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インタビュー

高齢者を専門に診療する「高齢者総合診療」とは何か

高齢者を専門に診療する「高齢者総合診療」とは何か
岩本 俊彦 先生

国際医療福祉大学 医学部 総合診療医学 教授 、国際医療福祉大学塩谷病院 高齢者総合診療科 部長

岩本 俊彦 先生

現在は高齢者の中でも90歳、100歳といった長寿者が増えています。これまでの医療では子どもは小児科で診るもの、そして大人になれば内科で診るという括りでとらえられていた部分がありました。しかし、長寿者は必ずしも成人の延長線上にあるわけではありません。高齢者総合診療が必要とされている背景や、実際にどのような取り組みが行われているのかなど、国際医療福祉大学塩谷病院 高齢者総合診療科部長の岩本俊彦先生にお話をうかがいました。

高齢者の中でも90歳、100歳といった長寿者はより多くの病気を抱えており、しかもその背景には「老化」があります。普通の成人と同じような取扱いをすることによって、適切な対応ができないばかりか、場合によっては弊害まで起こりかねません。老化には誰にでも共通して見られる「生理的な老化」のほかにも、「病的な老化」というものがあります。70年、80年と生活していく中で生活習慣に影響された、いわゆる生活習慣病としての老化です。

一般に総合診療といわれているものは、さまざまな症状を訴える方を診て、その原因がどこにあるのかを診断して治療することをいいます。しかしここでいう「高齢者総合診療」とは、患者さんの病気を含めて生活そのものをトータルでとらえることによって、その方の余生を満足できるものにするということを目指しています。

 

我が国ではいま「健康寿命の延伸(えんしん)」という言葉を掲げ、国民の健康を支援しようと取り組んでいます。もともと日本人の平均寿命は長く、すでに世界でもトップクラスの長寿国となっています。しかし男女ともその亡くなる前の約10年間は、自立した生活が送れないという現状があります。

男性では70歳ぐらいから徐々に衰え始め、80歳近くになると人の手を借りなくてはならないような障害が起こってきます。その結果、平均寿命まで約9年を残すところで、自立した生活が送れない要介護状態になるとされています。女性の場合も亡くなる12年ほど前に要介護状態になるというのが平均的な数字です。

たとえ長生きはできても、最後の10年が寝たきりに近い状態になるのは決して望ましいことではありません。健康寿命の延伸によって医療や介護の費用も軽減されますし、活力のある高齢者が増えることによって、生産者側として日本を支えていくことも可能になります。われわれも健康寿命をいかに長く延ばすかということを主眼にして、この高齢者総合診療を推進しています。

もし単一の疾患であれば、たとえば心臓が悪ければ循環器科、胃腸の調子が悪ければ消化器科というように、それぞれの診療科で診てもらうところですが、ご高齢の方は往々にして体のあちこちに病気や具合の悪いところを抱えています。また、科ごとにそれぞれ診療が行われることによって、結果として多くの薬が処方されます。中には同じ効果の薬剤が重複していたり、あるいはそれぞれの薬の効果を妨げるものも出てきます。薬の影響を緩和するための胃薬であっても、同じ薬が重複していては意味がありません。

多くの薬を処方されている高齢者の中には、何のための薬なのかわからなくなってくる方もいます。ずっと服用し続けなければならない薬だけでなく、症状が出た時だけ服用すればいいという薬もあります。それがいつの間にか長期間にわたって服用され、弊害が起こっているということもよくあります。そこで患者さんには薬を全部持って来ていただき、それぞれの薬がどういうものか、なぜ必要かということをご説明して指導をしています。

高齢者総合診療科でこのような患者さんを受け持つことによって、循環器や消化器などそれぞれの診療科でも、より専門性を必要とする疾患を持った患者さんの診療に注力できるようになると考えています。また、患者さんご本人もひんぱんに病院に通わなくても済むことになりますし、患者さんだけでなくご家族の負担軽減にもつながります。

冒頭でも述べたように、高齢者総合診療では患者さんの生活全体をトータルでみていきます。そのときだけの一断面だけをみるのではなく、その方が一生を終えるまでの生涯を通してみていくという医療でもあります。徐々に病気が進行して寝たきりになり、死期が近づいてくる中で患者さんやご家族に病状をお伝えします。また最期の看取りに関しても今後の見通しなどをご家族にお話ししたうえでどうするかを決めていきます。

その方がお元気だったときに、終末期の迎え方についてどのような考えをお持ちであったかが明確になれば、その意思を尊重して取り計らっていくということになります。

 

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