「記事2」では「ペインクリニックで治療できる痛み・部位・病気」についてお伝えしました。ここでは、どのように「痛み」という感覚を検査・診断し、治療につなげるのか、順天堂大学医学部附属順天堂医院 麻酔科学・ペインクリニック教室 教授の井関雅子先生にお伺いしました。
まずは検査をしっかりと行います。漠然とした「痛み」といえども、「痛み」は体の異常を伝えてくれているので、問診(痛みの評価)・血液検査・X線検査・CT検査・MRI検査などを行い、どこに痛みを発症させている部分があるかを調べる診察を行います。診察した結果、特に異常が見受けられない場合は、経過観察を行います。その中で定期的に画像検査や血液検査を行ったりします。「痛み」が発生した初期の段階ですと、何も検査にひっかからないこともあるので、痛みが継続するようであれば、受診は適宜行って頂いています。
1:発症時期はいつか
2:部位はどこか
3:強さはどれくらいか
4:1日の痛みの様子のパターンはどのようになっているのか
5:どのような痛み方をするのかを言葉で表現してもらい、患者さんの性質と状態をお聞きする
6:増悪・軽減因子は何か
7:付随する症状は何か
8:日常生活における支障度はどれくらいか
9:心理・社会的背景をお聞きする
1:視診・触診・打診
2:理学的所見
3:画像検査
4:神経学的検査
5:その他
以上の項目によって患者さんが抱えている痛みを正確に評価します。この問診が非常に重要で、原因の把握には欠かせません。
例えば、「ズキンズキンと脈打つ痛み」は「炎症性痛」、「焼けつくような痛み」は「神経障害」などと推測して診断します。
下記項目の13,14,15の項目で点数の高い方は気持ちの問題だったりします。
また、破局的思考(痛みがさらにひどくなるかもしれない・痛みに対して自分は無力であるなど、痛みのことばかり考えてしまうと痛みや不快感がさらに強くなるネガティブな思考)が強いかどうかは、破局的思考の高低をみる質問票の結果から、明らかにすることができます。その思考が高い患者さんでは、まず、痛みに対する考えかたの偏りを、修正するような指導をおこなったうえで、疾患や原因に見合った治療を選択していく必要があります。考え方が偏ったままだと、どのような治療でも効果が出ないことがあります。
順天堂大学 医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座 教授 (大学院医学研究科疼痛制御学 教授併任)
順天堂大学 医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座 教授 (大学院医学研究科疼痛制御学 教授併任)
日本麻酔科学会 理事・麻酔科専門医・麻酔科指導医日本ペインクリニック学会 理事・ペインクリニック専門医日本緩和医療学会 会員日本頭痛学会 指導医日本疼痛学会 理事日本慢性疼痛学会 理事日本運動器疼痛学会 副理事長日本区域麻酔学会 評議員日本臨床麻酔学会 会員日本整形外科学会 会員日本神経精神薬理学会 会員日本ニューロモデュレーション学会 理事日本アルコール・アディクション医学会 会員国際疼痛学会(IASP) 会員World Institute of Pain(WIP) 会員
日本麻酔科学会指導医、日本ペインクリニック学会認定ペインクリニック専門医、日本頭痛学会指導医、日本緩和医療学会暫定指導医。日本ペインクリニック学会認定ペインクリニック専門医ならではの治療を行う、数少ない医師の内の一人。「患者を第一に考えた「痛み」の治療をする」ことをモットーとする。また、麻酔科医としての神経ブロック治療等の他にも、臨床心理士と連携することで心の面からの「痛み」のケアにも力を入れている。オピオイドの使用に関するガイドライン作成にも携わり、日本における乱用防止の啓発も行っている。
井関 雅子 先生の所属医療機関
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