歯が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

歯が痛い

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • じっとしていられない程の激しい痛みがある
  • 胸、頭、背中など他の部位にも強い痛みがある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 痛みが続いている
  • 歯茎の腫れ、冷たいものや温かいものがしみる・噛むとしみるなどの症状がある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

[医師監修] メディカルノート編集部

歯の痛みは、乳幼児から高齢者まで全ての年代に起こる症状です。非常に発生頻度の高い口腔内トラブルのひとつであり、日常的に起こりうる症状であるため軽く考えられがちですが、原因は多岐にわたります。なかには非常に重篤な病気が潜んでいる場合もあり、注意が必要なことも少なくありません。

  • 冷たい物を口にすると、一部の歯に痛みを伴う強い刺激が加わる
  • 歯や歯茎に異常がないにもかかわらず、上顎の奥歯が痛む
  • 突然胸が苦しくなり、下顎の奥歯に痛みが生じる

これらの症状が見られる場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

歯の痛みは日常生活上のさまざまな習慣によって引き起こされることもあり、日常的によく起こる症状のため、市販の鎮痛薬などで対処している方も多いでしょう。しかし、なかには以下の病気が原因の場合もあります。

歯の痛みは歯や歯茎、頬粘膜など口の中に生じる病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

齲歯(うし)(虫歯)

歯の表面のエナメル質が口腔内に常在するミュータンス菌の生み出す酸によって溶解される病気です。発症初期は無症状のことが多いですが、進行するとエナメル質の下層を走行する神経を刺激して痛みを生じるようになります。特に、冷たい飲食物や食器などによる物理的な刺激が加わると瞬発的に強い痛みが引き起こされるのが特徴です。

また、重症化すると歯の内部を走行する神経に炎症が生じる「歯髄炎」や歯の根元に(うみ)が溜まる「歯根嚢胞(のうほう)」などに進行することも少なくありません。このような進行した状態になると神経に大きなダメージが加わるため、逆に痛みが軽減することも少なくありません。しかし、痛みが一時的に軽減したとしても、歯の病気は自然治癒することはなく、必ず治療が必要となります。

虫歯
関連記事数: 5記事

歯周病

歯と歯茎の隙間の「歯周ポケット」に細菌感染が生じて炎症を引き起こす病気です。歯茎の()れや発赤、痛み、出血などの症状を引き起こし、痛みが歯に放散することがあります。

また、進行すると歯周ポケットが深くなって歯のぐらつきが生じ、最終的には歯が抜け落ちることも多々あります。

歯周病
関連記事数: 8記事

口腔ヘルペス、手足口病、ヘルパンギーナなど

ウイルス感染症によって痛みを伴う口内炎が形成される病気では、歯茎にできた口内炎の痛みが歯に放散することがあります。多くは、口内炎のほかにも発熱やのどの痛み、鼻汁などの症状を伴うのが特徴です。

手足口病
関連記事数: 6記事
ヘルパンギーナ
関連記事数: 4記事

口腔がん

口腔内に発生するがんの総称ですが、特に歯肉がんなど歯に近い部位に生じるがんの痛みによって歯の痛みが誘発されることがあります。早期の段階では自覚症状はほとんど現れませんが、進行すると歯肉に大きなしこりができ、表面にびらんや潰瘍(かいよう)を形成して痛みや出血を引き起こすようになります。その結果、歯の痛みが引き起こされることがあります。歯肉がんは決して頻度が高い病気ではありませんが、時に歯周病と区別がつきにくいことがあり、注意が必要です。

歯の痛みは口の中以外に生じる病気によって引き起こされることもあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

副鼻腔炎

副鼻腔に細菌やウイルス感染が生じて炎症を引き起こす病気です。副鼻腔内に膿性の粘液が溜まることで鼻閉や膿性の鼻汁などを引き起こし、進行すると副鼻腔内の圧が上昇して頭重感や顔面痛などを生じるようになります。このため、上顎洞(じょうがくどう)に副鼻腔炎を発症すると、上顎の奥歯に痛みが放散することがあります。

副鼻腔炎
関連記事数: 9記事

心筋梗塞、狭心症

心臓の筋肉を栄養する冠動脈が閉塞したり一時的に狭窄(きょうさく)(狭くなること)したりする病気です。突然、前胸部に非常に強い痛みが生じ、冷や汗や意識消失などを伴うのが特徴です。特に心筋梗塞の場合は、冠動脈が閉塞するため、早急に治療を開始しないと心筋が壊死(えし)して死に至ることも少なくありません。

これらの病気による前胸部の痛みは腹部や肩、首、顎などに放散するのが特徴であり、特に左の下顎の奥歯の痛みが引き起こされることがあります。

心筋梗塞
関連記事数: 35記事
狭心症
関連記事数: 47記事

歯の痛みは日常的によく起こりうる症状であるため、軽く考えられがちですが、思わぬ病気が潜んでいる可能性もあります。また、早めに治療しないと抜歯や手術などが必要になることも少なくありませんので、痛みが続くときは病院を受診することがすすめられます。

特に、歯茎の腫れや出血などがある場合、歯がぐらついたり抜け落ちたりした場合、口腔外の症状を伴う場合、急激に強い歯の痛みが生じた場合はなるべく早く病院を受診しましょう。

受診に適した診療科はそれぞれの症状によって異なります。歯や歯茎など口腔内に何らかの病変がある場合は口腔外科や一般歯科、鼻汁や鼻出血などを伴う場合には耳鼻咽喉科、前胸部痛などを伴う場合は内科を受診しましょう。受診の際は、いつから歯が痛くなったのか、歯の痛みの誘因、随伴する症状、現在罹患している病気などを医師に詳しく説明しましょう。

歯の痛みは日常生活上の好ましくない習慣が原因で引き起こされることがあります。原因となる習慣とそれぞれの対処法は以下のとおりです。

口腔内は雑菌が繁殖しやすく、汚れも溜まりやすいため、不衛生になりやすい部位です。口腔内が不衛生な状態が続くと虫歯や歯周病を引き起こすことがあります。

口腔内を清潔に保つには

毎食ごとの丁寧なブラッシングはもちろんのこと、歯の隙間に詰まった汚れは歯間ブラシなどで丁寧に除去しましょう。また、セルフケアでは落としきれない歯石などは定期的に歯科医院でクリーニングしてもらうとよいでしょう。

空気が乾燥しやすい秋から冬にかけては、口や鼻の中が乾燥することで虫歯になりやすくなったり、風邪を引いて副鼻腔炎を発症しやすくなったりすることがあります。

口や鼻を乾燥から守るには

空気が乾燥した時期は外出時にマスクを着用したり、加湿器などを使用したりして室内の湿度を適度に保つようにしましょう。また、乾燥が気になるときは、こまめに温かい飲み物を摂って口や喉、鼻を蒸気で潤すのも有効です。

歯ぎしりや歯の食いしばりなどの癖によって、歯に過剰な負担がかかり痛みを誘発することがあります。

歯ぎしりや食いしばりを防ぐには

過度な緊張やストレスが原因になることが多いため、それらを軽減した生活を心がけることが大切です。日中は意識的に顎に力を入れないようにしましょう。また、就寝中は市販の歯ぎしり予防のケア用品を使用したり、歯科医院などで作成可能なマウスピースなどを使用したりすることもひとつの方法です。

日常生活上の対処法を講じても、歯の痛みが改善しない場合は思わぬ病気が潜んでいる可能性もあります。見過ごさず、それぞれの症状に合わせた診療科を受診するようにしましょう。