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親知らずの痛み:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

親知らずの痛み

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • じっとしていられない程の激しい痛みがある
  • 高熱がある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 痛みが続いている
  • 腫れ、出血、しみるなど他の症状がある
  • 親知らずの生え方について指摘された事がある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

[医師監修] メディカルノート編集部【監修】

親知らずとは、上顎()下顎()ともに左右の最も奥に位置する大臼歯()のことです。通常の永久歯とは異なり、10代後半以降に萌出(ほうしゅつ)(歯が生えること)します。萌出スペースが十分ではないため、生え方に異常が見られやすく、顎骨()の中に埋伏して萌出しないケースもあります。このため、親知らずはさまざまなトラブルを生じることがあり、特に痛みは頻度の高い症状のひとつです。

  • 親知らず周辺の歯肉が腫れて痛みがある
  • 親知らずが生えていないものの、その部位の歯肉に痛みがある
  • 親知らずが斜めに生えて、隣の歯を圧迫して痛む

これらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

親知らずは以下のような病気が原因で痛みを生じることがあります。

親知らずの痛みは、親知らずの生え方の異常や汚れが溜まりやすいことが原因となって、以下のような病気が引き起こされることで生じることがあります。

虫歯

親知らずは萌出スペースが限られているため、斜めに生える、不完全に生えるなど、生え方の異常が生じやすい歯です。このため、歯をていねいに磨いたとしても食べカスなどが歯周ポケットや隣の歯との隙間に溜まりやすくなり、虫歯になる可能性が高い歯でもあります。親知らずが虫歯になりやすい生え方をしていると、当然隣の第2大臼歯にもプラーク(歯垢、細菌の塊)が停滞してしまうため虫歯になりやすくなってしまいます。

智歯周囲炎(ちししゅういえん)

親知らずの周辺に溜まった汚れが原因で、歯肉などに炎症を生じる病気です。歯肉の腫れや痛みを生じ、悪化すると(うみ)の流出や咽頭(いんとう)、扁桃(へんとう)への炎症の波及によって高熱などの全身症状がみられることもあります。また、炎症が慢性化すると顎骨()内に嚢胞(のうほう)を形成して歯肉の腫れや開口障害が生じることがあります。

智歯周囲炎
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埋伏歯

大部分が顎骨内に埋伏して萌出()しない親知らずです。無症状のこともありますが、隣の第2大臼歯を圧迫して痛みを引き起こしたり、親知らずにむし歯が生じて炎症を起こしたりし、痛みや腫れを生じることがあります。

埋伏歯
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歯根嚢胞()

虫歯が進行して歯根部にまで達し、嚢胞(内部に水分を蓄えた袋状の腫瘤(しゅりゅう))を形成する病気です。通常、嚢胞自体に痛みは伴いませんが、嚢胞内に感染を生じると強い痛みが生じ、顔面の腫れや開口障害を生じることがあります。

以下のような他部位に生じる病気による痛みを、親知らずの痛みとして自覚することがあります。

副鼻腔炎

副鼻腔に細菌やウイルス感染を生じて炎症を引き起こす病気です。顔面にはいくつかの副鼻腔がありますが、特に左右の頬にある上顎洞に炎症を生じると奥歯の部位に痛みが放散することがあり、しばしば親知らずの痛みと感じることがあります。副鼻腔炎では、そのほかにも鼻汁や鼻閉感()、発熱、顔面痛などの症状を伴うことが特徴です。

副鼻腔炎
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顎関節症()

顎関節内に炎症が生じる病気で、開口時の顎関節の痛みや関節音を生じます。顎関節への過度な負担や関節リウマチなどの関節疾患が原因で発症しますが、まれに痛みが奥歯に放散して親知らずの痛みと思われることがあります。

親知らずはトラブルが生じやすい歯であるため、痛みが生じたとしても自然に治る場合には病院を受診しない人も多いでしょう。しかし、親知らずの痛みは放置すると嚢胞()を形成して手術が必要となる場合や、ほかの健康な歯にまで悪影響を及ぼす場合もあるため、決して見過ごすことはできない症状のひとつです。

特に、非常に強い痛みが続いている場合、痛みが引いたりひどくなったりを繰り返す場合、隣の歯にも痛みがある場合、口腔内以外に何らかの症状がある場合には、なるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

受診する診療科は一般的な歯科や歯科口腔外科がよいですが、口腔内以外の症状がある場合は、必要に応じて耳鼻咽喉科などを受診するようにしましょう。

受診の際には、痛みがいつから続いているのか、再発を繰り返していないか、糖尿病など炎症が悪化しやすい病気を患っていないか、ほかの部位の症状はないかなどを詳しく医師に説明するようにしましょう。

親知らずの痛みは、日常生活上の習慣が発症原因となっていることがあります。主な原因と対処法は以下の通りです。

口腔内は、さまざまな雑菌や食べカスなどが溜まって不衛生になりやすい部位です。特に親知らず周辺は汚れが溜まりやすく、虫歯や歯肉の炎症を引き起こしやすいです。そのため、口腔ケアが不十分な状態が続くと痛みを生じる原因になることがあります。

十分な口腔ケアを行うには

食後や就寝前に歯磨きをすることはもちろん、親知らず周囲の汚れをしっかり取り除くことができるようにブラッシング方法にも注意しましょう。どんなに丁寧に磨いても親知らずの生え方によっては汚れが残ってしまうことがあるので、歯科医院を受診し、歯科医師や歯科衛生士による専門的なブラッシング指導を受けることが大切です。また、歯石が溜まった場合はブラッシングのみで取り除くことはできないため、定期的な歯科検診を受けて口腔内の衛生維持を目指しましょう。

口腔内は唾液の自浄作用によって衛生状態が保たれています。このため、唾液の分泌量が低下すると自浄作用が低下して虫歯や智歯周囲炎などを発症しやすくなり、痛みを引き起こす原因になることがあります。

唾液を十分に分泌するには

唾液の分泌量を維持して口腔内の自浄作用を保つには、適度な水分をとり、アルコールや塩分などの口の中が渇きやすい飲食物は適量に抑えることが大切です。

日常生活上の習慣を改善しても親知らずの痛みが改善しない場合や痛みを繰り返す場合には、根本的な治療として歯を抜く必要があるケースも少なくありません。また、口腔内以外の病気の可能性も考えられます。痛みが続くときには、なるべく早めにそれぞれの症状に合った診療科を受診しましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。