院長インタビュー

人情を忘れずに、より高度な医療提供を目指す 地域密着型の大手前病院

人情を忘れずに、より高度な医療提供を目指す 地域密着型の大手前病院
宮本 裕治 先生

大手前病院 院長

宮本 裕治 先生

目次
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大手前病院は1951年に、大阪市中央区大手前に開院しました。開設母体は国家公務員共済組合連合会ですが、公務員の方だけでなく地域の皆さんが利用しています。

病院の特徴や理想とする病院像について、院長の宮本裕治先生にお話を伺いました。

大手前病院 外観
大手前病院 外観

当院は、内科、外科を中心に幅広い診療科を設けています。また、救急病院として救急車、救急外来ともに、積極的に患者さんを受け入れています。夜間でも内科、外科、循環器内科3人の医師が当直し、緊急手術にも対応しています。

循環器内科と心臓血管外科で心臓センターを構成し、狭心症心筋梗塞といった循環器疾患の治療にあたっています。経皮的冠動脈形成術(PTCA)や経皮的血管形成術(PTA)を積極的に行っており、2019年より不整脈治療センターを開設しました。

脳神経外科は、脳卒中などで緊急の治療が必要な場合でも、24時間で対応できる体制をとっています。また、日々の診療では機能的脳神経外科手術を実施しており、パーキンソン病ジストニアなどの不随意運動に対する脳深部刺激療法(DBS)を実施し全国でも屈指の症例数です。

神経内科と連携して脳神経センターを構成しており、患者さん一人ひとりに適した治療法を選択しています。

脊椎・脊髄外科が活発で、股関節や膝関節の人工関節置換術など整形外科全般にわたって診療を行っています。また、外反母趾変形性足関節症といった足の治療に特化した「足の外科センター」を設けています。

アスベスト(石綿)は工業製品などに使用されていました。アスベストを大量に吸い込むと中皮腫など呼吸器疾患の原因になることがわかってきました。大阪府は、厚生労働省が発表する中皮腫による死亡者数が都道府県別でもっとも多く(都道府県別にみた中皮腫による死亡数の年次推移 2017年)、当院でも診療に注力しています。呼吸器内科・呼吸器外科が合同で診療にあたっています。

当院は2009年に大阪府がん診療拠点病院の指定を受けました。化学療法科、放射線治療科をはじめ、各診療科が協力して、早期治療から緩和ケアまでの集学的ながん診療を行なっています。

2017年に大阪国際がんセンターが大手前地区に新築移転し、当院と診察券や電子カルテを共有するようになりました。現在の高齢社会においては、がん以外の病気を持ったがん患者さんが多くいらっしゃいます。当院と大阪国際がんセンターが緊密な連携を取ることで、合併症を持った患者さんに対しても充実したがん治療を提供することができます。

緩和ケア研修会の様子
緩和ケア研修会の様子

2014年に地域包括ケア病棟を開設しました。近隣の医療機関と、当院の地域医療連携センターおよび在宅支援外来が連携をとっています。

また、当院で急性期治療を終えた患者さんの在宅復帰を支援するため、療養やリハビリを行っています。

地域の病院や診療所との医療連携をスムーズにするため、濠端(ほりばた)ネットという電子カルテ共有システムを運用しており、51施設(2023年11月現在)にご参加いただいています。今後、さらに参加施設を増やすべく、近隣の病院や診療所を訪問しています。また、登録医として676名の登録があります。

糖尿病の勉強会を定期的に行っています。参加費無料の勉強会で、当院を受診したことがない方でも参加できる会です。

また、年に数回、大手前健康講座を開催しています。参加費は無料で、インフルエンザ食中毒の予防、新しい検査や治療法の紹介など、地域の方のお役に立てるようなテーマで講座を開催しています。

医師幹部会や部長・センター長会議をそれぞれ月に一回開催し、病院経営や諸問題について意見交換を行っています。また、患者数や収益に関する資料をイントラネットで全職員に公開しています。経営に関する資料を開示したことで職員の一人ひとりが問題意識を持つようになり、病院をよりよくしようというモチベーションにつながっていると思います。

また、院長室のドアは、不在時と来客の時以外は常に開けています。そうすると、医師でも事務職員でも「ちょっといいですか」と、意見を言ってくれます。

研修の様子 2
研修の様子

当院は臨床研修病院として指定を受けており、研修医を受け入れ後進の育成に尽力しています。内科、外科、救急研修をはじめ、各診療科の指導医が研修プログラムを用意しています。個別の見学を受け入れているほか、見学会を開いたり、病院合同説明会に参加したりもしています。

地域に密着し、人情味がある当院は、初期研修でさまざまなことを学ぶことができると思います。

この地域で当院が果たすべき役割とは、全ての診療科で充実した医療を提供することはもちろん、近隣の病院と機能分担して得意分野を伸ばすことだと考えます。

今後さらに発展させていきたいです。

患者さんには、さまざまなバックグラウンドがあり、高度な治療、新しい治療方法が全ての人にとって適切であるとは限りません。特に高齢社会を迎えた今、患者さんの病気が1つだけであることは少なくなっていて、きめ細かな対応が求められています。

当院は、温かい人情と高度な医療の調和をモットーに、患者さんの希望する医療を提供していきます。

当院は急性期病院でありながら、これまでICUがなく重症例はそれぞれの診療科で独立して管理していました。また、手術支援ロボット(ダヴィンチ)やハイブリッド手術室はありませんでした。そこで手術室を2室増設し、ICU/CCUとして7床を新設する計画が進んでいます。令和5年度内に、手術支援ロボットが導入され令和6年度から手術が開始される予定です。そして、約2年後を目途に、ハイブリッド手術室とICU/CUが新設される予定です。若手医師にとっても魅力のある病院になると考えています。

研修医の皆さんと
研修医の皆さんと

医学部を卒業したてのときは、やる気にあふれているものですが、つらいことや苦しいことを経験して、つまずいてしまうこともあるでしょう。しかし仕事がおもしろければ、厳しい環境でもつらいと思うことは少なくなると思います。医師は大変な職業ではありますが、おもしろいと思うことに自分から積極的に取り組むことが大切です。

自己研鑽は本来、仕事の時間には含まれないものですが、医師の研修はそれに給与が支払われながら一人前になっていきます。ぜひOn the Job Trainingを楽しんでください。

当院は、どんな患者さんでも、その方に適した医療を提供したいと考えます。その方が望む医療、適した医療を常に考えて診療にあたっています。

救急外来はいつでも開いています。困ったことがあればお気軽に相談してください。

また、当院と地域の病院・診療所と、一緒に患者さんを治療していきたいと考えています。

まずはお気軽にご相談ください。当院ができる限りの治療をして、かかりつけ医にお返しします。

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