2017年10月21日(土) 国立国際医療研究センターにてChoosing Wisely Japan設立1周年記念セミナーが行われました。
日本ではまだ聞きなれない「Choosing Wisely」という国際的なキャンペーン。
Choosing Wisely Japanの設立に至った背景には、現代の日本において医療者と患者さんの双方にとって、よりよい医療を実現するために、私たち一人ひとりが考えなければならない現状があります。本記事では、Choosing Wiselyの概要と本セミナーのレポートをお送りします。
Choosing Wisely(以下CW)とは、患者さんにとって真に必要で、副作用が少なく、科学的な裏付けがある医療を、医療者と患者さんが密に対話し、共に考えたうえで「賢明に選択」できるよう目指す国際的なキャンペーンです。各国が、それぞれの国の医療事情に合った活動を展開しています。
2016年にはChoosing Wisely Japanが設立され、2017年10月に1周年を迎えました。代表は、小泉俊三先生、副代表は徳田安春先生が務めています。
Choosing Wisely Japanの本質は、診療の質の向上、有害事象の予防が目的であり、「一人ひとりの患者さんにとって価値の高い医療」を実現しようとする取り組みです。
セミナーの前半では、2017年9月11日にアムステルダムで開催されたChoosing Wisely国際円卓会議に参加した、小泉俊三先生より報告がありました。
同行した梶有貴先生によりレポートが配布され、各国におけるCWのPublic Engagementへの取り組みが紹介されました。カナダでのCWの認知度は11%と驚くべきほど高く、日本は遅れをとっていると考えられます。
「CWの理念を実現していくためには、情報発信者側が正確に医療情報を伝えていくことが大切です。医療に関するイベントを通して、医療関係者間はもちろんのこと、患者・医師間での対話が促進される環境を積極的に作っていくことが肝心でしょう」
梶先生はそのようにレポートの中で述べられております。
この国際円卓会議には約20か国からの参加があり、Choosing Wisely Internationalの今後の展開戦略についても話し合われました。CWキャンペーンについて、いくつかの調査・研究の成果が紹介され、成果を測定・評価することの重要性が強調されたとのことです。
「CWJ Student committeeからの提供:勉強会の様子」
CWJ Student Committeeは、医学生の「医療者でも患者さんでもない立場」に価値を見出し、医師と患者さんの架け橋になるべく活動をしている団体です。2016年2月11日に発足し、2017年11月時点で27施設、約50名で構成されています。
セミナーの後半では、メンバーである大阪医科大学医学部6年の荘子万能(そうし まの)さんが、CWJ Student Committeeの活動報告を行いました。
CWJ Student Committeeは、団体の発足から20回ほどの勉強会や学会発表を行い、日本全国に向けて医療における”賢明な選択”を目指し精力的に発信しています。
荘子さんは、医療情報を鵜呑みにせず、批判的に吟味をすることを推奨しています。そして、医学生や研修医には、医療における”賢明な選択”について自分ごととして捉え、話し、書く機会を持つように呼びかけました。
CWJ Student Committeeの活動は、今後CWのさらなる発展に貢献すると考えられます。
Choosing Wisely Japanのホームページはこちら