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インタビュー

ペインクリニックの位置づけ

ペインクリニックの位置づけ
井関 雅子 先生

順天堂大学 医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座 教授 (大学院医学研究科疼痛制御学 教授併任)

井関 雅子 先生

ここまではペインクリニックの概要・検査や診断方法・治療方法について順天堂大学医学部附属順天堂医院 麻酔科学・ペインクリニック教室 教授の井関雅子先生にお話し頂きました。ここではペインクリニック専門医による治療のメリット、整形外科とペインクリニックの違いなどについてお伺いしました。

●ペインクリニック治療の長い経験がある。

● 神経ブロック療法に長けている。

● 薬理学的知識が豊富で、適切な薬物療法を行える。

● 精神・心理面の配慮ができる。 

●運動療法の必要性を理解している。

以上がペインクリニック専門医のメリットとして挙げられます。

例えば、腰椎椎間板ヘルニアをお持ちの患者さんでしたら、整形外科を訪ねたい方もいらっしゃいますし、ペインクリニックを訪ねたい方もいらっしゃいます。運動器の痛みは多いですし、ペインクリニックと整形外科だと疾患が被ることも多いです。当院の整形外科を受診され、「痛み」が主症状であり手術適応がない場合はペインクリニックへ紹介される、というような流れも多くみられます。一方で、手術適応の高い患者さんを当科から整形外科に紹介することもあります。両者は、いつも連携をとって患者さんを診ている、ということになります。

上記でお伝えしたように、ペインクリニックの専門医でしたら、様々な薬物や痛みの治療方法も知っていますし、神経ブロック療法も上手に行うことが可能です。

 

緩和医療は、がんや進行性の難病に伴う諸症状の緩和です。現在、厚生労働省も緩和医療を推進していますし、社会からのニーズも多いので緩和医療自体も発達してきました。当院では、以前から、ペインクリニックでがん疼痛の緩和を行っておりましたので、現在もがん疼痛の緩和は、御依頼があれば、積極的におこなっております。

三叉神経痛を例として挙げますと、この病気は頭の中で血管が神経を圧迫していることが原因で起こります。食べること・話すこと・歯磨きもできないほどの発作が出ますので、薬物療法を行いますがそれでも効果が無い場合は、高周波熱凝固法(高周波電流による熱で神経の中にあるたんぱく質を固める方法)などを行います。再発はゼロではありませんが、1年以上は90%~100%くらいまで痛みを取り除くことができます。しかし、一方で、脳外科での神経減圧術という治療法もありますので、必ずすべての治療法を提示した上で、患者さんに治療法を選択していただくようにしております。

他には、脊椎疾患を持つ患者さんの中でも特に若い患者さんの場合、例えば頚椎椎間板ヘルニアや頚椎神経根症(頸椎が変性したことにより神経根が圧迫される症状)などは、神経ブロック療法・高周波熱凝固法など、患者さんに適した手術を行うと、6か月もするとほぼ完治するといってもよいでしょう。しかし、神経ブロック抵抗性である場合には、整形外科または脳神経外科での手術の検討をする場合も皆無ではありません。

今、がん患者さん以外へのオピオイドの使い方のガイドラインを、作リ直している最中です。現在米国ではエイズで亡くなる方よりも、オピオイドへの依存・乱用で亡くなる方が多く問題になっています。日本がそのようにならないよう、オピオイドの正しい使い方を示すのが目的です。

米国ではペインクリニックの専門医以外でも処方できる薬物なので、患者さんに「痛い」といわれたら処方しますし、処方量を増やすことも可能です。医師の気持ちとしては、「痛み」を取り除くため、処方してあげたいと思いますが、それでは患者さんのためにはなりません。

日本では今のところ、依存・乱用が問題にはなっていませんが、私たちは米国のそのような状況に危機感を感じ、学会でもそのような話題が出ますので、乱用防止に向けて動き始めています。

「痛み」は学業・家庭・社会生活の継続を不可能にしかねません。 労働生産性の低下にも繋がりますし、患者さんの人生設計にも変化を来します。ですから痛みを緩和することは、その方のQOL(Quality Of Life :生活の質)の向上、および労働生産性の改善にも結び付くのではないかと考えています。

患者さんの価値観を大切にしつつ、「痛み」を和らげる治療を行うことがペインクリニックの使命だと感じています。

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    井関 雅子 先生

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