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「皮膚の悪性腫瘍」とは? 診断から治療までの流れを解説

「皮膚の悪性腫瘍」とは? 診断から治療までの流れを解説
佐瀬 道郎 先生

公益財団法人星総合病院 形成外科

佐瀬 道郎 先生

皮膚の悪性腫瘍には、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫メラノーマ)などさまざまな種類があります。ひとことで悪性腫瘍といっても悪性度には差異があり、生命予後は大きく異なります。一方治療方針は共通しており、いかなる悪性腫瘍においても根治をめざすには、腫瘍を取り残しなく切除する必要があります。切除範囲が広ければ、縫合閉鎖は困難で、欠損部位への皮膚移植が必要になります。したがって皮膚悪性腫瘍を治療する医師には、過不足なく腫瘍を切除する技術と、生じた皮膚欠損を再建できる技術が必要とされるのです。

本記事では、高齢者の形成外科手術に詳しい公益財団法人星総合病院 病院長補佐 兼 形成外科部長の佐瀬道郎先生に皮膚の悪性腫瘍の基礎知識から、手術の適応、手術の流れまでご解説いただきました。

皮膚には、さまざまな悪性腫瘍が認められます。ほとんどが皮膚に原発したものですが、なかには肺癌や胃癌、乳癌などが皮膚に転移してできたものや、皮下脂肪などの皮膚に隣接した組織に原発した腫瘍が皮膚に侵入してきたものもあります。腫瘍の発生母地は、メラノサイト系、上皮系、間葉系、神経系、リンパ・造血器系などさまざまです。メラノサイト系に発生した腫瘍は、メラノサイト系腫瘍、上皮系に発生した腫瘍は上皮系腫瘍と分類されます。上皮系腫瘍のうち悪性のものは、癌と呼ばれます。

また間葉系に発生した悪性腫瘍は肉腫と呼ばれます。骨肉腫という名前は聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。このように骨や脂肪にできる悪性腫瘍は癌とは呼ばれないのです。多くの悪性腫瘍は、癌や肉腫やリンパ腫などと呼ばれますが、パジェット病やボーエン病のように名前からは悪性腫瘍かどうか判断できないものもあります。

皮膚は、表面にある表皮とその下にある真皮、さらに真皮の下の皮下組織の3層からなっています。表皮は水疱やマメができたときに剥けてしまう部分で、真皮よりもずっと薄い部分です。同じ皮膚でも表皮は外胚葉由来、真皮は中胚葉由来と、意外にも発生母地が異なっています。

表皮は、ケラチノサイト、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞という異なる4種の細胞からなる重層扁平上皮ですが、ほとんどがケラチノサイトで占められています。ケラチノサイトは基底層、有棘層、顆粒層、淡明層、角質層の5層を形成しています。

この基底層の基底細胞が悪性化したものは基底細胞癌、メルケル細胞由来と考えられているものはメルケル細胞癌、メラノサイトが悪性化するものは悪性黒色腫、有棘細胞が悪性化するものは有棘細胞癌(扁平上皮癌)になります。また毛包、脂腺、汗腺・汗管などは、皮膚に存在する「皮膚付属器」と総称されます。ここに悪性腫瘍が発生した場合は、汗腺癌、脂腺癌などと呼ばれます。

皮膚はこうした数多くの細胞で構成されており、これらの細胞の多くが悪性化することが知られています。そのため皮膚の悪性腫瘍はさまざまな腫瘍に分類されています。

①基底細胞癌

表皮の基底細胞に発生する癌です。黄色人種の日本人に発生するもののほとんどは黒褐色を呈しますが、白人に多くみられるもののように無色素性のものもあります。肉眼的な境界から5mm離して切除すれば十分なことが多いです。皮膚癌のなかで最もよくみられますが、リンパ節転移や遠隔転移をすることは珍しく生命にかかわることは、まれな癌です。

②有棘細胞癌

表皮の有棘細胞に発生した癌です。基底細胞癌の次によくみられる皮膚癌です。

進行した場合は、カリフラワー状になり表面がくずれて出血して臭いのすることがあるので診断しやすいと考えられますが、初期には湿疹や傷と間違えられることがあります。治癒までに3~6ヶ月ほどかかった熱傷(やけど)の痕に発生することや、日光角化症などの前癌病変に発生することも少なくありません。

