立川綜合病院は新潟県長岡市で地域医療に尽力しています。救急医療をはじめとする急性期医療を提供し、医療法人立川メディカルセンターのグループ施設で提供している回復期リハビリテーションや慢性期医療まで、法人内で切れ目のない医療を提供することができます。同院の特徴について、医療法人 立川メディカルセンター 立川綜合病院 病院長 岡部正明先生にお話を伺いました。
立川綜合病院は医療法人立川メディカルセンターのなかで超急性期や急性期医療を提供する病院です。同法人内には、回復期や慢性期医療を提供する病院もあり、急性期から慢性期まで一貫した医療を提供することができます。
急性期医療では、救急患者さんの受け入れをはじめ、4つのセンターとそのほか16の診療科で、日々診療にあたっています。4つのセンターには、循環器・脳血管センター、消化器センター、生殖医療センター、そして腎センターがあります。
診療科をセンター化することで、内科の医師と外科の医師の連携が取りやすくなり、患者さんによりよい医療を提供することができると考えています。
2016年に実施した新築移転にともない病院機能を強化しています。たとえば新たにハイブリッド手術室を設置したことも、病院機能の強化のひとつです。ハイブリット手術室とは、従来の手術室の設備に心・脳血管X線撮影装置を組み合わせた手術室です。これまでは、手術室と撮影装置が別の場所にあったため、患者さんを移動させる必要があり、迅速な対応が困難でした。ハイブリッド手術室では、そのふたつの機器が組み合わさることで、カテーテルで血管内治療を行いながら手術も同時に行うなど、迅速かつ、最新の医療技術に対応することが可能になりました。
また、ハイブリッド手術室の設置により、ステントグラフト内挿術や経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)などの難易度の高い治療や高齢者などの体力が低下した方などに対しても手術が可能になるなど、診療の幅が広がりました。今後も、病院機能の強化とともに、地域や新潟県内の循環器領域の治療に尽力していきたいと思います。
消化器センターの外科診療では患者さんの体に負担の小さい、腹腔鏡手術や胸腔鏡手術を多く実施しています。どちらの手術も開腹や開胸をせずに手術ができ、患者さんへの体の負担の軽減はもちろん早期の社会復帰も期待できます。
当院では、消化器がんをはじめ胆石症や鼠径ヘルニアや大腿ヘルニアの手術に応用しています。
長岡市では当院を含む3病院で二次救急輪番制を導入し、救急患者さんの受け入れに尽力しています。輪番制とは、あらかじめ担当する曜日や時間帯を医療機関で決定し担当になっている日にあった救急搬送を優先的に受け入れるシステムです。
輪番制担当の日は救急患者さんを多く受け入れていますが、当院が担当ではない日は他の担当医療機関が救急搬送の対応をしています。この体制により、救急患者さんの治療と一般診療とでメリハリをつけて診療することができていると考えています。また、担当している医療機関はそれぞれ得意な診療科があり、それぞれのつよみを発揮して地域の医療を守っています。
脳神経外科は循環器・脳血管センターとして神経内科と連携して治療しています。脳神経外科分野での救急患者さんは脳卒中で搬送されることが多くあります。脳卒中は、血管が詰まるか、破れるかによって脳梗塞や脳出血、くも膜下出血に分類されます。いずれも早い治療をしなければ予後(治療後の経過の見通し)に関わるといわれています。そのため、前述したように、ハイブリット手術室を設置し、一刻も早く高度な治療が行えるような体制を整えています。
新潟県内で脳神経外科の治療を実施している医療機関は少ないため、当院が可能な限り患者さんを受け入れ、地域を守るという覚悟を持って日々診療にあたっています。
2016年に行った新築移転にともない、病院に屋上へリポートを設置しました。屋上ヘリポートはドクターヘリの離着陸以外にも防災ヘリの離着陸を可能にしています。ドクターヘリの受け入れや出動を行うことで地域だけでなく新潟県全域の救急患者さんの受け入れに尽力していきたいと考えています。
ドクターヘリを導入したことにより、救急患者さんをより多く受け入れられるようになりました。ドクターヘリでの救急患者さんの受け入れは広大な面積の新潟県において、とても重要な役割を担っていると強く実感しています。今後もドクターヘリでの重症患者さんの受け入れに尽力し、地域だけでなく新潟県内の救急患者さんの受け入れに貢献してまいります。
当院が属する立川メディカルセンターグループでは、グループ全体で今後の地域医療を担う若手医療従事者の育成に尽力しています。たとえば、晴麗看護学校と晴陵リハビリテーション学院では若手医療従事者の育成に努め、当院では看護学校の実習や検査技師、救急救命士の実習を多く受け入れています。
当法人は、急性期医療から慢性期医療、介護分野まで一貫した医療や支援を提供しているため、患者さんの状態に合わせた医療を学ぶことができます。たとえば、リハビリテーションでは、急性期医療を終えたばかりの患者さんと、在宅復帰を目指す患者さんとでは、行う内容が異なります。そのため、リハビリテーションのどの分野で力を発揮していくのか、そういった一連の流れを学べる環境で、技術を習得してもらいたいと思います。
これはリハビリテーションに限らず、他の職種においても同様ですので、こういった学びの場所を提供できるのが、当法人の特徴と考えています。
また、医師の臨床研修では、臨床研修期間中の数日間アメリカの病院で研修を受けてもらう取り組みを行っています。アメリカの研修医は臨床研修の際にどのようなカリキュラムで動いているのか、どのようなカンファレンスを行っているのか、日本とは違う医療の現場を経験してもらい、医師としてのスキルを向上してもらいたいと考えています。
医療は人間関係のもとに行われていると考えています。知識や経験、手技に基づいて医療提供していますが、患者さんと良好な関係を築いていかなければ、患者さんにとってよりよい医療を提供することが難しくなります。
医師の世界は楽しいことだけでなく、つらいことも多くあります。そのつらいことを乗り越え、医師としての長いキャリアを形成していくひとつの経験として、成長していってほしいと思います。
今後、人口減少にともない急性期医療を必要とする患者さんは少なくなっていくことと思います。それにともない、急性期病棟の病床が減り回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟の病床が増えてくることが予想されます。
しかし、地域のなかでは急性期医療を提供する医療機関を減らすわけにいきません。ですので、当院は地域の急性期医療を支えるために、今後も急性期医療を提供していきつつ、各診療科がそれぞれ特徴のある診療をしていけるように注力していきます。
立川綜合病院 病院長
岡部 正明 先生の所属医療機関
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