拒食:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
食事は生きていくために大切な行動です。食事が食べられない・食べたくない場合や、周囲の人が食事を食べようとしないという場合、不安に感じる場合が多いのではないでしょうか。
こういった場合に考えられる原因には、どのようなものがあるでしょうか。
一般的に、食欲不振とは「食欲が湧かない」「何となく食事が進まない」などの状態であるのに対し、拒食は「食を拒む」という文字通り、食事を拒否する、自ら望んで食べないなどの状態を指します。
しかし、強い食欲不振と拒食は自身や周囲の人では区別が難しい場合も多いため、この記事ではどちらについても取り上げます。
摂食障害のひとつである、いわゆる拒食症です。大量の食事を食べて吐き戻すという過食嘔吐もこれに含まれます。ほとんどは思春期の女子や若い女性に起こる病気です。
原因の根底には過度のストレスや、対人関係の不和などがあると考えられています。本人の意識としては「自分は太っているから痩せなくてはいけない」という強い強迫観念があります。また、体重が少しでも増えることに対して、強い恐怖を感じています。
自分では病気だと思わないことも特徴の一つです。家族や周囲の人がおかしいと感じたら、受診させるなどの対応が必要な場合が多い病気です。
認知症の症状はさまざまですが、時に食事を拒否するという症状が現れることがあります。
無気力になり食事をしようとしなくなる、無理に食べさせようとすると拒否したり怒ったりするなどの症状が高齢者に見られた場合には、認知症の可能性についても考える必要があります。
また、反対に食事をしたことを忘れたりして、際限なく食べたがる症状が現れる場合もあります。
食欲不振の主な原因となる病気には、以下のようなものがあります。
胃炎や胃・十二指腸潰瘍などの消化器の病気が食欲不振の原因となることがあります。多くは他にも胃もたれや吐き気、胃痛などの症状を伴います。
気分が落ち込み、理由もないのに泣いたり、無気力になったり、以前は楽しかったことが楽しいと思えないような状態になるうつ病でも、食欲不振となることがあります。
食欲がない、食べる意欲が湧かない、眠れない、何もする気になれないなどの症状があるときにはうつ病などの心の病気についても考えてみる必要があります。
甲状腺は首の前面にある臓器で、「やる気ホルモン」と言われることもある甲状腺ホルモンを作っています。この甲状腺のはたらきが低下し、甲状腺ホルモンが不足した状態が甲状腺機能低下症です。
やる気がでない、気分が落ち込む、むくみ、食欲がなく食べていないのに太るなどの症状が現れます。
副腎や下垂体機能低下によって副腎皮質ホルモンの分泌が低下すると、食欲不振、吐き気、倦怠感などの症状が現れ、食欲が低下します。大きなストレスなどで血圧低下などがおこりショック状態となったりすることもあります。
がんは体のどの部位にもでもできる可能性があり、多岐にわたる症状を示します。特に胃などの消化器系のがんの症状として、食欲不振、吐き気などがみられることもあります。
食事を拒否する、明らかに量が不足しており急激に痩せてきたなどの状態が周りの人に見られた場合には、受診させることが必要です。また、自分自身の症状として食欲がない、食べられない、食べようと思わないような場合にも受診しましょう。
原因によって専門の科目は分かれますが、まずは近くの内科やかかりつけの医療機関などで相談してみるのがよいでしょう。受診の際には、いつから食事を取りたがらない・取れないのか、もともとの体重とどの程度痩せたか、女性であれば月経が止まっていないか、微熱など体の症状はないかなどを伝えるようにしましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。