院長インタビュー

救急や周産期を守る─順天堂大学医学部附属病院静岡病院の地域貢献

救急や周産期を守る─順天堂大学医学部附属病院静岡病院の地域貢献
三橋 直樹 先生

順天堂大学医学部附属静岡病院  病院長・産婦人科特任教授

三橋 直樹 先生

順天堂大学医学部附属静岡病院は、静岡県伊豆の国市に位置しています。がん治療や外科診療など多くの診療科で地域医療を支えるなかで、同院は特に救急医療や周産期医療に力をいれています。静岡県東部でも、NICU(新生児集中治療室)を備えているのは同院だけであり、地域にとってなくてはならない存在です。今回は救急医療や周産期医療などの取り組みについて、順天堂大学医学部附属静岡病院 院長 三橋直樹先生にお話を伺いました。

病院外観(順天堂大学医学部附属静岡病院よりご提供)

順天堂大学医学部附属静岡病院は1967年4月に、それまで地域医療を行ってきた町立伊豆長岡病院を譲り受けるかたちで、順天堂大学医学部の附属病院として発足しました。

以降は、地域の医療ニーズを敏感に捉えてベッド数の増加や診療科の拡充を行いました。そして2005年3月に現在の「順天堂大学医学部附属静岡病院」に名称を変更しました。

受付(順天堂大学医学部附属静岡病院よりご提供)

地域の急性期医療の提供のために、さまざまな取り組みを行っています。たとえば、救急患者さんの受け入れでは、三次救急医療機関として静岡県東部地域の救急医療を守っています。また、総合周産期母子医療センターに指定されていることもあり、周産期医療は救急医療とともに特に力を入れています。また、周産期医療や救急医療は近隣でも行っている施設も少なく、地域の医療を守る意味でも力を入れていかなくてはならないと考えています。以下では当院で行っている救急医療についてお話しいたします。

病院ロビー(順天堂大学医学部附属静岡病院よりご提供)

1981年に救命救急センターを開設し、以降は積極的に救急患者さんを受け入れています。救急患者さんの受け入れでは、救急車をはじめ、ドクターヘリの運行も実施しており、医師や看護師の現場派遣や迅速な処置、搬送をすることができます。

また、救急患者さんの受け入れでは救命救急センターのスタッフだけでなく、当院の全診療科のスタッフが協力し「断らない救急医療」の提供を実践しています。

さらに、当センターではICUやCCU、HCUなどの集中治療室や高度治療室を設置しており、重症傷病者の対応も行えます。

2016年の実績では、救急車搬送件数は4,257件でした。今後もスタッフ一同が協力して断らない救急医療の実践を継続していきます。

ドクターヘリ(順天堂医学部附属静岡病院よりご提供)

当院は2004年にドクターヘリの導入を行い、救急患者さんの受け入れをさらに強化しました。また、屋上ヘリポートやドクターヘリ格納庫の設置など静岡県東部地域のドクターヘリ運航基地病院として設備を整えています。フライトドクターやフライトナースが常駐しており、ドクターヘリの要請があれば、すぐに救急現場に向かうことができます。

2016年のドクターヘリ運航件数は886件であり、搬送人数は1,064名でした。今後は、さらに地域のみなさまにドクターヘリ活動を知っていただく機会を増やすとともに、今まで以上に消防との連携を強めていきます。

NICU(順天堂大学医学部附属静岡病院よりご提供)

新生児センターは、院内出生の低出生体重児や地域のほかの医療機関で生まれた低出生体重児などの治療にあたっています。

さらに、同センターでは新生児専用救急車を備え、そのほかに病院設備として新生児集中治療室(NICU)と新生児治療回復室(GCU)が合計30床あります。(2018年6月現在)

新生児専用救急車とは、新生児の搬送に必要な医療器材を車内に設置している救急車です。この救急車を主に出動させています。また、過去の事例では、日中で天候もよいときにドクターヘリに新生児科の医師が同乗し重症新生児を搬送した経験もあります。

同センターでは、24時間365日、新生児を迎えに行ける体制を整えています。

過去には同センターにモンゴルから大臣や在大阪モンゴル国総領事館の方や、モンゴルで詩人をしている方が見学に訪れたこともありました。同センター生まれた新生児をみて、とても感動していました。海外から見学を希望される方でも、可能な限り受け入れています。

NICU(順天堂大学医学部附属静岡病院よりご提供)
母子医療(順天堂大学医学部附属静岡病院よりご提供)

総合周産期母子医療センターの産科部門では、地域の正常分娩を多く扱っています。また、里帰り出産で地元に帰ってくる方も多く、産科部門には全国から妊婦さんがいらっしゃいます。

さらに、切迫早産前期破水妊娠高血圧症候群前置胎盤などハイリスク妊娠の妊婦さんへの診療も行っています。

現在ではハイリスク妊娠の出産前に他院から転院してもらい、新生児センターと協力して出産から赤ちゃんの治療まで一貫して行うことも増えてきています。

地域ではお産をしている医療機関も少なく、当院がしっかりと周産期医療を含めて提供していくことが重要だと考えています。

救急医療や周産期医療だけでなく、がん診療や眼科診療、整形外科なども強みのひとつだといえます。2007年には、地域がん診療連携拠点病院にも指定されており、地域のがん治療にも貢献しています。また、静岡がんセンターとも連携を取り、重度の合併症があるがん患者さんの治療なども行っています。がん治療センターを開設しており、各診療科でのがん治療のほかに外来化学療法や緩和ケアなどの医療提供にも尽力しています。

また、順天堂大学医学部附属順天堂医院の医師が当院にきて手術をすることもあり、順天堂大学の附属病院間での連携も密接にしています。

手術風景(順天堂大学医学部附属静岡病院よりご提供)
手術風景(順天堂大学医学部附属静岡病院よりご提供)

当院の眼科は、白内障緑内障の手術や網膜・硝子体手術を多く行うかたわら、近年では角膜移植手術や外眼手術にも力を入れています。また、多くの手術を取り扱うので、眼科の診療スペースには眼科専用のオペ室を設置しました。

眼科に所属する太田先生は、米国で行われた米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)で3度受賞するなど、一般診療を行いながら研究にも意欲的に取り組んでいます。また、国内で手術デモンストレーションを行うこともあります。

リハビリテーション風景(順天堂大学医学部附属静岡病院よりご提供)

近隣には日本サイクルスポーツセンターや競輪の学校などがあり、競輪がとても盛んに行われています。そのため、競輪の練習などで発生した外傷も多く、当院の整形外科でも治療を多く行っています。

順天堂大学医学部の附属病院ということもあり、若手医師の研修や医学部生、看護学校の学生の実習の場でもあります。今後の医療を担うことになる医師や学生には診療に対する姿勢から厳しく指導することもあります。医師が自分の得意な診療をみつけることも大事ですが、外来での診療の仕方や患者さんやそのご家族への配慮など、医学的な部分とは別のことも身に着けていく必要があると考えています。

患者さんに向き合う基本的な姿勢を忘れずにいてほしいと思います。

順天堂大学医学部附属静岡病院は地域のみなさまがいてこその病院だと思っています。地域のみなさまのニーズを敏感に感じ取り、さまざまな取り組みを行ってきました。今後は、肥満や食事医療や成人病予防などの予防医学の観点から地域のみなさまへの啓発に力を入れていきたいと考えています。地域のみなさまとともにある病院としてスタッフ一同努力を重ねてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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  • 順天堂大学医学部附属静岡病院  病院長・産婦人科特任教授

    三橋 直樹 先生

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