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サイトメガロウイルスと潰瘍性大腸炎の関係

サイトメガロウイルスと潰瘍性大腸炎の関係
仲瀬 裕志 先生

札幌医科大学医学部消化器内科学講座 教授

仲瀬 裕志 先生

札幌医科大学医学部消化器・免疫・リウマチ内科学講座教授 の仲瀬裕志先生は、現在20万人を超えるといわれる炎症性腸疾患(IBD)の病態究明において、サイトメガロウイルスの研究に長きにわたり携わっていらっしゃいます。もともと日本人のほとんどが持っているサイトメガロウイルスについてお話をうかがいます。

サイトメガロウイルスとは

ヘルペス科のDNAウイルスです

ヘルペスウイルスは、毒性が弱く、日本人であればもともとほとんどの方に潜伏しているウイルスです。ヘルペスウイルスは、体力が落ちてくると、唇にできものができるなどの症状を引き起こすことがあります。これはふだん体内に眠っているヘルペスウイルスが体の免疫力が下がったことによって悪さをするために起きる症状です。サイトメガロウイルスも通常通り免疫機能が働いている時には悪さをすることはなく、必要以上に増えることもありません。

サイトメガロウイルスが潰瘍性大腸炎を引き起こすしくみ

潰瘍性大腸炎が起きる時、サイトメガロウイルスは炎症をえさにして増えています

ウイルスが増えるか増えないかは、個人の免疫状態に依存します。炎症さえなければ増えることはありませんが、重症例の場合、腸に起きた炎症は簡単にはおさまらないケースがほとんどです。そのため、えさが豊富な腸の中でウイルスはどんどん増えてしまいます。

サイトメガロウイルスの特徴

潰瘍性大腸炎が増悪した時、なかなか取れない炎症を抑えるためにステロイド薬が使用されますが、ステロイドの作用によって免疫機能が抑えられるとウイルスはさらに増えてしまいます。たとえばHIV感染者などの場合、化学療法を行うとサイトメガロウイルスが悪さをしてさまざまな症状を引き起こしますが、これも免疫機能が抑えられたことが原因です。

つまり、サイトメガロウイルスは「大きく炎症がある時」と「免疫機能が低下している時」の2つのタイミングにおいて活発になりやすいという非常に珍しい特徴を持っています。潰瘍性大腸炎においては、サイトメガロウイルスにとって二重の増殖機会が存在することになりますから、この性質が治療を難しくさせる要因のひとつになっているといえます。

潰瘍性大腸炎の患者さんは、サイトメガロウイルスが悪さをしやすい体質といえます。特に増悪期では、炎症が終わったあとにまたすぐ炎症が起きるというサイクルを繰り返すため、一度再活性化したことのある患者さんは、炎症のたびにサイトメガロウイルスが再活性化してしまうのです。冒頭で、サイトメガロウイルスはほとんどの方に潜伏しているウイルスだと述べました。繰り返しになりますが、潜伏していても悪さをされてしまう方とまったく影響のない方は存在し、それは個々の免疫のパターンによって異なるのです。