
喉頭がんは、喉頭に発生する代表的な病気です。喉頭は大きく3つに分かれており、腫瘍ができる部位によって病名や症状が異なります。喉頭がんとはどのような病気なのか、その原因は何なのか、東京医科大学耳鼻咽喉科学分野主任教授の塚原清彰先生にお話をお伺いしました。
喉頭がんは、頭頸部がんの一種です。頭頸部とは、顔面頭蓋(脳の硬膜から下)から鎖骨、胸骨の高さの範囲を指します。脳、脊髄、眼窩内は含まれません。私たち頭頸部外科は鼻腔、口腔、喉頭、唾液腺、顎下腺、甲状腺なども診療します。頭頸部がんの発生頻度は、すべてのがんのうち3~5%の割合といわれており、頻度としては決して高くありません。
喉頭がんはその名のとおり、喉頭にできるがんです。
喉頭に付属する声帯がある箇所は声門と呼ばれ、声門より上部分を声門上、下部分を声門下といいます。喉頭がんはここに発生し、発生した場所によって3つに分類されます。このうち最も患者数が多い声門がんは、患者総数のうち60%以上におよびます。また、声門上がんが30%程度であり、声門下がんの頻度は低くなっています。
声門がんを発症した患者さんは、ほぼ全員が嗄声(させい)という、がらがら、ざらざらしたような声やかすれ声が目立つようになります。この嗄声が2週間以上治まらない場合であれば、患者さんのほとんどが病院に訪れるため、早期発見が多いタイプの喉頭がんです。早期発見が多いため、リンパ節転移の可能性も少なく、転移する前に治療できることも少なくありません。一方、発見が遅れて進行すると血痰、呼吸困難などの症状があらわれます。
声門上がんの多くは最初にのどに何かが詰まっているなどの違和感があらわれます。また、食事をするとき、刺激の強い料理などで痛みを感じることもあります。痛みは進行するにつれ、耳のほうにまで広がっていき、首のあたりにあるリンパ節が腫れてくることも多いといわれます。進行すると、声門にまでがんが侵出し、嗄声や呼吸困難といった声門がんの症状がみられます。
声門上がんは声門に病変がかかっていないため、初期のころは声がかすれず、気づかれないことが多いです。声門上がんが声帯にまで進出しているときには、頸のリンパ節などにも広がっていることが多く、声門上がんの場合は進行した状態で発見されることが多いのが特徴といえます。
初期の声門下がんは無症状であることも少なくありません。しかし、進行して声帯に浸潤すると嗄声や呼吸困難がでてきます。初期は自覚に乏しく、発見が遅れることが多いがんです。一方で、声門下がんは発症率としてはとても低いタイプでもあります。
喉頭がんはがん全体のうち0.6%を占め、人口10万人のうち3、4人が喉頭がんであるという計算になります。これはがんとしては比較的発生率が低いといえます。実数でいうと、喉頭がんは年間約4000人が罹患します。
また、男性は女性の10倍リスクが高く、50~80歳代で好発すると考えられています。これは、男性のほうが飲酒・喫煙量が多い傾向にあることが原因ではないかといわれています。
最もリスクを高めるといわれているのは喫煙と飲酒です。飲酒ではアルコールの分解過程で生じるアセトアルデヒドが有害物質として働きかけると考えられています。実際、喉頭がんの患者さんのうち90%以上が喫煙者です。その他には、アスベストへの曝露、声帯の酷使、逆流性食道炎、ヒトパピローマウイルスへの感染なども原因になりうるといわれています。
早期がんの場合、治療の主流は放射線治療です。放射線治療であれば、声を失うことはありません。そのため、早期に発見できて適切な対処を行えば、声は温存されます。早期癌ではレーザー治療を行うこともありますが、レーザーにより声帯の一部が欠損するため、声がかすれる障害が残る場合があります。
一方、進行がんに対しては、喉頭を手術で全摘出する選択をせざるを得ないことも少なくありません。この場合は声を失います。声を失うことに対して抵抗がない患者さんはいませんから、最近では、声を出す機能をなくさないための化学放射線療法(抗がん剤と放射線療法を併用した治療法)が行われることが増えてきています。
東京医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野主任教授
東京医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野主任教授
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医・耳鼻咽喉科専門研修指導医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医日本気管食道科学会 気管食道科専門医
1998年に東京医科大学を卒業後、癌研有明病院頭頸科医員、東京医科大学八王子医療センター耳鼻咽喉科・頭頚部外科准教授を経て、2015年8月より東京医科大学耳鼻咽喉科学分野主任教授。耳鼻咽喉科として臨床に携わる傍ら、頭頸部がんに対する様々な治療を数多く行ってきた、がん治療のスペシャリストでもある。手術、放射線、化学療法の3種を患者に適した形で施し、多くの頭頚部腫瘍を手がける。特に喉頭がんに対するシャント手術に関しては、その評価も高い。また、PloS Oneに掲載された「Randomized phase III trial of adjuvant chemotherapy with S-1 after curative treatment in patients with squamous-cell carcinoma of the head and neck (ACTS-HNC)」など非常に学術的価値の高い論文を発表している。
塚原 清彰 先生の所属医療機関
周辺で喉頭がんの実績がある医師
東京医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野主任教授
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東京慈恵会医科大学附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 講師
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東京慈恵会医科大学附属病院―“根治”と”機能温存”の両立を目指し、希少がんの治療に挑む
日本の医療を支える東京慈恵会医科大学附属病院による頭頸部がんをテーマにした特集です。
救急科、総合診療科、消化器内科、肝臓内科、脳神経内科、腎臓内科、リウマチ科、膠原病内科、循環器内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科、腫瘍内科、血液内科、呼吸器内科、感染症内科、精神神経科、小児科、消化器外科、肝胆膵外科、乳腺外科、呼吸器外科、血管外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、心臓血管外科、婦人科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、皮膚科、リハビリテーション科、歯科、脊椎脊髄外科、緩和ケア内科、産科、放射線科
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