院長インタビュー

患者さんの視点に立ち、ご満足いただける医療の提供を目指す――越谷市立病院

患者さんの視点に立ち、ご満足いただける医療の提供を目指す――越谷市立病院
丸木 親 先生

越谷市立病院 院長

丸木 親 先生

目次
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越谷市立病院は埼玉県東部地域の医療を担う自治体病院です。開院当初より地域住民の健康を支えてきた同院は現在、高齢化が進む地域の医療ニーズに合わせた医療提供体制の充実を図っています。

そんな同院が担う役割や今後の展望について、院長である丸木 親(まるき ちかし)先生にお話を伺いました。

当院は1976(昭和51)年に設立された自治体病院(公立病院)です。開院当初、埼玉県東部地域には当院のほかに同規模の医療機関がなかったため、長きにわたり地域の基幹病院としての役割を担ってまいりました。

病院の周りに何もなかった時代から診療をスタートして、間もなく半世紀。この間には地域医療体制の整備も進み、当院が担う役割も徐々に変化しています。医療機関の機能分化が進められるなか、急性期に必要とされる先進的な医療は大学病院などにお任せして、私たちは地域密着型の病院として地域の方々に求められる医療を提供してまいります。

当院は開院当初より順天堂大学と密に連携し、医師派遣などの協力を得ながら診療を続けてまいりました。現在は内科と外科を合わせて20近い診療科があり、一般病床481床を備えて幅広い診療を行っています。

私が専門とする脳神経外科では2010年に脳卒中脳梗塞(のうこうそく)脳出血くも膜下出血など)患者さんを受け入れる専用病床“脳卒中ケアユニット(SCU)”を開設し、24時間365日体制で治療に取り組んでいます。また、心筋梗塞狭心症など一刻を争う病気を扱う循環器内科は、2019年に血管撮影装置を含めた心臓カテーテル室を全面改装し、より精度の高い検査や治療を行える体制を整えました。

このほか2012年に病棟のリニューアルを行った産科では近年、外国人の患者さんの分娩が増えています。外国の方は宗教上の理由から女性医師の診察を希望されるケースもありますが、幸いにも当院の産科はほとんどの医師が女性です。産科医と助産師が連携し、できるかぎり自然分娩でのお産をサポートすると同時に、ハイリスク分娩にも対応しておりますのでご相談ください。

当院は越谷市が運営する公立病院です。市民の皆さんのための病院であることに変わりはありませんが、日常的な病気やけがを“何でも診ましょう”というわけにはいかないのが現状です。私たちが提供できる医療には限りがあり、急性期から慢性期まで全ての患者さんを受け入れることはできないのです。

医療機関にはそれぞれに役割があり、たとえば大学病院は先進的な医療に取り組み、かかりつけの先生方は医療の最初の窓口としての役割を担います。そうした枠組みの中で当院は専門的な検査や治療を行う“紹介受診重点医療機関”に位置付けされており、受診にはかかりつけの先生からの紹介状が必要です。紹介状のない初診患者さんの場合は“選定療養費”というものが加算されますのでご注意ください。

患者さんの中には「紹介状がないと診てくれないのか」と不満や不安を抱く方がいらっしゃるかもしれません。しかし医療機関の機能分化を進めることは、良質な医療を安定して提供するために必要だということをぜひご理解いただきたいと思います。

厚生労働省が推進する医療機能分化においては、私たち病院だけでなく患者さんにも意識を変えていただかなくてはなりません。これからの“病院のかかり方”として、かぜや腹痛などの気になる症状があるときはまず、地域のクリニック(かかりつけ医)へご相談ください。かかりつけのクリニックがないという場合は、インターネットなどでお近くのクリニックを検索して受診していただくとよいでしょう。

地域のクリニック(かかりつけ医)で診察を受けた結果、もしも専門的な検査や治療が必要な場合は紹介状を書いてもらえますので、紹介状・保険証・お薬手帳をお持ちになって当院へお越しください。埼玉県東部地域はこうした医療連携体制がしっかりと構築されており、必要とされる医療を十分に提供できる仕組みがあります。

また診察や検査をして診断がついたらぜひ、その病気がどんなものなのか、どんなお薬を飲むのかなどを十分に理解して治療に臨んでいただきたいと思います。もちろん私たち医療者も精一杯サポートをいたしますが、患者さんにも積極的に治療にご参加いただくことで、早期回復につなげたいと思います。

私は順天堂大学医学部を卒業し、1991年から当院の常勤医師として診療するようになりました。専門分野である脳神経外科部長を務め、副院長時代には脳卒中ケアユニット(SCU)の開設にも尽力しました。その後、院長を拝命したのが2015年でしたから、病院の舵取り役を担って10年ほどになるでしょうか。私の代になって変わったことの1つに、病院の理念があります。以前は“市民にやさしい病院”と掲げていましたが、病院の存在意義や向かうべき方向性がより明確になるよう、以下のように改定いたしました。

“私たちは地域の健康を守るため最良の医療を志向し、自治体病院の使命である地域における行政、医療機関、介護施設等との連携、地域に必要とされる医療の公平、公正な実施、地域の健全な発展への貢献を果たします。”

ここにあるとおり今後も “地域”というキーワードを強く意識し、医療の質向上に努めるとともに、地域の皆さんに心からご満足いただける医療を提供してまいりたいと思います。

*病床数や診療科、医師、提供する医療の内容等についての情報は全て2024年8月時点のものです。

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