脇が臭い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

脇が臭い

受診の目安

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翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 皮膚のかゆみ、皮が剥ける、発疹などの症状がある
  • 清潔や消臭を心がけてもよくならない

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない
  • 汗の量が多いと感じる
門野 岳史 先生

[監修] 門野 岳史 先生

聖マリアンナ医科大学皮膚科 教授

脇には、皮脂などを多く含んだ体臭の元となる汗を分泌するアポクリン汗腺が多く分布しています。また、脇は腕を閉じると皮膚が密着して通気性が悪くなり、蒸れやすい部位でもあります。

脇が臭いからといって病院を受診する人はほとんどいませんが、中には何らかの異常や好ましくない生活習慣が原因の場合もあります。

  • 1年を通して脇に大量の汗をかいて臭う
  • 脇にしこりのようなものができ、悪臭を放つ(うみ)が出る
  • 清潔にしているつもりでも脇の臭さが気になり、外出や人と会うことが怖くなる

このような症状がみられる場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。

脇に多く分布するアポクリン汗腺は毛穴に開口しているため、皮脂や老廃物が混ざった汗を分泌します。汗は体温調節機能を持ちますが、アポクリン汗腺から分泌される汗は個人差のある臭いを放ちます。

また、脇は蒸れやすいため、さまざまな雑菌が増殖し、臭いがさらにきつくなりえます。脇が臭うことは生理現象のひとつで、防臭商品の使用やこまめな入浴によって改善することがほとんどです。

しかし、中には以下のような病気によって非常に強い臭いが生じる場合や、実際には臭くないのに臭いが気になってしまう場合があります。

脇の臭いは、以下のような病気によってさらに強くなることがあります。

腋臭症(えきしゅうしょう)

いわゆるワキガと呼ばれるもので、臭いの原因となるアポクリン汗腺が大きいことや数が多いことで、通常よりも臭いがきつくなる病気です。優性遺伝による家族性があるとされていますが、日本人では腋臭症の発症率は10%程度にすぎないとされています。

しかし、臭いの感じ方には個人差があり、臭いに敏感な人は腋臭症の範疇(はんちゅう)に当てはまらなくても深刻な悩みを抱えているケースがあります。

ワキガ
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多汗症

汗の分泌量が過剰になる病気であり、全身の汗が増えるタイプと局所的に増えるタイプがあります。原発性局所多汗症では小児期や思春期の頃に発症することが多く、特に精神的に緊張する場面に出くわすと、したたるような大量の汗が分泌されます。

また、それに伴って汗疹(あせも)ができやすくなったり、皮膚が傷ついて感染症を起こしたりするなどの症状もみられることがあります。

多汗症
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汗疹
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粉瘤(ふんりゅう)

皮膚の毛穴が落ちくぼんで皮膚内に袋を形成し、その中に老廃物や垢などが蓄積する病気です。体表から柔らかいしこりとして触れますが、通常は痛みなどの症状は伴いません。

しかし、粉瘤の内部に細菌感染が生じると、粉瘤が腫れて痛みを伴い、内部から強い悪臭を放つ膿が流出することがあります。

粉瘤
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実際には脇の臭いはないものの、臭いと感じてしまう病気には以下のようなものがあります。

自臭症

特に悪臭を放っているわけではないのに脇の臭いや口臭など、一般的に不快と思われがちな体臭が気になり、日常生活に支障をきたす病気です。外出や人と接することに恐怖を覚え、引きこもりがちになることや、抑うつ気分や睡眠障害などの精神的な不調が現れることも少なくありません。

統合失調症

考えや行動などをまとめる能力が著しく低下し、支離滅裂(しりめつれつ)な言動を繰り返したり、妄想や幻覚を生じる精神的な病気です。100人に1人弱は罹患しているといわれる頻度の高い病気ですが、悪化すると自傷・他害などの行動に出ることも少なくありません。

統合失調症でみられる幻覚は、悪意に満ちた悪口や命令などの幻聴が特徴です。しかし、実際にはない臭いを感じる幻臭が生じることもあり、問題とならないような脇の臭いに悩まされるケースがあります。

統合失調症
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脇の臭いは誰にでも起こりうるものであり、特に体調に変化がない限り、病院を受診する人はまずいないでしょう。

しかし、脇の臭いに悩んでいる人は多く、対人関係の悪化など、日常生活に大きな支障をもたらすケースも少なくありません。また、中には何らかの病気が潜んでいることもあります。

防臭商品を使用しても脇の臭いが改善せずに日常生活に支障が生じている場合や、脇に何らかの病変(病気による変化)がある場合、臭いが気になって精神的な変調がある場合などは、特に早めに病院を受診するようにしましょう。

受診する場合の診療科は皮膚科や形成外科がよいですが、いわゆるワキガ治療を(うた)っている美容外科などで治療を受けることもできます。また、精神的な変調がみられる場合には精神科や心療内科を受診するとよいでしょう。

受診の際には、いつから脇の臭いが気になりだしたのか、臭い以外の症状、臭い対策をしても改善しないか、家族内に脇の臭いが強い人がいないかなどを医師に詳しく説明するようにしましょう。

脇の臭いの多くは、日常生活上の習慣が原因となります。主な原因と、それぞれの対処法は以下の通りです。

脇は臭いの元となる汗が多く分泌されるうえに蒸れやすい部位であるため、蒸れや不衛生な状態を放置すると臭いが強くなることがあります。

脇を清潔に保つには

脇の蒸れを防いで清潔な状態を維持するには、通気性がよく汗を吸収しやすい綿やシルクなどのシャツを着用したり、ゆったりとしたシルエットの衣類を選ぶことがおすすめです。

また、汗をかいたときには制汗剤を使用したり、こまめに()き取ったりすることで臭いの発生を予防することができます。

高カロリー、高脂肪な食事や乳製品の摂りすぎは皮脂の分泌を増やし、脇の臭いが強くなる原因になることがあります。

脇の臭いを抑える食生活とは

脇の臭いを抑えるには、皮脂の分泌を抑える和食や野菜を中心とした食事がおすすめです。また、アルコールの飲みすぎも臭いの原因となる物質を排出することがあるため、適度な飲酒にとどめるよう心がけましょう。

ストレスが溜まると、交感神経が活発にはたらいて汗の分泌量が増え、脇の臭いが強くなることがあります。

ストレスを溜めないためには

社会生活を送るうえで、ストレスを完全になくすことは困難です。しかし、自分に合った解消法を見つけることで、ストレスを溜めずに心身ともに健康な生活を送ることができます。また、十分な休息や睡眠時間を確保して疲れを溜めないことも重要な対策のひとつです。

日常生活上の対処法を講じても症状が改善しない場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性もあります。脇の臭いは日常生活に支障をきたすこともあるため、なるべく早めに症状に合った診療科を受診して、診察・治療を受けるようにしましょう。