手が荒れる:医師が考える原因と対処法|症状辞典

手が荒れる

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

特に寒い時期などによく生じる手荒れですが、ひどくなるとひび割れになったり、水がしみたりと日常生活に支障をきたすことも多いでしょう。

  • 日常的に水仕事をしており、特に冬場には手がガサガサに荒れる
  • 市販の湿疹用塗り薬を使っていたら症状が悪化した
  • 手足に黄色い(うみ)のようなものが溜まった水ぶくれができ、破れてガサガサになった

このような場合、どのような原因が考えられるでしょうか。

手荒れを起こす日常生活上の原因にはどのようなものがあるでしょうか。

水に触る機会の多い人や、その際に石鹸や洗剤などを使う人では手の皮膚のバリア機能が弱まり、手荒れの原因となることがあります。

水仕事が多い場合の対策、ケア

水仕事(特に洗剤を使う場合)や洗髪の際は、できる限りゴム手袋や使い捨てのプラスチック手袋をして行います。手袋の中で汗をかく場合には、綿手袋をした上から水を通さない手袋をするとよいでしょう。

ただし、天然ゴム(ラテックス)の手袋の場合、ラテックスアレルギーの人にかぶれを起こすことがあります。バナナ、キウイ、栗などを食べて、のどのかゆみやイガイガが出る方は、ラテックスアレルギーであることがあるため、ポリエチレンや塩化ビニルなど他の素材の手袋を使ったほうがよいかもしれません。

明らかに水仕事で症状が悪化しているようであれば、食器洗い機や洗濯乾燥機の導入を検討してもよいでしょう。

水仕事や手洗いの後は保湿を行います。市販のハンドクリームで界面活性剤を含んでいるものは、かえって皮膚表面の荒れを悪化させる場合があるため、市販のハンドクリームで改善しない場合は、界面活性剤を含んでいないものにするか少しべとつきますが白色ワセリンをおすすめします。

ハンドソープには、香料・殺菌成分・泡立ちやすくするための添加物などが加えられている場合があり、これら成分によりかぶれを起こす場合があります。

肌に合った製品を選ぶために

添加物の少ない固形石鹸を泡立てて使用するのが無難かもしれません。

自分でできる対処を行なっても症状がよくならないときには、一度受診を検討しましょう。思いも寄らない原因が隠れていることもあります。

手荒れの原因になる代表的な病気には、以下のようなものがあります。

進行性指掌(ししょう)角皮症

手先をよく使う仕事に従事する人や、水仕事の多い主婦に多く、主婦湿疹とも呼ばれます。

手荒れは、利き手の、よく使う親指・人差し指・中指の指先から始まり、手全体に起こることもあります。乾燥し、ひび割れやかさつきが起こります。

症状は、特に水温や気温が低くなる冬に悪化する傾向があります。

アトピー性皮膚炎

肌の荒れ、赤み、かゆみなどが現れる皮膚の病気です。発症にはアレルギー体質や皮膚のバリア機能障害などが関係しています。

症状は顔、首、ひじ、ひざの裏などに現れやすいですが、手にも出ます。

アトピー性皮膚炎
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皮脂欠乏症

皮膚をうるおすアミノ酸、セラミド、皮脂というアブラが減少することで、皮膚が乾燥してガサガサになる病気です。

年齢と共に皮脂の量が減ってくることや、手洗い・アルコール消毒のしすぎなどが原因となります。

接触皮膚炎(かぶれ)

何らかの物質に触れることで起こる皮膚炎で、手荒れ、赤み、かゆみなどが生じます。手は日常的にさまざまなものに触れるため、かぶれも起こりやすいです。

接触皮膚炎
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白癬(はくせん)

白癬菌はいわゆる水虫の原因となるカビです。水虫というと足に起こるイメージがありますが、手も含め体のどこにでも起こります。

手白癬では、水疱ができたり、皮がむけてきたりします。症状や見た目だけでは水虫であることに気づきにくく、湿疹などと間違えて市販のステロイドを含む塗り薬を使うと悪化させることがあるため、注意が必要です。

手白癬
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異汗性湿疹、汗疹、汗疱(かんぽう)、汗疱状湿疹

あせもや、あせもが悪化して湿疹を伴った状態です。手足のうらに小さい水ぶくれができ、乾燥してガサガサします。かゆみや違和感を伴うこともあります。

汗疱
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掌蹠膿疱症(しょうせきのほうしょう)

手足のうらに黄色いを持った水ぶくれができる病気で、赤み・痛みを伴います。水ぶくれが破れてガサガサになり、次第に治りますが、何度も同じようなことを繰り返します。

胸の骨と鎖骨、肋骨の合わせ目あたりに炎症を起こすことで、胸に痛みが起こることもあります。

金属アレルギー慢性副鼻腔炎扁桃炎歯周病などがあると発症することがあるとされています。

掌蹠膿疱症
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副鼻腔炎
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扁桃炎
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生活や仕事に支障が出ている場合、悪化している場合、自分でできるケアをしても改善しない場合は皮膚科への受診を検討しましょう。

受診の際には、普段どのように手を使っているか、ケアはどうしているか、市販薬を使用しているか、体の他の部分に症状はないか、などを医師に伝えるとよいでしょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • かゆみ、粉ふき、赤み、発疹、痛み、ヒリヒリした刺激感などがある
  • 短期間で明らかに広がっている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 保湿などですぐに改善する
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。