かくいがくけんさ

核医学検査

画像検査
X線などを用いて、外からは見えない臓器や骨・筋肉などの様子を調べる検査です。
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核医学検査とは、放射線を放つ放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を含む薬剤を用いて体内の様子を画像化する検査方法です。専用のガンマカメラやPET装置で撮影し、体の外からは見えない病気の場所や臓器の状態を調べることができます。心臓や脳、甲状腺、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)などの診断に役立つ検査方法として、幅広い分野で活用されています。

この検査は、CTやMRI、X線(レントゲン)検査、超音波(エコー)検査と同様に、画像で診断する検査方法の1つです。CTやMRIなどは一般的に形や位置、大きさを調べるために行われますが、核医学検査は臓器のはたらきをみることが主な目的となります。

核医学検査の特徴として、受けられる方の体への負担が少ない点が挙げられます。通常、30分間ほど検査用のベッドに横になっている間に検査が終了します。さらに、臓器の形の異常が現れる前に、臓器のはたらきの変化をとらえることができるため、病気の早期発見に有用と考えられています。

なお、核医学検査は全ての医療機関で実施できるわけではなく、検査の種類ごとに、設備や人員、安全管理などのさまざまな要件が設定されています。設備については、放射性医薬品という特殊な薬剤の取り扱いが可能な設備や、専用の撮影装置など必要な機器が備えられている必要があり、それらの取り扱い手順も詳細に定められています。また、核医学検査の経験をもつ専門の医師や診療放射線技師が、安全に配慮して実施できる体制が整えられています。

核医学検査を実施している医療機関は限られており、検査の種類によって受け入れ可能な施設も異なるため、事前に確認が必要です。

核医学検査は、検査の種類によって異なりますが、一般的には病気の診断を目的として行われます。最適な治療法を選択するための初期診断や、治療効果の確認、経過観察の目的でも実施されます。

代表的な核医学検査には、以下のような種類があります。

PET検査、FDG-PET検査

主にがんの病期診断を目的として行われます。がん細胞は通常の細胞と比べてブドウ糖を大量に消費する特徴があります。この性質を利用し、ブドウ糖に放射性同位元素を結合させたFDGという薬剤を用いて、体内でのがん細胞の位置や広がりを確認します。

骨シンチグラフィ

骨の代謝が活発な部位に集まる薬剤を使用し、がんの骨への転移(骨転移)の有無を確認する検査です。特に骨転移を起こしやすい乳がん、前立腺がん、肺がんの治療前後で実施され、治療方針の検討や経過観察に活用されています。

また、骨の炎症や骨折などの診断にも用いられ、全身を一度に観察することが可能です。X線検査と比較して感度が高く、早期発見に優れた検査方法とされています。

心筋血流シンチグラフィ、SPECT検査

狭心症や心筋梗塞(しんきんこうそく)の診断を目的に、血流不足を起こしている心筋の場所の特定や心臓のはたらきを調べる検査です。検査結果は治療方針を決定する際に役立てられます。血管造影検査と比較して患者への負担が少ないため、治療後の経過観察としても利用されています。

脳血流SPECT検査

脳の血流を調べるための検査です。脳血流の変化を観察することで、脳梗塞、認知症、てんかん、脳腫瘍(のうしゅよう)、外傷といったさまざまな病気の診断に役立てられています。

核医学検査に使用される薬剤は、放射能が減衰すると使用できないため、薬剤によっては当日中の使用が必要となります。検査日時に合わせて薬剤を準備するため、事前予約が必要です。やむを得ずキャンセルする場合は、速やかに医療機関へご連絡ください。

検査の種類によっては、事前に絶食や食事内容の制限、服用中の薬剤の一時中断が必要となる場合があります。これらの注意事項については、事前に医師の指示を確認し、従うようにしてください。

なお、核医学検査では、一定程度の放射線被ばくを伴います。1回の検査における被ばく量は0.2~8ミリシーベルト程度で、通常のX線検査やCTと大きな違いはありません。

妊娠中の方は、原則として核医学検査を行いません。そのため、検査予約のときに妊娠または妊娠の可能性の有無を必ず医師にお伝えください。また、検査の種類によって注意事項が異なりますので、持病などがある方は事前に医師に相談してください。

検査の種類によって異なりますが、検査に必要な薬剤は主に注射で体内に投与され、薬剤が目的の臓器に集まるまで、通常約1~3時間が必要です。ほとんどの場合は1日で検査は終了しますが、なかには薬剤投与から数日後に再度来院が必要な検査もあります。注射時以外に痛みを感じることは通常なく、副作用もほとんどありません。

核医学検査が終了すると、核医学を専門とする医師が撮影画像を読み解き(読影)、レポートを作成します。このレポートは検査を依頼した医師に渡され、その後、患者へ検査結果が説明されます。説明は画像を見ながら行われることもあります。不明な点があれば医師に確認するようにしましょう。

なお、検査結果の解析や読影レポート作成に時間を要するため、患者への結果説明は検査の翌日以降になることがあります。

核医学検査で異常が発見されても、それだけでは病気と断定することはできません。最終的な診断は、患者の症状やそのほかの検査結果を合わせて総合的に判断されます。また、状況に応じて追加の検査が必要となる場合もあります。

核医学検査の結果などから病気と診断された場合は、医師の指示に従い、必要な治療や定期的な検査による経過観察を継続してください。また、日常生活上の改善や工夫が必要な場合は、専門家や周りの方とも相談しながら取り組んでください。

検査で異常が見つからなかった場合でも、定期的に健診や人間ドックを受診することを心がけましょう。多くの病気は、ある程度進行しないと自覚症状が現れません。特に、がんは自覚症状が現れた時点では有効な治療が困難な場合もあります。年1回程度の定期的な健康診断や人間ドックの受診が、病気の早期発見に役立ちます。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。

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