岩井病院は1950年福井県福井市にて開院し、現在も地域医療の提供に尽力しています。同院は消化器領域の急性期治療のほか、急性期の治療が終わった患者さんの受け入れや社会復帰に向けたリハビリテーションを多く行っており、法人内の介護老人保健施設などとの連携も密接にしています。同院が行っている診療や施設との連携について医療法人 成蹊会 岩井病院 院長 岩井晃男先生にお話を伺いました。
岩井病院は急性期では、消化器の領域の早期がんの発見や治療を中心に様々な急性期疾患の治療を行う一方、急性期の治療を終えた患者さんの受け入れや、回復期リハビリテーション、在宅復帰支援なども行っています。さらには、2007年に外来診療部門を改装し、新しい医療機器を導入したことで、内科診療と整形外科診療で地域医療の提供に貢献しています。京都大学消化器内科助教であった院長が中心となっている内科の消化器部門では、常に新しい胃カメラや大腸カメラ、胆膵内視鏡を用いた検査、内視鏡下手術も多く行っています。以下の項目では、当院で行っている消化器部門での診療、整形外科について詳しくご紹介いたします。
岩井病院では、すべての内視鏡検査を専門医(注)が行い、また苦痛が少なく精度の高い検査をおこなっています。苦痛を伴うことは定期的な検査の妨げになるため、不安のある方には麻酔を使用しての無痛検査も行っています。もちろん検査のみでなく、早期がんの治療として内視鏡によるがん切除も行っており、病変の大きさにもよりますが日帰りでの治療も可能です。
また内視鏡を用いた大腸がんの検診で、痛みを感じたり、つらい思いをしたりした方もいらっしゃるのではないでしょうか。当院で2007年に「大腸仮想内視鏡検査」と呼ばれる、名前に内視鏡が使われていますが、CTによる検査を開始しました。CTで仰向けとうつ伏せの状態で2回撮影し、コンピューター処理した3D画像で大腸がんやポリープがないか観察します。
CTによる検査ですので、大腸内視鏡で考えられる出血や腸に穴が開く腸穿孔の心配がありません。また、検査にともなう痛みもほとんどなく、以前大腸内視鏡検査を行った際に痛みを感じ、検査を受けることにためらいがある患者さんにも安心して受けていただいている検査です。
大腸がんは検査を定期的に受けて早期発見、早期治療を行えば完治しやすいがんといわれています。大腸内視鏡検査に苦しい思い出がある方も苦痛のない大腸仮想内視鏡検査などで定期的に大腸がんの検査を受けていただきたいと思います。また、当院では大腸仮想内視鏡検査で異常が発見された場合には、同日に当院で内視鏡下手術を行うこともできます。
当院ではこれまで胃がん、大腸がん、肝臓がんや膵臓がんなど消化器領域がんに関する診断治療についてさまざまな方法で力をいれてきました。がんは早期診断からの早期治療が重要と考えられるため、当院では異常が発見されてから手術までの期間をできる限り短くし、患者さんが普段の生活に早く戻れるよう取り組んでいます。
注…一般社団法人日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
大阪大学整形外科で研鑽をつんだ副院長の岩井貴男が中心となっている整形外科では、一般的な骨折等の診療や手術に加え、関節リウマチやリハビリテーション、スポーツ整形にも力を入れています。当院の整形外科の医師は膝の治療を多く行っており、怪我をしたスポーツ選手やスポーツをしている学生の、治療からリハビリテーションまで行います。また、近隣に競輪場があることもあって競輪選手が受診することもあります。
スポーツ選手のリハビリテーションには、当院のリハビリ温泉歩行浴場を使用することが多くあります。院内に温泉が引いてあり、温泉リハビリなども多く行うため、スポーツ選手のリハビリテーションだけでなく、通常の患者さんのリハビリテーションにとても役立てています。また、この浴場にはジェットが流れており、スポーツ選手の早期復帰につながるとされ、患者さんにもとても好評です。
