歯が黒い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

歯が黒い

受診の目安

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  • 歯の痛み、しみるなどの症状がある
  • 歯の一部分だけが黒くなっている
  • 半年以上歯科でのチェックを受けていない

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 他の症状はないが、見た目が気になる

[医師監修] メディカルノート編集部

ヒトの歯の表面はエナメル質と呼ばれる半透明の硬い組織で覆われており、その直下には象牙質があります。象牙質は薄黄色から灰色っぽい色になっており、これらがエナメル質から透けて見えるため、健康的な歯はやや黄色味を帯びた乳白色に見えます。

しかし、歯の色はさまざまな原因によって変色することがあります。なかでも「歯の黒い変色」は比較的よく見られる症状のひとつです。

  • 歯茎に腫れや出血が生じ、歯茎と歯の境目に黒っぽい変色がある
  • 歯に強い痛みがあり、歯全体がまだらに黒くなる
  • 転倒して前歯を強く打ったところ、前歯全体が黒っぽくなった

これらの症状がみられる場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

健康な状態の歯は、表面を覆う半透明のエナメル質から直下に存在する象牙質の色調が透けて見えるため、黄色味を帯びた乳白色に見えています。歯の色には個人差がありますが、正常な範囲を大きく逸脱して変色することも少なくありません。

特に、歯の黒い変色は比較的よく見られる症状で、歯や歯茎などの病気が原因となることもあります。歯が黒くなる病気には以下のようなものが挙げられます。

歯の黒い変色は、歯の内部に生じる病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

虫歯(齲歯:うし)

乳幼児から高齢者まで幅広い年代で発症する歯の病気であり、口腔内のミュータンス菌がつくる酸性物質によって歯の表面のエナメル質が溶解され、徐々に深層にまで進行していくのが特徴です。エナメル質や直下にある象牙質に浸食した段階では痛みなどの自覚症状はありませんが、象牙質のさらに深層に存在する歯髄(歯の神経)にまで到達すると鈍い痛みを引き起こします。

また、歯の溶解と再石灰化を繰り返すことで歯が黒く変色するのも特徴のひとつであり、早期の段階では歯の表面の隙間などが黒くなるにとどまりますが、進行して象牙質や歯髄にまで広く炎症が広がると歯全体が黒く透けて見えるようになります。

虫歯
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歯髄炎

進行した虫歯の一種で、歯の深層を走行する歯髄(歯の神経)に炎症が広がる病気です。歯髄炎にまで進行した虫歯は強い痛みを生じますが、炎症が続くと神経がダメージを受けることで痛みを感知する機能が低下し、徐々に痛みが軽減していくのが特徴です。

また、歯髄に強いダメージが加わると、歯髄や象牙質に黒ずみが生じて歯が黒くなることも少なくありません。

外傷性破折

転倒や事故などによって歯を強打することで、歯が折れたり亀裂が入ったりする病気です。特に前歯に発症しやすく、歯へのダメージが歯髄におよんで神経が死んでしまうと、その壊死産物が血液成分と結合して硫化鉄をつくり、黒紫色に変わるので黒っぽく見えるようになることがあります。また、エナメル質の下層で出血が生じると出血痕が透けて見えて歯が黒く変色することがあります。そのほかにも、歯の動揺や脱落、歯並びの変化などを生じることも少なくありません。

虫歯の治療跡

保険診療では、虫歯の治療の際に削り取った部位を充てんするために所謂「銀歯」と呼ばれる金属が使用されます。これらの金属は経年劣化によって黒ずむことがあり、さらに2種類以上の金属が口腔内で使用されている場合には、化学反応を引き起こして金属が溶解してしまうことがあります。その結果、詰め物周囲の正常なエナメル質を黒くする原因となり得ます。

歯の黒い変色は歯茎に生じる病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

歯周病

歯と歯茎の隙間である「歯周ポケット」に細菌感染が生じることで炎症を引き起こす病気です。多くは歯と歯茎の隙間などに付着した歯垢が原因となり、歯茎の痛みや腫れ、発赤、悪臭を引き起こし、歯磨きなどの些細な刺激で容易に出血するようになります。また、進行すると歯周ポケットが深くなって、歯の動揺や脱落を伴うことも少なくありません。

歯周病では歯垢が酸化された血液や飲食物の着色などによって黒くなることがあり、それが原因で歯の根元が黒く見えることがあります。

歯周病
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歯の黒ずみは比較的よく見られる症状であるため、痛みや歯の動揺などを伴わない場合には病院を受診する人は少ないでしょう。しかし、歯の黒ずみは思わぬ病気が潜んでいる可能性もあり、なかには歯髄にまでおよんで強い炎症が引き起こされ、抜髄(神経を取ること)や抜歯が必要となる場合も少なくありません。歯の黒ずみが気になる場合は、軽く考えずなるべく早めに病院を受診する必要があります。

特に、歯や歯茎の痛みを伴う場合、歯が動揺している場合、外傷によって歯の一部を強く打った場合などはなるべく早めに病院を受診しましょう。

受診に適した診療科は口腔外科や一般歯科ですが、コントロールの悪い糖尿病など歯周病を悪化させる原因となる病気に罹患している場合はかかりつけの内科などで相談するのもひとつの方法です。

受診の際は、いつから歯が黒くなったのか、誘因の有無、随伴する症状、現在罹患している病気や内服中の薬などを詳しく医師に説明するようにしましょう。

歯の黒い変色は、日常生活上の好ましくない習慣によって引き起こされることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下のとおりです。

歯の表面のエナメル質は、飲食物に含まれる色素が沈着して変色することがあります。中でもコーヒーなどは黒っぽい色素が沈着して歯の黒ずみを引き起こします。

歯の着色を防ぐには

色素の濃い飲食物を口にした後は口をゆすいだり、歯を磨くなどして色素沈着が生じる前に色素を除去するようにしましょう。また、定期的に歯科医院などでクリーニングを受けるのもひとつの方法です。

タバコの中に含まれるタールなどの成分は歯に茶から黒色の色素沈着を引き起こすことがあります。特に歯の根元や内側に生じやすいのが特徴です。

タバコによる歯の黒ずみを防ぐには

喫煙はさまざまな有害物質を含むため、「百害あって一利なし」です。そのため、健康を維持するためにも厳密な禁煙をすることが望ましいと考えられます。自分の意思のみで禁煙するのが難しい場合は、禁煙外来で禁煙補助薬を処方してもらうなど医療の介入を検討しましょう。

口の中はさまざまな雑菌が繁殖しやすく、人体の中でも不衛生になりやすい部位です。口腔内が不衛生な状態が続くと、歯周病や虫歯など歯の黒ずみの原因となる病気を引き起こしやすくなります。

口腔内を清潔に保つには

毎食後の丁寧なブラッシングはもちろんのこと、歯ブラシでは落としきれない歯の隙間などの汚れは歯間ブラシやデンタルクロスなどを用いて丁寧に除去するようにしましょう。また、歯に沈着した歯垢はセルフケアだけでは取り切れませんので、半年に一度は歯科医院を受診してクリーニングを受けるのも効果的です。

日常生活上の習慣を改善しても、歯の黒さが変わらない場合は思わぬ病気が潜んでいる可能性も考えられます。中には早急な治療を要する病気もありますのが、軽く考えず早めに病院を受診して治療を受けるようにしましょう。