歯茎が腫れる:医師が考える原因と対処法|症状辞典

歯茎が腫れる

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • じっとしていられない程の激しい痛みがある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 腫れが続いている
  • 痛みなど他の症状がある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

歯茎は咀嚼(そしゃく)や発語などによって生じる歯の衝撃を吸収し、歯を支える重要な役目を担っています。しかし、歯茎には日常的に多くの外力が加わっており、飲食物の刺激や口腔内で増殖する雑菌などによってダメージを受けやすい部位です。このため、歯茎にはさまざまな症状が生じやすく、特に歯茎の腫れは発生頻度の高い症状のひとつです。

  • 口臭がひどく、歯茎の腫れや出血が見られる
  • 歯茎にしこりができて徐々に大きくなり、全体的に腫れている
  • 歯の痛みに続いて周辺の歯茎にも痛みと腫れが生じた

これらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

歯茎の腫れは、好ましくない生活習慣によって引き起こされることもありますが、なかには以下のような病気が原因の場合もあるので注意が必要です。

歯茎の腫れは歯茎に炎症を引き起こす病気によって生じることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

歯周病

歯と歯茎の間の歯周ポケットに歯石や歯垢などが溜まって細菌感染による炎症を引き起こす病気です。発症初期は自覚症状がないことが多いですが、徐々に炎症が進行すると歯茎の腫れや発赤、痛みなどを引き起こし、些細な刺激で出血するようになります。また、歯周ポケットが深くなることで歯を支える歯槽骨にまで炎症がおよび、歯の動揺や脱落を引き起こすことも少なくありません。

歯周病
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歯根嚢胞

虫歯(齲歯(うし))が進行し、歯根部(歯の根っこ)にまで炎症がおよぶことで、歯根部にが溜まった嚢胞(のうほう)(ふくろ)を形成する病気です。歯や歯茎に強い痛みが生じるばかりでなく、歯茎の発赤や腫れが生じ、(うみ)が流出して口臭の原因になることもあります。

歯根膜炎

虫歯の進行、歯への慢性的な強い外力などによって歯根部を取り囲む「歯根膜」に炎症が生じる病気です。歯茎の腫れや痛みを生じ、特に歯茎を押したり食べ物を噛んだりしたときに痛みが強くなります。また、歯が浮いたような感覚を生じることも少なくありません。

進行すると周囲のリンパ節が腫れたり、頭痛やあごの痛みを伴うこともあります。

歯髄炎
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含歯性嚢胞

智歯(親知らず)など歯茎の中に埋没して萌出(ほうしゅつ)(歯が生えること)しない歯の上皮組織から嚢胞(のうほう)が形成される病気です。多くの場合、自覚症状がなく、レントゲン撮影などで偶然発見されることがほとんどですが、嚢胞が大きくなると歯茎やあごが腫れることもあります。

半埋伏歯、不完全埋伏歯など

主に智歯に見られる病気で、歯が不完全に萌出した状態となる病気です。通常は特に症状はありませんが、食べカスなどの汚れが溜まりやいため歯茎に炎症を起こしやすくなって痛みや腫れを生じることがあります。また、炎症があごの骨などに広がると口が開かなくなったり、顔が大きく腫れたりすることも少なくありません。

歯茎の腫れは歯茎の生じる非炎症性の病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

歯肉がん

歯茎に発症するがんです。珍しいがんですが、発症すると歯茎にしこりを形成し、進行すると大きくなったしこりの表面にただれや潰瘍(かいよう)を引き起こします。そのため、痛みや出血を伴うようになり、歯茎が全体的に腫れた状態となります。

また、リンパ節転移を起こすことも多く、頚部(けいぶ)リンパ節にしこりが触れることがあります。

薬物性歯肉肥大

主に高血圧てんかんの治療薬、免疫抑制薬の一種による副作用で歯茎が増殖する病気です。歯茎が増殖することで歯茎の腫れを引き起こしますが、痛みや出血などの症状は伴いません。一方で、歯茎と歯に隙間ができやすくなるので歯周病などを発症しやすくなるとされています。

薬物性歯肉増殖症
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歯肉線維腫症

歯茎が異常増殖を引き起こし、歯茎の肥厚が生じる病気です。病変は歯茎全体におよぶことが多いとされています。遺伝や不衛生な口腔環境などの後天的な刺激によって発症すると考えられており、小児では歯茎が過度に肥大化することで歯の萌出が見られないこともあります。

歯茎の腫れは日常的によく起こりうる症状であるため、軽く考えられがちです。しかし、なかには早急な治療が必要な病気が潜んでいる場合もあり、治療が遅れることで抜歯や手術が必要になることも少なくありません。そのため、症状が長引くときは病院を受診することがすすめられます。

特に、以下の場合はなるべく早めに病院を受診しましょう。

  • 歯茎の痛みや出血などを伴う場合
  • 歯の痛みがある場合
  • 発熱などの全身症状がある場合
  • 腫れがひどくなる場合

など

受診に適した診療科は口腔外科ですが、まずは一般的な歯科医院を受診してもよいでしょう。受診の際には、いつから歯茎の腫れが生じたのか、腫れの誘因、随伴する症状、現在罹患中の病気や内服薬などを詳しく医師に説明するようにしましょう。

歯茎の腫れは日常生活上の好ましくない習慣によって引き起こされることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下のとおりです。

口腔内は雑菌が繁殖したり、食べカスなどが溜まることで不衛生になりやすい部位です。口腔内が不衛生な状態が続くと歯周病や虫歯を発症しやすくなり、結果として歯茎の腫れを引き起こすことがあります。

口腔内を清潔に保つには

毎食ごとに丁寧なブラッシングすることをはじめ、歯の隙間に残った汚れは歯間ブラシなどで丁寧に取り、歯垢を溜めないようにしましょう。また、セルフケアでは除去しきれない歯石などは定期的に歯科医院でクリーニングを受けて除去してもらうのもひとつの方法です。

ストレスや緊張感が続くと、無意識のうちに歯を食いしばることがあります。その結果、歯茎に過度な負担がかかり、歯茎の腫れを引き起こすことがあります。

歯に負担を与えないためには

適度なストレス解消法や緊張感をほぐす方法を身に着け、過度なストレスや緊張を感じない生活を心がけましょう。また、就寝中に無意識に歯を食いしばったり、歯ぎしりをしたりする場合は市販のマウスピースなどを使用するのもよいでしょう。

口で呼吸を続けると、口腔内が乾燥して歯茎に慢性的な刺激が加わった状態となり、歯肉増殖症を引き起こすことがあります。

口呼吸をしないためには

意識的に口を閉じて鼻で呼吸するよう心がけ、就寝中などは口の中が乾燥しないようにマスクを着用したり、室内を適度に加湿したりするようにしましょう。

日常生活上の習慣を改善しても、歯茎の腫れがよくならないときは思わぬ病気が潜んでいることがあります。軽く考えずに早めに病院を受診して、検査・治療を受けるようにしましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。