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インタビュー

子どもの急な腹痛 家庭で経過観察するとき知っておきたいポイント

子どもの急な腹痛 家庭で経過観察するとき知っておきたいポイント
伊藤 友弥 先生

あいち小児保健医療総合センター 救急科 医長

伊藤 友弥 先生

子どもの急な腹痛で便秘や胃腸炎などの場合は、家庭で子どもの様子を見ることも重要になります。親御さんが家庭で経過観察をする際、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。あいち小児保健医療総合センター救急科医長の伊藤友弥先生にお話しを伺いました。

お腹の中には様々な臓器があり、それぞれが大事な働きをしています。しかし、実際にお腹で何が起こっているかは外から見てもわかりません。だからこそ、時間経過で症状がどう変化するかが大事な情報になります。病院ではまずは、緊急性(すぐに処置する必要がある病気かどうか)を判断して、緊急でなければ、家庭で時間が経つにつれて症状が変化しないかをみてもらいます。

まずは「痛みの程度が強くならないか」「子どもがぐったりしてこないか・機嫌が悪くないか」に注目します。

<乳幼児の場合ではオムツを外して観察する>

小さい乳幼児であれば自分で詳しい症状を述べられないでしょう。乳幼児では、必ずオムツを外してそけい部(股のつけねの部分)・陰部を観察します。乳幼児に多いそけいヘルニアでは、股のつけねの部分が盛り上がって腫れていたり、色が赤色や紫色に変色したりすることがあります。また、オムツに便が出ていればその性状を確認しましょう。便の中に血が混じる場合は、腸重積(腸が自分の腸にはまりこんでしまう病気)の可能性も考えます。

<経口摂取が可能であるかを観察する>

子どもが口から食べたり飲んだりできているかにも注目しましょう。もし嘔吐をしてしまった場合は、吐物の色を観察します。緑色やコーヒー色の吐物であれば直ちに受診が必要です。

赤ちゃんや乳幼児の場合は、ミルクの飲みはいつも通りか・量が少ないかに注目します。時間経過で機嫌が悪くなっていき、ミルクが飲めなくなることもあります。ただし乳幼児は、エネルギーとなる糖分を摂取できていないと、大人よりも容易に低血糖(体の糖分が不足した状態)になるためミルクの飲みが少なければ注意が必要です。

原因が胃腸炎の場合は、その多くがウイルスによる感染症です。ウイルス性胃腸炎は周囲に流行しやすいものですから、嘔吐物や・便を処理したときは、その後にしっかり手洗いを行いましょう。

腹痛の原因は様々です。胃腸炎を疑う場合は整腸剤が処方されることもありますが、医療機関によって薬の処方に関しては方針が異なります。私は、薬は必ずしも必要ではないと考えています。医療機関を受診して処方された薬については、使用方法を守りましょう。鎮痛薬を頻回に使用しなければならないほどの痛みが続くときは、医療機関の再受診を検討します。

記事2『子どもの急な腹痛 軽症な腹痛と重症な腹痛の違いとは』で述べた通り子どもの腹痛の多い原因は便秘や胃腸炎です。

ただし、子どもの腹痛は時間を置くうちに他の症状がでてきて診断に至るケースもあります。一例として、中学生の女の子が腹痛で受診したケースをお話しします。その子の場合は浣腸して少し痛みが治まったので、最初は便秘を疑われました。しかし、翌日も強い痛みを認めたため、もう一度検査したところ、卵巣捻転(卵巣がねじれて血液の流れが途絶えた状態。捻転した卵巣を手術で解除する必要がある)と判明したことがあります。

このように、浣腸をすると腹部にかかっていた圧力が抜けて、便秘でなくても楽になることが多くあります。つまり、便秘と診断されても後から違う症状が出る場合は注意し、再受診の検討が必要です。

 

「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営する「こどもの救急(ONLINEQQ)」も参考にしてみてください。

 

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