③ボーエン病(Bowen病)

有棘細胞癌と同じように有棘細胞が癌化しますが、癌細胞の増殖は表皮内だけにとどまっており、真皮には到達していないため、表皮内癌あるいは前癌状態として取り扱われています。しかし放置すると真皮にまで癌細胞が到達し、有棘細胞癌へと進行すると考えられます。

④日光角化症(光線角化症)

高齢者の顔面や手などの露出部位にみられる「かさぶた」を伴うことの多い、赤色~赤紫色で境界不明瞭な角化性~びらん性病変です。紫外線の刺激が原因とされています。表皮内有棘細胞癌であり有棘細胞癌に進行することも多いです。

⑤パジェット病(Paget病)

乳房Paget病と乳房外Paget病があります。

乳房外Paget病は、外陰部、腋窩部、肛門周囲に好発します。紅斑、びらん、色素沈着や色素脱失を伴う多彩な状態を呈し、湿疹や白癬やカンジダのようにみえることも多いです。癌細胞は表皮内にとどまっている時期が長く続いていてから、真皮に到達してPaget癌になりますが、肉眼的に両者を鑑別することは困難です。したがってPaget病とPaget癌はあえて区別せずにPaget病と呼ばれることが多いです。Paget病は病変の境界が肉眼的には不明瞭で、また境界から少し離れた部位に病変が存在することも多いことに加えて、外陰部と腋窩※1(まれに両側の腋窩)に同時にPaget病がみられることがあります。そのため、肉眼的に病変の境界と思われる部位から1㎝ほど離れた腫瘍細胞がないと思われる部位を生検するmapping biopsy※2を行うことが一般的です。さらに外陰部Paget病の患者さんに対しては、腋窩に皮疹がみられなくても生検※3を行うべきとする考え方もあります。

※1 腋窩(えきか):わきの下のこと

※2 mapping biopsy:マッピング生検とも呼ばれる。病巣周囲の複数箇所に小さなメスを挿入して組織を採り、癌細胞の有無を検索する方法

※3 生検:病理組織検査を行い診断をつけるために、病変部の一部をメスなどで切除して検査すること。通常は局所麻酔をして行う。小児の患者さんや、病変が深部である場合は、全身麻酔で行うこともある。

⑥悪性黒色腫(メラノーマ)

基底層に存在するメラノサイトから発症し、白人に多く黒人には少ない悪性腫瘍です。日本では年間1,500~2,000人が発症(10万人あたり約1~2人発症)しているとされていますが、紫外線の影響が原因と考えられていて世界的にも増加傾向にあります。悪性黒色腫を疑う臨床的所見には、不規則性、境界不鮮明、色調多彩、拡大傾向、表面隆起の、5つの特徴があります。悪性黒色腫は臨床症状と病理所見から結節型、表在拡大型、末端黒子型、悪性黒子型の大きく4つに分類されます。4つの病型によって予後は異なりますが、腫瘍の浸潤の深さ(腫瘍の厚さ)が、予後を決める大きな因子となります。いずれの場合でも他の皮膚悪性腫瘍より、リンパ行性・血行性に転移しやすく、また再発する可能性も高く、根治が難しい腫瘍です。ですから、早期に発見して診断をつけ早期に手術で確実に切除することが非常に重要です。

⑦隆起性皮膚線維肉腫

青年男子の体幹が好発部位です。皮下の硬結から生じ暗赤褐色で硬い半球状となることが多く、悪性度は低く転移を来すことは少ないですが、局所再発しやすく再発すると悪性度が増していくので、腫瘍の近縁から2~3cm離した広範囲に切除することが推奨されています。

⑧血管肉腫

高齢者の頭部に好発します。暗赤紫色で隆起して「びらん」や「かさぶた」を生じますが、毛髪に隠れて気がつきにくく気がついたときには進行していることが多いため、血管の内皮細胞に発生し血行性に肺に転移しやすい予後不良の腫瘍です。早期例では手術を行ったあとに再発しやすいといえます。

 

