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インタビュー

頚椎椎間板ヘルニアとはどんな病気?治療の選択肢について

頚椎椎間板ヘルニアとはどんな病気?治療の選択肢について
原 徹男 先生

国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 副院長・脳卒中センター長、順天堂大学大学院医学研...

原 徹男 先生

首・肩・腕の痛みの原因となり、ひどくなると日常生活も送れないほどの運動麻痺などを引き起こす頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニア。今回は頚椎椎間板ヘルニアの治療方法について、ご紹介します。

頚椎ヘルニアの治療法は症状によって異なります。手足が動かなくなるような運動麻痺がでていたら、基本的に手術を選択します。麻痺の程度が非常に軽い場合やしびれや痛みなどの感覚障害だけの場合、通常は3~4ヶ月ほど内服薬や頚椎装具の装着などによる治療(保存的治療)で様子をみます。

頚椎カラー(ネックカラー)

頚椎カラー(ネックカラー)

頚椎ヘルニアの保存的治療の基本は首の安静です。“頚椎カラー(ネックカラー)”という首に巻く装具をつけて安静にした上で、消炎鎮痛剤やビタミン剤の内服を行います。また牽引(けんいん)療法という、専用の機械で軽く首を引っ張りあげるような治療もよく行われます。

事故や外傷などの強い衝撃によって椎間板ヘルニアになった場合は、脊髄を急激に破壊するので運動麻痺がでやすくなります。しかし、ほとんどの頚椎ヘルニアでは徐々に脊髄を圧迫していくので、しびれや痛みといった感覚障害や体の重だるさが最初の症状として現れます。この初期の段階でMRIを撮影して、椎間板が少し出ている程度であれば、首を上にひっぱる牽引療法を行います。

牽引療法

牽引療法

牽引治療は昔から行われている方法ですが、これにより症状がよくなる、あるいは症状がなくなる人もいるので、今でも有効な治療法のひとつです。どの程度行うのかは医師の判断によりますが、10分程度ひっぱる治療を1日に2、3回行うのが一般的です。

しかし牽引療法は、行った後1~2時間は効いていますが、効果の持続はあまり期待できません。牽引療法は、本当なら手術による治療が望ましくても、色々な理由で手術を受けない患者さん(首にメスを入れるのが怖い、高齢であるなど)にも行います。しかし、基本的には症状の軽い患者さんに行う治療で、運動麻痺が出ているような重症の患者さんには行いません。

このような保存的治療に加え、患者さんがご自分でできることとして、首を前に倒す(前屈)と椎間板の間にスペースが生まれ、圧迫が和らいで症状が良くなることがあります。逆に首を後ろに反らせる“後屈運動”は、とても危険なので絶対にしてはいけません。

美容院で洗髪をする際、首を後ろに反らした状態でシャンプー(バックシャンプー)を行ったことによって、頚椎ヘルニアを発症した例もあります。頚椎ヘルニアが発症しやすくなる40歳代以降の方は、バックシャンプーがリスクになりえますので、できれば避けたほうがよいでしょう。

頚椎ヘルニアによって運動麻痺が出ている場合、放っておいたらどんどん悪化していきますので、手術を受けざるをえません。手術の方法は椎間板の飛び出し(ヘルニア)が何か所で起きているかによります。頚椎ヘルニアでは、椎間板の飛び出す位置は主に4か所あります。中でも圧倒的に多いのが、上から5番目と6番目の頸椎の間、または6番目と7番目の間の椎間板が飛び出しているケースです。

椎間板の飛び出し(ヘルニア)が1~2か所の場合は、首の前方から手術を行う〝前方除圧(ぜんぽうじょあつ)固定法゛と呼ばれる手術が行われます。

前方除圧固定法の場合、脊髄や神経を圧迫している椎間板をかきだして椎骨と椎骨の間にできたスペースに自分の骨(自家骨)を移植、あるいはチタン製のインプラントを行って固定を行います。チタンのインプラントを用いた場合、手術の翌日からの歩行が可能ですが、自家骨の移植の場合は骨同士が癒合(ゆごう:くっつくこと)するのに3ヶ月程度かかりますので、術後は日常生活をある程度制限していただく必要があります。

椎間板の飛び出し(ヘルニア)が3カ所以上ある場合、医師によって意見は分かれますが、首の後ろから手術を行う“後方除圧(こうほうじょあつ)”という方法をとることがあります。これは、飛び出している椎間板には手をつけず、首の後方から脊髄の周りのスペースを確保して圧迫を緩和するやり方です(棘突起(きょくとっき)切除術や椎弓(ついきゅう)形成術・脊柱管(せきちゅうかん)拡大術など)。棘突起切除術は、ヘルニア症状が改善しても術後の後遺症で別の痛みが生じることがあるため、日本では椎弓形成術や脊柱管拡大術を行うことが多いです。

記事1:頚椎椎間板ヘルニアとは。神経を圧迫する20代30代に多い病気
記事2:頚椎椎間板ヘルニアは完治しない?―検査と治療後の回復について
記事3:頚椎椎間板ヘルニアとはどんな病気?治療の選択肢について
記事4:頚椎椎間板ヘルニアの手術、効果と危険はどのくらい?―合併症と手術後について
記事5:頚椎椎間板ヘルニアの気になる疑問―鍼灸、ストレッチ、マッサージの効果、枕の選び方、頭痛はなぜ起こる?

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  • 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 副院長・脳卒中センター長、順天堂大学大学院 医学研究科客員教授

    原 徹男 先生

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