院長インタビュー

「自分たちの大切な人を任せられる存在」を理想とし、急性期疾患への対応強化を図る一宮市立市民病院

「自分たちの大切な人を任せられる存在」を理想とし、急性期疾患への対応強化を図る一宮市立市民病院
松浦 昭雄 先生

一宮市立市民病院 院長

松浦 昭雄 先生

目次
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愛知県北西部の人口38万人を超える都市、一宮市に所在する一宮市立市民病院は、長年にわたり地域の中核病院としての役割を担ってきました。1936年、前身である一宮診療所が開設され、その3年後に一宮市立市民病院へと改称しました。終戦の2か月前に全焼してしまいましたが、1949に35床で再建され、その後増床を繰り返して地域住民の健康を守ってきました。同院の大きな転機は、2010年の愛知県立循環器呼吸器病センターとの統合でした。診療科が増え、三次救急の受け入れを開始しました。

職員の気持ちをくみ取ることに熱心な同院の院長である松浦 昭雄先生にお話を伺いました。

統合を機に大きな発展を遂げた一宮市立市民病院の特色

病院外観 一宮市立市民病院ご提供

一宮市民病院とは?

当院は、尾張西部医療圏(一宮市・稲沢市)の急性期病院であり、地域の中核病院です。2010年に愛知県立循環器呼吸器病センターと統合したことで、循環器内科・呼吸器内科の充実とともに新たに心臓血管外科・血管外科が増設されました。病院機能が一層強化され、三次救急を担う病院となりました。

2018年4月時点で、病床数580床(NICU、救急ICU、HCU、ICUを含む)、診療科29科を擁し、医師は166名(初期研修医27名を含む)が在籍しています。

2018年10月に新病棟が完成

2016年12月より建築を進めていた新病棟が完成し、2018年10月から供用を開始しました。新病棟内には、手術室と心臓カテーテル検査室をそれぞれ2室増設しました。手術室の1つは、手術室とカテーテル検査室の両機能を兼ね備えたハイブリッド手術室とし、さらに手術支援ロボット・ダヴィンチを設置しました。これらを用い、血管内治療や内視鏡手術など体に負担の少ない手術の強化を進めます。また緩和ケア病棟(14床)の新設に加え外来化学療法室、緩和ケア診察室、がん相談支援センターを一体的に整備しました。あわせて、旧病棟から結核病棟・感染症病室を移し、患者さんの療養環境をより快適なものにしています。新病棟の稼働により当院の機能性は格段に向上し、これまで以上に患者さん一人ひとりに寄り添った医療を提供できていると実感しています。

新病棟に導入された手術支援ロボット・ダヴィンチ 一宮市立市民病院ご提供

豊富な病院機能を保持

当院は病院機能を各方面から評価いただいています。以下では、機関指定の認定について詳しくご紹介します。

地域医療支援病院

2012年に愛知県の地域医療支援病院として認定され、その使命である病診・病病連携と地域完結型医療の構築を推し進めてきました。地域の病院や診療所から紹介を受けた患者さんに対して、専門的な診断と医療を提供し、患者さんが地域内で医療を受けられるようにしています。そして急性期治療を終えた患者さんが安定期に入った後は、患者さんの生活を最優先に考慮して、地域のかかりつけ医の先生へ治療をお願いしています。

地域がん診療連携拠点病院

2007年に指定を受けました。患者さん一人ひとりに適したがん治療の提供はもちろん、がんについての情報発信や予防医療などの提供にも努めています。

地域周産期母子医療センター

尾張西部医療圏の周産期医療を支えており、ハイリスク分娩を中心に受け入れています。新生児が未熟児であった場合は、新生児専用の集中治療室であるNICUで対応しています。また周産期医療とあわせて、小児科においても小児重症疾患の診療や夜間対応などを行っています。

地域の皆さまが安心して、お産と子育てに取り組めるような医療の提供に努めています。

救命救急センター

愛知県の救急医療センターとして、一次救急から三次救急までどのような状態の患者さんであっても、24時間365日体制で対応しています。循環器分野については、担当医が24時間常駐しており、緊急の心臓カテーテル手術や心臓手術が可能です。

内科系疾患では心筋梗塞・心不全の集中治療や緊急手術の術後管理、脳梗塞の血栓溶解療法、重症呼吸不全の呼吸管理などを行っています。外科系疾患では交通事故などで生じた外傷を含め、あらゆる病気に対する救急医療を提供するために日々努力しています。

平日時間内には、日本救急医学会認定の指導医・専門医とともに全診療科が一丸となって、救急搬送患者の治療にあたっています。救命救急センター内には救急外来専用のCT・レントゲン装置を設置し、迅速な検査を実施しています。また麻酔器も備えており、センター内での全身麻酔下の手術や緊急処置を可能にしています。

バランスのよいがん治療の提供を目指して

多種多様ながんに対応するために

地域のがん診療連携拠点病院として、バランス感のあるがん治療を提供しています。当院における近年のがん患者さんの治療実績は多岐にわたります。今後は、完成した新病棟を活用することで化学療法の強化を図かる予定です。また新病棟内に緩和ケア病棟を新たに設置したことにより、がんの急性期から緩和ケア・終末期医療までを診られるようになりました。多種多様ながんに対し適切な医療を提供することで、バランスのよいがん治療をお届けしてまいります。