※がんと癌について

「がん」と「癌」はひらがなと漢字の違いだけではなく意味合いが異なります。「がん」は悪性腫瘍という意味で使われ、「癌」は上皮性の悪性腫瘍を指します。

上皮性の悪性腫瘍すなわち癌あっても、インパクトを弱めるために皮膚がん乳がんといったようにひらがなの「がん」で表記するケースもありますが、厳密には漢字の「癌」を用いることが適切といえます。

本記事では、上皮性の悪性腫瘍は、「皮膚がん」ではなく「皮膚癌」という表記を用いていきます。

 

では、それぞれの皮膚の悪性腫瘍はどのようにみえるのでしょうか。症例画像を基にみていきましょう。

皮膚の悪性腫瘍は、顔面に発症しやすい疾患です。これは顔が、皮膚癌の発症要因になるとされる紫外線を受けやすい部位だからであると考えられています。

基底細胞癌

有棘細胞癌

ボーエン病

日光角化症

パジェット病

メラノーマ

隆起性皮膚線維肉腫

血管肉腫

皮膚にみられる腫瘍の多くは、ほくろ(色素性母斑)に代表されるような良性腫瘍であることがほとんどです。皮膚が変色している部分があっても悪性腫瘍の頻度は少なく、専門医でも良性腫瘍か悪性腫瘍か判断に迷うような場合も少なくありません。

では、皮膚腫瘍はどのように診断が行われているのでしょうか。診断は主に下記の3つの方法で行われます。

  1. 視診
  2. ダーモスコープ検査
  3. 皮膚生検

まず初めに視診が行われます。年齢、職業、発生からの経過や自覚症状などを問診した後、腫瘍の部位、色や性状などをよく観察し、可能性の高い疾患を挙げていきます。視診のみでも診断がつく場合もありますが、そうでないことも多いです。近年ではダーモスコープと呼ばれる検査機器を用いて皮膚の腫瘍や色素病変をより詳細に観察する検査が行われています。ダーモスコープとは特殊な虫眼鏡(拡大鏡)のような検査機器で、目でみる視診よりも病変部を鮮明に観察できます。しかし、ダーモスコープで検査しても診断がつかないことも少なくありません。診断がついても細かな診断には至らないこともあります。確定診断を下すためには皮膚生検が有用です。生検は腫瘍の一部あるいは小さい場合はすべてを採取して顕微鏡で診断する方法です。採取するときに使用する器具(パンチ/トレパン、メスなど)や採取量(一部か全部か)によって、生検にも種類があります。原則として局所麻酔を行ってから生検を行うのですが、局所麻酔時に腫瘍が播種(はしゅ)することがあるため細心の注意が求められます。腫瘍に外科的な刺激を加えると拡大悪化しやすくなるので、根治手術を念頭において生検の予定を立てることになります。

佐瀬道郎先生

皮膚の悪性腫瘍の治療の基本は手術療法です。根治には手術によって悪性腫瘍を取り除くことが必要です。手術には局所麻酔でできる手術と、腰椎麻酔や全身麻酔でなければできない手術があります。手術を行う前には、どのような手術方法を行っていくべきかを考えると同時に、その患者さんにはどの麻酔方法が可能であるかを検討する必要があります。

手術を行うには麻酔が不可欠です。麻酔方法は全身麻酔・腰椎麻酔・局所麻酔に大きく分けられ、患者さんの状態や手術方法により適応となる麻酔方法は異なります。全身麻酔は患者さんが痛みを感じたり動いたりしないので、深部の手術、細かな手術や長時間の手術に有用です。全身麻酔をかける場合は原則として入院が必要です。局所麻酔は、手術する部位が体表表層で、範囲が狭い短時間の手術の場合に用いられます。多くの局所麻酔手術では入院は不要です。

皮膚の悪性腫瘍は高齢になるほど発症しやすくなります。患者さんが高齢である場合、心臓や肺など内臓に持病があり全身麻酔をかけることが危険なことがあります。また出血が止まりにくい薬を服用されている方には、腰椎麻酔がリスクとなる場合があります。したがって手術を行う前には心臓や肺の機能を調べる検査、血液の凝固能、血栓の有無、糖尿病・腎臓病・肝臓病の有無など、麻酔の危険性を判断するための検査が必要となります。全身状態や予備能力は個人差があり、年齢だけでは麻酔や手術が可能か否かを決めることはできません。皮膚の悪性腫瘍の進行度と合わせて、患者さんの術前検査結果を評価したうえで患者さんとご家族の治療における優先順位を考慮して皮膚移植の具体的な方法を決定します。たとえ90歳を超えていても手術を安全に行えることがある一方、60歳であっても麻酔をかけることが生命維持に危険な場合もあるといえます。

