インタビュー

乾癬の種類――5種類の乾癬は、それぞれどのようなもの?

乾癬の種類――5種類の乾癬は、それぞれどのようなもの?
佐藤 佐由里 先生

山王病院 皮膚科部長

佐藤 佐由里 先生

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乾癬(かんせん)はいまだになぜ起こるのか、原因がはっきりと解明されていません。乾癬にはいったいどのような種類があるのでしょうか? 山王病院皮膚科部長であり、乾癬治療を専門に行っていらっしゃる佐藤 佐由里(さとう さゆり)先生にお話をお聞きしました。

乾癬の種類は、“尋常性乾癬”“膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)”“乾癬性関節炎”“滴状乾癬”“乾癬性紅皮症”の5つに分類されますが、頻度的には“尋常性乾癬”である患者さんがほとんどです。

もっとも頻度の高い乾癬です。

全身どこにでも生じる可能性がありますが、特に機械的な刺激を受けやすい頭・肘・腰・膝などにできやすく、銀白色の落屑(皮膚の粉のようなもの)が付着した境界明瞭な紅斑が特徴です。患部には時にかゆみを生じることがあります。皮膚の症状は気候の変化・ストレス・肥満・扁桃炎などの感染症で悪化することがあります。

重症度に応じて外用治療・光線治療・内服治療・生物学的製剤で治療します。詳しくは次の記事「乾癬の治療―5種類の治療法、それぞれの特徴・注意点とは?」をご参照ください。

膿疱性乾癬には、2つのタイプがあります。
1つ目は、前述の尋常性乾癬がもととなり、妊娠や感染症、ステロイド内服治療などが誘因となって全身に膿疱が発生するタイプ。
そして2つ目は、急な発熱とともに、急性に通常の皮膚から膿疱(黄色っぽい汁が中に詰まっている水疱(すいほう))や落屑(皮膚の粉のようなもの)を伴う紅斑が多発するという、電撃的な発症をするタイプです。
膿疱性乾癬乾癬の中でも重症のため、入院で厳重な治療を要します。なお、頻度としては非常にまれで、難病指定にもなっています。

急激な発熱・全身倦怠感・全身に膿疱と紅斑などが生じ、特に重症な場合は、低タンパク血症を招くことがあります。

重篤な状態の場合は、入院して、点滴などの全身管理をしながら、生物学的製剤、顆粒球吸着除去療法(GCAP)など全身療法を中心に治療します。

その名のとおり、関節炎を伴う乾癬です。尋常性乾癬膿疱性乾癬乾癬性紅皮症などほかの病状に伴ってみられる場合もあります。

指のDIP関節(いわゆる第一関節)と呼ばれる部分が炎症を起こし、痛みが生じます(ここは関節リウマチの好発部位とは異なります)。そのほか、腰痛(仙腸骨関節炎)や四肢の関節炎・背部痛(脊椎関節炎)・足首の痛み(アキレス腱付着部炎)が生じることもあります。
いずれも放置すると、関節の破壊や変形が出て、治療をしても変形が残ってしまうことがありますので、早期発見・早期診断が重要です。近年では早期に生物学的製剤などの投与を行うことで、変形しないうちに炎症を抑える治療ができるようになってきました。

関節炎の治療は、軽症の場合は鎮痛剤内服で経過をみることもあります。進行した場合も、近年、生物学的製剤が登場して治療の効果がよくなったため、関節炎の進行を止めることも期待できるようになりました。
また、単独で、あるいは生物学的製剤とともに“メトトレキサート”の内服を行うこともあります。

細菌感染やウイルス感染に伴い、突然体のいたる箇所に滴状の乾癬の皮疹が多発するタイプの病気です。そのため、この型の乾癬の皮疹を診るときには、まず扁桃腺などに細菌が感染していないか・細菌やウイルスが体に潜んでいないか調べる検査を行います。
滴状乾癬はほかの乾癬と異なり、感染症が治まると皮疹も消失することがありますが、尋常性乾癬へ移行するケースもあります。

尋常性乾癬に準じる外用治療を主体に行いますが、抗生物質の内服など、感染症に準ずる治療も並行して行うこともあります。

まれな乾癬の重症型です。乾癬の紅斑が地図状に融合して、健常な皮膚を残さずにほぼ全ての皮膚が紅斑で真っ赤に覆われた状態です。
紅皮症の状態で初めて皮膚科を受診すると、医師も目で見ただけでは薬疹アトピー性皮膚炎など、ほかの皮膚疾患が悪化したものと区別がつかないので、皮膚生検を行ってから乾癬が原因だと診断されるケースもあります。

重症型の乾癬として、外用治療だけでなく全身治療も行われます。

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