定療養費はいただくことになりますが、それでも「ここで診てほしい」と希望される患者さんの思いにはしっかり応えたいのです。

そのため当院では、患者さんがいらっしゃったときに担当科の手術中で手が離せない場合、他の科が一時的に対応して手術が終わり次第引き継ぐといった、病院全体で連携しながら患者さんを受け入れる工夫をしています。

救急などの緊急の場合については、当院では夜間の二次救急は行っていないものの、夜間と休日に担当している月5回の救急当番日や、平日の日中を中心とした救急搬送の受け入れに取り組んでいます。
また土曜日は外来診療を行っていませんが、9時から13時までの間であればクリニックからの急な検査や入院の相談に柔軟に対応できる体制を敷いています。

高齢化が進む現代では、1つだけでなく、複数の病気を抱えている患者さんが増えてきました。当院では消化器内科、循環器内科、腎臓内科、呼吸器内科、外科、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)、整形外科など、幅広い診療科が密接に連携して1人の患者さんを支えています。一例として、循環器と腎臓の病気がある患者さんについては、循環器内科と腎臓内科が1つのグループとして診療にあたっています。
こうして専門領域の垣根を越えて協力し合える総合力こそが、当院の大きな特徴だといえるでしょう。

先ほども少し触れましたが、これからの地域医療は1つの病院が単独で行うのではなく、地域の医療機関同士が協力し合うことが不可欠です。そこで当院では、地域のクリニックへの逆紹介や検査連携に非常に力を入れています。

当院での急性期治療を終えた患者さんは、お住まいの近くのクリニックに逆紹介し、日常的な診療をお願いしております。年に1回程度は当院で詳しい検査を受けていただくなど、地域のクリニックと当院がそれぞれの役割を担いながら患者さんを見守る体制を築いているわけです。CTやMRIを持たないクリニックからの検査依頼も積極的に受け入れており、画像診断のレポートをつけてお返ししています。

また、救急などで運ばれてくる患者さんはご高齢の方が非常に多く、急性期の治療が終わった後もリハビリテーションや療養を必要とするケースが少なくありません。そのため、退院後を見据えた支援が重要になります。札幌市内には後方支援を担う医療機関が数多くあり、当院では地域医療連携センターが中心となって、患者さんやご家族と相談しながら次の療養環境へ円滑につなげています。

こうした連携は、患者さんが必要な医療や療養を切れ目なく受けられることにつながるでしょう。当院はこれからも地域の医療機関と手を取り合いながら、高齢の患者さんを地域全体で支え続けていきたいと考えております。

私は長年、呼吸器内科医として肺がん肺炎喘息などの診療に携わってきました。中でも力を注いできたのが、「サルコイドーシス」という病気の診療です。サルコイドーシスは肺や眼、皮膚など全身のさまざまな臓器に肉芽腫という小さな炎症のかたまり現れる病気で、患者さんによって症状や経過も全く異なります。この病気についてさらに知見を深めるため、2026年10月9日と10日に札幌市教育文化会館で、「第46回日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会総会」を開催します。

私が会長を務めるこの学会では、「全身性疾患であるサルコイドーシスの多様性を再考する」というテーマを掲げています。サルコイドーシスの多様性に焦点を当て、一般講演や特別講演、シンポジウムなどを予定していますので、ご関心のある方はぜひ会場に足を運んでいただければと思います。

私は医師の家系に生まれたわけではなく、親は建設業を営んでいました。帯広から函館の高校に進学し、高校3年生の夏まではサッカーばかりしていた記憶があります。周りの友人がこぞって医学部を目指す環境だったこともあり、その後は慌てて勉強を始めて医師の道へと進みました。最初は受験科目をしっかり把握しておらず焦ったこともありましたが、無事に札幌医科大学に入学でき、卒業後は呼吸器内科を選んで現在に至っています。

2002年に当院に着任した当初は結核などの院内感染対策を任され、奔走した時期もありました。この経験は、2020年4月に私が当院の院長に就任した直後に直面した新型コロナウイルス感染症への対応においても大いに生かされました。感染対策の基本は院内感染を防ぎつつも、よほどのことがない限り患者さんを受け入れて診療を続けることです。この姿勢は現在も変わらず、当院の医療の根底に流れています。

私が病院運営において最も大切にしているのは、地域の先生方が困ったときに相談できる病院であることです。そして、具合が悪くて当院を訪れた患者さんを、できる限り断らずに診ていきたいという思いです。
地域の皆さんが困っているとき、いつでも受け入れられる体制を整えておくことが私たちの役割です。これからも地域のクリニックや病院とよい連携を保ちながら、地域に深く根ざした医療を提供してまいります。どうぞ安心して当院にご相談ください。 

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