兵庫県明石市で脳神経外科の医療を提供する大西脳神経外科病院は、2000年の開院以来、急性期治療を中心に地域医療へ深く貢献し、治療実績を重ねてきました。
2023年に先代から跡を引き継いだ理事長の大西 宏之先生に、これまでの歩みや強みとする専門治療をはじめ、予防から回復期、さらには退院後の生活期までを包括的にサポートする新たな医療体制への思いを伺いました。
当院の開院は2000年の12月のことです。当時、明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町を含む東播磨医療圏には脳外科の専門病院が存在していませんでした。明石は父の出身地というゆかりもあり、この地域にどうしても脳神経外科の病院を立ち上げたいという強い熱意から、父がこの地で病院を開設しました。私は3年前の2023年に父からこの病院を引き継ぎ、現在は理事長を務めています。
当院は開院当初から脳卒中をはじめとする脳神経疾患の急性期治療に特化して参りました。これまでスタッフ一同がプライドを持って診療にあたってきたからでしょうか、地域の方々に広く知っていただけるようになり、現在では手術件数や救急対応において、誇ることができる治療実績を築いていると自負しております。
今まで取り組んできた急性期治療のさらなる充実はもちろんのこと、これからは、回復期や慢性期、さらには退院後の生活期に至るまで、脳神経疾患を包括的に診ていく体制の構築にも新たに取り組んで参ります。病気の予防から手術治療、リハビリテーション、在宅での生活サポートまでを一貫して当院が提供することで、患者さんにこの地でより安心して暮らしていただきたいと考えております。
当院は日本脳卒中学会から東播磨医療圏唯一の一次脳卒中センター(PSC)コア施設に認定されています。24時間365日、脳卒中の患者さんの救急搬送を可能な限り断らずに受け入れ、t-PA(血栓溶解療法)や血栓回収療法などの脳カテーテル治療、開頭手術まで、脳卒中の治療に注力しています。
また、新しい取り組みとして、本態性振戦という病気に対する治療も開始いたしました。手がふるえて字が書けない、お茶がこぼれてしまうといったふるえの症状に悩まされる方は人口の 0.5~1% にみられ、高齢者では有病率がさらに上昇するとされています。
当院ではこうした症状に対し、集束超音波治療(FUS)という治療法を取り入れています。これは超音波のビームをふるえの原因となっている神経へピンポイントに当てるもので、開頭手術をすることがないぶん、低侵襲(ていしんしゅう)(体への負担が少ない)な治療といえます。
脳神経外科病院と聞くと、脳の病気だけを診る場所だと思われるかもしれませんが、背骨や神経の病気である脊椎(せきつい)・脊髄疾患(せきずいしっかん)の治療にもかなり力を入れています。実際、アメリカなどでは、脊髄の治療のほとんどを脳外科医が担っているのが現状です。
当院の脊椎・脊髄センターでは、年間150件から200件ほどの手術を行っています。同センターでは頚椎や椎間板(ついかんばん)ヘルニア、脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)、さらには脊髄血管奇形といった病気まで治療を行っており、やはり低侵襲な治療を行うことで、早期にベッドから離れてリハビリへと移行できるアプローチを徹底しています。
近年、神経が原因で足腰の痛みや手のしびれがあり、当院に相談へ来られるケースがあります。こういった症状は骨などによるものと思われるかもしれませんが、原因が神経にあるケースもあり、それを突き止めるにはやはり神経を専門とする医師を受診するのがよい場合もあります。当院には脳と神経のプロフェッショナルたちが在籍していますので、痛みやしびれが気になる方や改善しない方は、当院へご相談いただけたら幸いです。
医療を実践するうえで、全ての始まりとなるのが病気を未然に防ぐ予防医療です。その核となる拠点として、2016年に明石駅前の商業施設内にサテライトクリニックをオープンしました。ここでは脳ドック*などの検診を通じて脳や神経の病気の早期発見に努め、日頃の生活指導を行うことで発症の予防に注力しています。同クリニックでリスクを見つけ出し、万が一急を要する治療が必要になった際には、本院でスピーディーに対応するというスムーズな連携体制が強みです。
*脳ドックは自由診療です。大西脳外科クリニックの脳ドックの検査料は55,000円(税込)です。
リハビリテーションを終えてご自宅に戻られた患者さんへは、麻痺などの後遺症を抱えながら生活していくためのサポートが欠かせません。1人での生活が難しくなったとき、介護保険の申請方法や利用できる社会サービスについて迷わずに相談できる窓口が必要です。
現在、学会や行政が主体となり、地域の中に脳卒中などの総合支援センターのような相談窓口を作ろうという動きが全国的に始まっています。当院も地域の中核として、単に通院してもらうだけでなく、市区町村と連携して生活そのものを支える窓口機能を強化していく方針です。
また、高齢化に伴って増えていく認知症についても、クリニックでの専門外来を含め、脳に特化した我々だからこその関わり方が強みとなっています。
さらに、脳卒中の啓発活動として市民公開講座の実施や、地元の中学生を受け入れるトライアルウィークという体験活動を毎年実施しています。
このような活動が脳卒中治療へ関心を持っていただき、医療職を目指すきっかけになれば嬉しいですし、お子さんたちが病院で学んだ脳の病気の話をご家庭で伝えることで、親御さんやご年配の世代の健康意識が高まるという、素敵な地域支援の循環が生まれることも期待しています。
当院はこれからも、看護部が中心となって行う看護フェアや将来、医療職を目指す方たち参加型のオープンホスピタルなど、地域住民の皆さんと笑顔で触れ合いながら予防の重要性を伝えるイベントを大切にしていきます。
何か体に違和感を感じたり、どの医療機関へ行けばよいか迷ったりした方は、遠慮なく当院をおたずねください。私たちはただ目の前の病気だけを切り取って治すのではなく、その患者さんのこれからの生活や人生そのものを診るという視点を大切にして、治療をさせていただきます。
病院での治療が一段落した後も、その先の暮らしまでしっかりと踏み込んで相談に乗り、最後まで温かくサポートいたします。当院ではいつでも皆さまをお迎えできるよう、病院の敷居をできる限り低くして待っています。病気を治すだけでなく、その先にある笑顔あふれる暮らしをこれからも支えていくことこそが私たちの願いです。
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。