通常の生活が行える状態に戻す場合と、スポーツができる状態に戻すのとでは、鍛える筋肉、リハビリテーションにおける負荷のかけ方などに違いがでてきます。スポーツができる体に戻すことを希望されている方は、ぜひ当院にご相談いただければと思います。
岩井病院では、急性期の治療が終わった患者さんの回復期リハビリテーションも行っています。また、当院でのリハビリテーションが終わり、まだ在宅復帰に不安を覚える方には、同法人が経営している介護老人保健施設へ入所していただくことも可能です。さらに、在宅復帰ができる患者さんには、訪問診療を提供している医療機関をご紹介することもあります。ご紹介する医療機関はいずれも古くから当院と良好な関係を築いている先生方のいる病院やクリニックをご紹介していますので、ご安心ください。
院内には、診療の待ち時間に利用できる足湯を設置しています。特に糖尿病の患者さんは足湯を使用して、血流をよくしていただきたいと思います。また、足湯があることで、待ち時間も快適に過ごしていただくことができると考えています。
当院と連携する有料老人ホームを2010年に開設しました。JR福井駅東口から徒歩2分の場所に位置する有料老人ホーム「ディモライワイ」です。同老人ホームはホテルを改装し、全面バリアフリー化しています。また、結婚式にも使用されていた大広間は、入居者の方々の交流の場になるようにリビングダイニングとして利用しています。
駅から近く、利便性が高いため県内の方に限らず県外からも入居を希望されている方もおられます。
当院ともほど近い場所に位置しているため、夜間に急変してもすぐに我々が駆けつけ対応することができます。また、ディモライワイ内で処置が難しい場合には岩井病院に搬送し適切な処置を行います。この連携はディモライワイだけでなく、当院のすぐ近くに位置する「介護老人保健施設 ヴィラ岩井」でも同じように対応しています。
医療法人 成蹊会では、在宅復帰に向けたリハビリテーションや、介護老人保健施設であるひとつの目標を決めています。それが「一人でトイレに歩いて行けるようにする」ことです。在宅での介護はご家族の負担も大きく、特に排泄のサポートはご家族でも難しいことがあります。
そのため、当院やヴィラ岩井では患者さんや入居者の方が一人でトイレに行けるようになることを目標にリハビリテーションを行います。患者さんも一人でトイレに行けるようになることで、在宅復帰に向けたひとつの自信につながります。
当院の介護職員には日系ブラジル人の方がおり、文化や言語が違うなか、困難も少なくはありませんが一生懸命に取り組んでいます。
また、介護職員を含めた同法人の懇親会を年2回開催し、交流を深める機会も設けています。介護の仕事はとてもハードですが、当院の職員はみな患者さんが「一人でトイレに歩いていける」ように日々努力しています。
岩井病院は私の祖父が開院し、福井市で地域に根差した医療の提供に尽力してきました。消化器内科や整形外科などの診療やがん検診も開始し、急性期治療を終えた患者さんの受け入れや回復期リハビリテーション以外にもさまざまな分野で地域医療の提供に貢献することができるようになったと思います。
また、開業医との連携も密接にしており、退院や退所を控えている患者さんのご希望に合わせた医師、訪問診療を提供している医療機関の紹介も行っています。それは、当院が昔からこの地で地域医療へ貢献してきたからこそ生まれた信頼関係があるから行えるのだと考えています。
さらに、今後は予防的な医療を行うために人間ドックやがん検診にも力を入れていきたいと思います。がんは早期に発見し早期治療を行うことができれば完治することも難しくない時代になりました。地域のみなさまの健康維持に注力していきたいと思います。
また、患者さんやそのご家族と親密な関係を今後も築いていきます。
在宅復帰をされたなかでなにか困ったことがあれば、同法人の施設もありますし、往診なども対応していきますので、今後とも岩井病院をどうぞよろしくお願いいたします。
医療法人社団 成蹊会 岩井病院 病院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。