疲れ目:医師が考える原因と対処法|症状辞典
滋賀医科大学眼科学講座 教授
大路 正人 先生【監修】
スマホやPCのモニターなどを見ることの多い今、疲れ目を感じている人は多いのではないでしょうか。
そんな心当たりがあるとき、どんなことに注意すればよいのでしょうか?
日常生活上の習慣などにより、疲れ目を感じる場合もあります。
ディスプレイと長時間向き合う生活をしていると、目のピント調節を担う毛様体筋が疲弊して疲れ目になりやすくなります。
パソコン作業を1時間したら15分程度は目を休ませるようにしましょう。目の周りのツボを押すことや、マッサージをしてみるのもおすすめです。蒸しタオルをまぶたの上に乗せてみるのもよいでしょう。
ピント調整が衰え近くが見えにくくなる老眼も、疲れ目の原因のひとつです。
老眼は40歳くらいから症状が出始めます。できるだけ早く老眼鏡を作って、近くを見る時に目に負担をかけないようにしましょう。
老眼鏡に抵抗を感じる人は多いかと思いますが、そのままにしておくことで眼精疲労や肩こりなどの原因となることもあります。
涙が不足して目が乾燥するドライアイも疲れ目の一因といわれています。
ドライアイ向けの点眼薬で目を潤すとよいでしょう。
あまり効果が感じられない場合には、涙の量を測定する検査などを眼科で受けられる場合もありますので検討してみましょう。
度の合わないメガネ、コンタクトレンズを使っていると、ピントを合わせるのに無理が生じるため、目が疲れやすくなります。
きちんと定期検査を受けて、正しい度数のメガネ、コンタクトレンズを使うようにしましょう。
また、コンタクトレンズの装用時間、洗浄方法、保存方法などにも気をつけ、目に負担をかけない方法での使用を心がけましょう。
以上のように日常生活を見直してみても、疲れ目が改善されないこともあります。そのような時には一度眼科を受診してみましょう。
疲れ目を引き起こす病気にはさまざまなものがありますが、代表的なものとしては次のようなものがあります。
目そのものの病気によって疲れ目が生じることがあります。
眼球の中でレンズの役割をしている水晶体が白く濁る病気です。原因の9割以上は加齢になります。
視界がぼやける、かすむ、まぶしさを強く感じる、物が二重に見える、色の区別がつきにくいといった視界不良が特徴です。はっきりと物を見るために目を酷使することになり、目が疲れやすくなります。
眼圧の上昇によって視力低下などが引き起こされる病気です。
一般的に初期症状ははっきりと現れないことが多いといわれていますが、疲れ目などの些細な症状が発見の手がかりとなることもあります。症状が進行すると視野の欠けなどの症状が現れます。
目の周りの筋肉などの問題で疲れ目の症状が出ることがあります。
斜視とは左右の視線が違う方向に向かっていることです。斜位は片目ずつ調べると視線がずれている状態です。
「両目で物を見る」という機能に問題が生じるため、物が二重に見えたり、立体感を感じにくいという症状がでることがあります。そのため、目の疲れやすさに繋がることがあるといわれています。
目を開いていてもまぶたが下がってしまい、黒目が隠れてしまう病気です。視野が狭くなり、目の疲れにつながることがあります。無意識にまぶたをあげようとすることで、眼精疲労、頭痛、肩こりなどが起きる時もあります。
生まれつきまぶたが下がっていることもありますが、加齢などによって発症するケースも少なくありません。
疲れ目が続いていて目を休めてもよくならず、ほかの症状もあるようならば、眼科を受診してみてもよいでしょう。
医師にはいつから疲れ目を感じているのか、ほかにはどんな症状があるのかをできるだけ詳しく伝えることがポイントです。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。