手術前に行う心臓や肺の機能の検査結果から、どのような手術方法を選ぶか判断していきます。

①麻酔の方法の選択

まずは全身麻酔をかけられるかどうかを検討します。基本的には全身麻酔での手術が行われますが、心臓や肺の機能が低下している患者さんでは局所麻酔を選択する場合があります。全身麻酔にするのか、局所麻酔にするのかで手術の方法が大きく変わってきます。

②生検と摘出手術

皮膚腫瘍の患者さんは、まず皮膚科のクリニックを受診される方が多いです。そのうえで摘出手術を希望されている場合や皮膚科で悪性が疑われた場合などに、形成外科に紹介されることが一般的かもしれません。皮膚科で生検を行って診断がついた後に形成外科に紹介されてくるケースもあれば、生検を行わずに紹介でいらっしゃる場合もあります。

生検や腫瘍の切除は局所麻酔や生検や摘出手術時に播種する可能性があるので、細心の注意が必要とされます。腫瘍径が小さければ腫瘍の播種の観点から切開生検(部分生検)よりも切除生検(摘出生検)を行った方がよいのですが、摘出後に良性腫瘍と診断されることもありますので患者さんと十分に相談して決定するのがよいでしょう。悪性腫瘍を取り残しなく完全に切除するには、腫瘍辺縁より3~30mm以上離して切除すること(広汎切除手術)が求められます。その際にどこまでが病変であるかを正確に判断し、腫瘍の辺縁を決定することがとても重要になります。薄くにじんでいる部分や、色素が抜けている部分は見落としやすく、また湿疹があると判定しにくい場合があります。どこまでが腫瘍かをしっかりと判断して過不足なく切除するには経験を要します。病変からしっかりと離して切除できていないと、術後に再発するリスクを高めてしまいます。切除範囲をダーモスコピーで判断すべき場合も少なくありません。

また麻酔の注射を行う際も、がん細胞のある部分を一度刺した注射針で、正常組織に再び注射してしまうと、がん細胞が他の皮膚の部分へ転移してしまうケースがあります。手術で腫瘍を切除しても、新たにがんを発症させてしまう可能性があるのです。このように悪性腫瘍の切除は、患者さんの予後を左右するとても重要な工程です。そのため再建のみならず皮膚腫瘍の切除も手術経験をしっかりともつ形成外科医が行っていくべきです。このように、再発を抑えるために確実に広汎に切除すれば安全ですが、一方患者さんの負担を最小限にするためは可能な限り切除範囲を縮小させるという、相反することを過不足なく確実に行うことが重要なのです。

③切除後欠損への皮膚移植の方法と採皮部位を選択

皮膚の移植には植皮と皮弁という大きく2つの方法があります。いずれの場合も自分の体の組織しか用いることができません。被覆する欠損の大きさや部位からどの部位の皮膚を用いるのがよいか、麻酔方法、手術時間などを総合的に考慮して手術方法を考えます。

切除後欠損への皮膚移植の方法と採皮部位を選択

植皮術……体の他の部位から採取された皮膚(植皮片)を移植する方法      

皮弁術……血流のある組織(皮弁)を移植する方法

④縫合線が「どこに設定されると目立たなくなるか」を考える

形成外科医は欠損をただ閉鎖するだけでなく整容的に満足できるか否かを追求していきます。すなわち、皮膚移植をする場合は、単に腫瘍を切除したことによって生じた皮膚欠損と同じ形の皮膚を移植するのではなく、手術の縫合線が例えば額のしわにできるだけ一致するように考えたり(写真3)、目と頬の境界線に沿うような方法をとったり(写真4)口と頬の境界線(写真5)などに一致させるようにする工夫を行います。

