歯茎が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

歯茎が痛い

受診の目安

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場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

歯茎は粘膜で覆われており、歯を包むように存在しています。歯茎と歯の隙間には「歯周ポケット」と呼ばれる隙間があり、飲食物や唾液のカスなど、さまざまなものが溜まりやすくなっています。このため、歯茎は口腔内の衛生状態が悪化すると炎症を起こしやすい部位です。また、粘膜特有の病変ができて痛みを伴うことも少なくありません。

  • 歯茎が腫れて痛みがある
  • 歯茎の痛み以外にも出血や歯の痛みがある
  • 歯茎に潰瘍(かいよう)のような病変ができて痛む

このような症状が現れた場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。

歯茎の痛みはさまざまな病気によって引き起こされます。歯茎の痛みの原因となる病気には以下のようなものが挙げられます。

歯茎の痛みは歯茎自体に以下のような病気がある場合に生じることがあります。

歯肉炎

歯の隙間や歯周ポケットに、飲食物のカスなどから形成される歯垢が蓄積し、細菌が増殖することで歯茎に炎症が生じる病気です。歯茎の腫れや出血などを伴うことが多く、口臭の原因にもなります。

歯肉炎
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歯周炎・歯周病

歯肉炎が進行して歯周ポケットが深くなり、歯槽骨(しそうこつ)(歯が収まっている顎の骨)にまで炎症が波及する病気です。歯茎の痛みや腫れ、出血だけではなく、炎症によって歯槽骨がダメージを受けて歯の安定性が失われ、歯を抜かざるを得なくなることも少なくありません。また、歯周ポケットから(うみ)が排出され、強い口臭を放つこともあります。

歯周炎
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歯周病
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歯槽膿瘍(しそうのうよう)

歯周炎による炎症や虫歯が悪化すると歯槽骨の周囲にの塊である瘍を形成することがあります。非常に強い痛みを伴い、腐敗臭を放つ口臭がみられるようになります。また、上顎にできた場合には炎症が脳内まで波及して脳膿瘍の原因となることもあるため早急な治療が必要です。

口内炎

歯茎にも口内炎ができることがあります。特に表面が白い偽膜で覆われた口腔内アフタは強い痛みがあり、悪化すると潰瘍を形成することがあります。

ストレスや食生活の乱れなどが原因となることが多いですが、中にはベーチェット病やヘルペス・ヘルパンギーナなどの感染症によるものもあります。

口内炎
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ベーチェット病
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歯根膜炎

虫歯や咬合不全(こうごうふぜん)(かみ合わせがよくない状態)、外傷などの過度な外力によって、歯根(歯の根っこ)を覆う歯根膜に炎症が生じる病気です。歯茎の痛みだけでなく、咬合時の歯痛や、歯が浮いた感じ(挺出感)などを伴うのが特徴です。

歯肉がん

歯茎にできるがんで、中年以降の男性に好発します。喫煙や飲酒、歯並びの悪さなどによる歯茎への刺激が発症の原因と考えられています。

一般的に、早期の段階では自覚症状はありませんが、進行してがんが大きくなると歯茎の腫れや痛みなどが生じ、歯槽骨や歯が溶解されて抜け落ちることもあります。

歯茎の痛みは以下のような歯茎以外の病気によって引き起こされることがあります。

副鼻腔炎(ふくびくうえん)

副鼻腔に炎症が生じ、鼻閉や鼻汁、頭重感、顔面痛などの症状を引き起こす病気です。副鼻腔炎の中でも特に上顎洞(じょうがくどう)に炎症が生じているものは、上顎に痛みが放散して歯茎の痛みを自覚することがあります。

心筋梗塞、狭心症

心臓の冠動脈が狭窄・閉塞することによって生じる病気です。発症すると非常に強い左胸の痛みや圧迫感、灼熱感(しゃくねつかん)が生じますが、歯茎に痛みが放散することがあります。特に左下顎の歯茎に放散しやすく、突然痛みが現れた場合は注意が必要です。

心筋梗塞
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狭心症
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歯茎の痛みは口腔内の衛生状態が悪化したときに生じやすく、日常的にもよくみられる症状です。しかし、歯茎の炎症による痛みは放置すると進行して、最終的には歯を失う可能性も出てきます。また、中には早急な治療を必要とする病気が潜んでいる可能性もあります。

歯茎の痛み以外にも腫れや出血、歯痛、潰瘍などがみられた場合や口腔内以外の部位に何らかの症状がある場合は病院を受診して適切な検査・治療を受けることが望まれます。

また、歯周ポケットに溜まった歯垢はブラッシングだけで除去することは難しく、歯科医院での専門的なクリーニングが必要ですので、特に症状がない場合でも定期的な歯科検診を受けることをおすすめします。

受診に適した診療科は一般的な歯科や口腔外科などですが、歯茎に潰瘍がある場合、他の身体症状がある場合はかかりつけの内科などで相談するのもよいでしょう。

受診した際には、いつから痛みがあるのか、痛み以外にどのような症状があるのかをしっかりと医師に伝え、前回の歯科検診の結果がある方は持参するようにしましょう。

歯茎の痛みは日常生活上の習慣が原因になっていることがあります。考えられる主な原因には以下のようなものが挙げられます。

口腔内はさまざまな飲食物、粘膜のカスが残りやすく、細菌が繁殖しやすい部位です。このため、適切な口腔ケアを行わないと歯茎に炎症が生じやすくなります。

適切な口腔ケアを行うには

歯茎の痛みを予防するための口腔ケアで大切なのは、飲食後はしっかり歯を磨き、歯の隙間や歯周ポケットにカスを溜めないことです。また、半年に一度は歯科医院で歯のクリーニングを受けることが推奨されます。

歯茎はデリケートな粘膜で覆われています。このため、過度な香辛料やアルコール、喫煙などの刺激で痛みを生じることがあります。

歯茎に刺激を与えないようにするには

歯茎への刺激を最小限に抑えるには、香辛料やアルコールは適量に控え、禁煙することが大切です。また、歯磨き粉やマウスウォッシュ製品も刺激が強いものは痛みを伴う場合もありますので、口腔ケア用品を使用して痛みを感じた場合は使用を中止しましょう。

歯ぎしりやスポーツなどで歯を強く噛みしめる癖のある方は、慢性的に歯茎に強い外力が加わった状態となって痛みを生じることがあります。

歯ぎしりや歯の食いしばりをやめたいときには

歯ぎしりや歯の食いしばりは意識的にやめようとしても、中々上手くいくものではありません。このため、睡眠時やスポーツをするときにマウスピースを装着するのがおすすめです。自身の歯型に合ったマウスピースは歯科医院で作成できますので、思い当たる症状がある方は一度相談してみて下さい。

日常生活上の習慣を改善しても、歯茎の痛みが改善しない場合はセルフケアだけでは除去できない歯茎周囲の汚れがあることや、何らかの病気が潜んでいることが考えられます。中には心筋梗塞などの生命に関わる病気が潜んでいるケースもありますので、放置せずになるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。