放射線分野のサポートも充実

放射線分野(放射線科・放射線診断科)には、現在6名の医師が在籍しています(2018年11月時点)。CTやMRIなどの画像診断はもちろんのこと、放射線治療も積極的に実施しています。

当院の放射線療法は、リニアックとトモセラピーの2つを用意し、より安全かつ適切な放射線治療に努めています。

循環器医療を地域で完結させるための取り組み

マルチスライスCTの導入

各関連診療科の診療・検査に、マルチスライスCTを導入しました。特に、循環器分野においては積極的に活用しています。近年増加している生活習慣病を患う方のなかで多いのが、自覚症状がないまま動脈硬化が進行しているケースです。そのため当院では心臓CT検査を行って動脈硬化の程度を把握し、予防・治療に積極的に取り組んでいます。

循環器疾患に対する医療の充実

循環器分野では狭心症・心筋梗塞に対するPCI(経皮的冠動脈形成術)や、不整脈に対するアブレーション、カテーテル治療やペースメーカー植込み術の症例も多数あります。心房細動が原因である脳梗塞(心原性脳塞栓症)などの予防医療にも注力しています。循環器疾患に対する医療であれば、可能な限りこの地域内で完結できるように努めています。

また心臓血管外科では、あらゆる心疾患・胸部大動脈疾患を対象としており、低侵襲を心がけた外科的治療にも積極的に取り組んでいます。

職員の貴重な意見をくみ取り、働きやすさを実現

研修医・若手医師は病院の大切な「ビタミン」

私は普段から「若手・研修医は病院のビタミン的存在です。」と職員に伝えています。若手・研修医が病院内を元気に駆け巡ることで自然と病院内に活気がでるからです。そのため、当院では教育体制を整えて、若手が活躍できるような環境づくりを心がけています。当直など大変な仕事も多々あるとは思いますが貪欲に学んでほしいと思っています。当院では研修医の採用の際に人柄やコミュニケーション能力を重視しています。そして選抜の判断には見学実習に来たときの態度など、各診療科の意見を聴いています。その結果、人格的に優れた人材が入職しており、若手・研修医間のトラブルはほとんどなく、みんな仲よく気持ちよく協力して働いているなと感じています。若手の意見を積極的に聞き入れ、若手・研修医にとって魅力あふれる病院をめざしています。

職員に対する意見箱を設置

現場の声が聞こえなくなってしまうようなことは絶対に避けたいと考えています。私が院長に就任した当初、院長応接室は狭く、各診療科の職員全員と話そうとした場合にはもっと大きな部屋が必要だと考えました。そこで私は、やや広い院長室と狭い応接室を交換しました。これが私の院長就任後の初仕事でした。

私は、現場に立つ一人ひとりの声をくみ取ることがもっとも大切なことだと思っているため、定期的に職員満足度調査を実施し、問題があった場合には顔を合わせて話を聞き、問題解決のために行動を起こします。なるべく現場の方たちには気楽に意見を言ってもらいたいと考えています。

職員の意見を反映するなど、環境改善を繰り返していけば職員のやる気も上がります。そこで私は、職員用の意見箱を設置し、さらなる意見の吸い上げ強化に取り組みました。こうした活動によって、以前よりも職員の顔つきがイキイキとしているという確かな実感があります。

病院の目指す姿と職員へ向けて伝えたいこと

よい病院とは、大切な人を任せられるかどうかで決まる

よい病院というのは患者さんの満足度調査だけでは推し量れません。

私は職員に対して「よい病院というのは、私たち職員自身の大切な家族や友人が病気を患ったときに、心から“当院に来たらいい”と言えるかどうかで決まる」と伝えています。つまり、地域の皆さまに安心してお越しいただける病院は、職員が安心して勧められる病院ということです。

また病院のなかでは医師が中心的存在ですが、医師が独断でものごとを決めるのではなく、みんなの意見をくみ取って円滑に取りまとめてほしいと思っています。医師の役目というのは、診療行為のみではありません。各職種の声をまとめるのも医師の任務なのです。

職員全体に言えることは、当院の職員すべてが各分野においてのプロだということです。各職種それぞれがプロ意識を持ち、互いに協力し合って「よい病院」の実現のために働いてもらいたいと思っています。

熱心にカンファレンスを行うスタッフの皆さん 一宮市立市民病院ご提供

地域の皆さまへのメッセージ

当院は、地域の中核病院として医療を提供する急性期病院であり続けます。そのため、急性期医療を必要とされる患者さんを主に診察する存在であることをご理解していただきたいと思っています。もちろん、長年地域の皆さまに支えられてきたおかげで当院は存続しています。皆さまの、もしものときは当院でしっかりと受け入れます。軽度であっても不安をかかえているときには入院対応をします。

急性期疾患で来院、搬送された患者さんに高度救急医療を提供するのは当院の責務です。患者さんが急性期を脱した後には、信頼できる地域の医療機関に紹介し、患者さんが継続的に医療を受けられるように協力します。

近年、当院ではかかりつけ医の先生との関係強化・機能分担に力を入れています。地域の病院や診療所がしっかり役割分担をすることで、私たちも患者さんも効率的な医療行為・受診が可能になります。当院は今後も急性期病院としての役割を担っていくために、さらに邁進してまいります。