また腫瘍切除後の皮膚欠損は通常円形や楕円形になりますが、弧状の縫合線は目立つことがあるので、できるだけ直線になるように追加切除することも必要に応じて行います(写真1、3、5)。皮膚欠損に比べて長い縫合線になったとしても、皴や境界に完全に一致した縫合線であればパッチワーク状になるよりも目立たない傷痕になるのです(写真2)。

悪性腫瘍

悪性腫瘍

悪性腫瘍

悪性腫瘍

悪性腫瘍

佐瀬道郎先生

手術を行う場合には、手術はいつごろまでにすればよいか、もし手術を行わなかった場合はどのようなことが起きるかを考えます。一方、手術を行うと何がどのくらい改善するか、手術後の負担はどうか(新しい傷痕、安静期間、リハビリの負担など)に加えて、手術・麻酔によるリスク(危険性)や起きうる合併症などを考えます。患者さん本人とご家族へ十分に説明し、理解・納得して頂くことがとても大切です。そして考えられる手術術式についてそれぞれの所要時間と、術後合併症を起こさないようにできるよう手術・麻酔にかけてよい時間を検討した結果、どの術式がもっとも適切であるかを考えていきます。

たとえば、50~60歳位の方へ鼻尖部の欠損に対する手術を行う場合には、術後の整容性を考えるとforehead flapという額からの皮弁移植を第一選択としています。しかし、forehead flapは時間をかけて行うべき手術であり、術後も目の周りが腫れたりガーゼで視野が狭くなったり患者さんにとってストレスが掛かると考えられる術式であるため、高齢の方には術後のせん妄という合併症を引き起こすリスクもあります。したがって、高齢の患者さんには他の術式を検討していきます。同じ疾患であっても患者さんの年齢や予備能力、社会的環境に応じて、手術によるリスクとベネフィットを十分に検討したうえで、手術方法を決定していきます(写真1)。

また、近年では年齢や全身状態からは手術が可能である一方、患者さんが認知症あるいは寝たきりであるケースも増えてきています。そのような場合には、患者さんのご家族が「痛い思いをさせたり、危険な目に会わせたくないので手術は致しません」と考えられることもあります。しかし、認知症を発症していても、寝たきりでも長生きされる方や、手術のリスクが高くない場合もあります。以前、私が担当した患者さんのご家族では、患者さんに重度の認知症があることから、ご家族が「手術をしない」という判断をされたことがありました。しかしその7年後、もともと1~2cm大だった頬部の扁平上皮癌が大きくなり、腫瘍からは出血や臭いもあり、顔半分をタオルで覆って再来院されたことがありました。初診時の89歳ではまだ全身麻酔が可能な状態でしたが、7年が経ち96歳となった患者さんは、全身麻酔をかけるには検討が必要な状態といえました。しかし、他の部位への転移はなく、寿命を全うされる可能性は高いと考えられるため、麻酔は局所麻酔を選択することで、手術を行うことが検討されました。しかし、使用できる局所麻酔の量には限度があり、局所麻酔が効いている時間にも限りがあります。そのため、手術時間を短縮するために切除術と植皮術の2回に分ける、医療用ホッチキスを使いながら顔面の皮膚移植を行うなど検討を重ねました。

こうしてさまざまな検討を重ねながら手術を行い、術後、患者さんは長生きされ、手術によって悪性腫瘍を治療できたことで、術後は顔を隠さずに生活を送ることができ手術の意義があったと考えられました。このように、手術によって病気から解放される場合もあるのです。高齢の患者さんの場合には、できるだけ腫瘍が小さく、患者さんの健康状態が少しでも良好な段階で手術を検討し、より患者さんにとって負担が少ない手術方法を考えていくことが大切でしょう。

悪性黒色腫は再発のリスクが高い疾患であるため、術後は抗癌剤治療を行うこともあります。しかし、その他の皮膚悪性腫瘍では手術後に抜糸が完了すれば治療はほとんど終えられ、放射線治療や薬物治療は通常行わないと考えられます。抜糸後から半年程度は月に1度のペースで外来通院にて、手術部位がかゆくなったり硬くなったり赤くなったりしていないかを確認していきます。手術の後の傷にケロイド肥厚性瘢痕の症状がみられた場合は、ステロイド薬の注射や貼り薬などを用いた治療を行います。1~5年間は定期受診をして再発がないことを確認していくことが大切です。
 

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