鼻がかゆい:医師が考える原因と対処法|症状辞典

鼻がかゆい

帝京大学医学部附属溝口病院 耳鼻咽喉科 教授/科長

白馬 伸洋 先生【監修】

ほこりっぽい空間に入ったときや、偶然小さなゴミが鼻の中に入ったときなどに鼻がむずむずとかゆくなることがあります。鼻の周りの皮膚、または鼻の中の粘膜が何らかの原因で刺激され、鼻にかゆみを覚えることは日常生活の中では珍しいことではありません。
しかし、中には鼻に関連する病気が原因でかゆみが引き起こされていることがあります。

このような症状が見られた場合、どのような原因が考えられ、どういったことに気を付ければよいのでしょうか。

鼻のかゆみの原因は、病気であることもありますが、日常生活上にある場合もあります。

鼻の粘膜はある程度湿っているのが通常ですが、乾燥すると鼻のむずむず感が強まり、かゆみを引き起こします。これは肌が乾燥するとかゆみが出やすくなることと同じです。

乾燥の強いときは

室内を適度な湿度に保ち、鼻の中が乾燥しないようにしましょう。特に空調が効き過ぎている室内では空気が乾燥しやすいため、適宜加湿器を使うなどして乾燥対策をします。

また、マスクを付けるときは濡らしたガーゼを内側に挟んでおくと乾燥の予防になります。

日々の生活の中でできる対策を実行しても症状の改善が見られないときは、医療機関への受診を検討しましょう。場合によっては思いもよらない原因が潜んでいることもあります。

鼻のかゆみは何らかの病気が原因となって起こっている場合があります。

主に以下のような鼻周辺の皮膚や自律神経に関連する病気が挙げられます。

アレルギー性鼻炎

花粉やダニ、動物の毛などが原因で鼻粘膜にさまざまなアレルギー症状が生じる病気です。

鼻・耳・のど・目などにかゆみが出るほか、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が出現します。場合によっては倦怠感や頭痛食欲不振などの全身症状も生じることがあります。

アレルギー性鼻炎にはハウスダスト・ダニなどが原因となる通年性のものと、花粉などが引き金となる季節性のものがあるため、アレルギーを起こす物質を特定するには、医師による詳しい検査が必要です。

血管運動性鼻炎

鼻の自律神経のはたらきに異常をきたすことで鼻が敏感になり、鼻水やくしゃみ、かゆみなどの症状が出る病気です。

症状はアレルギー性鼻炎と非常に似ていますが、医療機関でのアレルギー検査は陰性になります。

外気の寒暖差により発症しやすく、また、ストレスによって症状が悪化する場合があります。

鼻前庭(びぜんてい)湿疹

鼻前庭(鼻の穴の周辺)に湿疹ができ、かゆみ皮膚の乾燥を生じる皮膚炎の一種です。何度も鼻をかんだり、鼻毛のケアで鼻の穴周辺をいじり過ぎたりすることによる物理的な刺激が原因となります。

鼻のかゆみの原因となる病気はさまざまであるため、原因特定には医師による診察が必要です。かゆみがなかなか改善しない場合には、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

その際、いつからどの程度のかゆみがあるのか、他の症状はあるのか、などについてなるべく詳しく医師に伝えるとよいでしょう。すでにアレルギーを持っていることがわかっている人は、その点も伝えるとよいでしょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 風邪のような症状があり、程度が強い
  • 目のかゆみ、鼻水などが続いている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない
  • 花粉症など原因がはっきりしているが、症状が気になる
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。