院長インタビュー

「地域医療への貢献」を掲げる市立島田市民病院の取り組み

「地域医療への貢献」を掲げる市立島田市民病院の取り組み
和田 英俊 先生

市立島田市民病院 院長

和田 英俊 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年12月11日です。

市立島田市民病院は、1946年に島田町立診療所として開設されました。1950年に島田市立病院へ改称、2005年には救急センターと新病棟が建設され、現在の形になりました。2021年には、2018年に建設が始まったばかりの新病院が完成する予定です。

同院では現在、どのような取り組みが行われているのでしょうか。院長である和田英俊先生にお話を伺いました。

 

現病院外観(市立島田市民病院よりご提供)

静岡県島田市にある市立島田市民病院は、市内で唯一の総合病院です。隣接する地域にも頼られる急性期病院として、地域の皆さまの健康を支えています。

24時間365日体制で救急患者さんを受け入れる一方で、リハビリテーションなどを幅広く提供することで、地域から寄せられるニーズに対応しています。

 

救急蘇生研修の様子(市立島田市民病院よりご提供)

当院の診療科で特に強みとしているのは、循環器内科です。

日本循環器学会認定の専門医を含む常勤の医師が在籍しているため、急性心筋梗塞などの循環器救急疾患には24時間常時対応しています。

当院の循環器分野の受け入れ症例数は年々増加しており、心臓カテーテルによる治療などを行っています。

当院は、血液内科の分野でも地域の中心的役割を担っています。

骨髄移植は手掛けておりませんが、患者さんが遠方まで足を運ばずに済むよう、自家移植を含む大量化学療法まで対応し、地域で完結できる診療を心がけています。

 

ダヴィンチのお披露目(市立島田市民病院様よりご提供)

泌尿器科では2017年1月からダヴィンチによるロボット支援手術を行っています。前立腺がんに対する前立腺全摘除術はもちろん、腎臓がんの腎臓部分切除術にも導入しています。

新しい機械や設備を導入することは、医療の質の向上はもちろん、職員のモチベーションをアップさせたり、学ぶ環境を整えたりという側面でも役立っていると考えています。

日本脳神経外科学会が認定する脳神経外科専門医と、日本救急医学会が認定する救急専門医で構成されています。医療機器や技術を導入して、開頭クリッピング術や緊急バイパス術などの顕微鏡手術はもちろんのこと、血栓回収術や動脈瘤塞栓術などの血管内治療にも24時間365日で対応しているほか、必要に応じて並列での緊急手術も行っています。

外科では、胃や大腸などの悪性腫瘍から、鼠径ヘルニア胃十二指腸潰瘍の穿孔などの良性疾患に対して、可能な限り内視鏡外科手術を行っています。

また胆のう結石症や急性虫垂炎では、ほぼ全例で臍内1か所の傷で手術を行う単孔式腹腔鏡手術を施行しています。また3mm径以下の器具を使用する細径式腹腔鏡手術も取り入れています。

今後は、胃がん直腸がんに対するロボット支援手術の導入も予定しており、さらなる低侵襲化治療の実現を目指しています。

島田市内の救急患者さんはほとんどが当院に運ばれています。近隣の藤枝市や焼津市、牧之原市などからの搬送も受け入れることがあります。

地域を支える急性期病院として、「絶対に断らない救急」を掲げて診療を行っています。

 

新病院のイメージ画像(市立島田市民病院よりご提供)

第一に、当院の理念である「地域医療に貢献する」病院であること、次に地域住民の皆さまから十分な信頼を得て、職員も明るく楽しく仕事ができる病院であることが理想です。そして、地域の医師たちからも頼りにされる病院を目指しています。

職員の働く環境がよく、仕事にやりがいがあれば、必然的に医療の質もあがり、患者さんや地域の先生方の信頼も集められるようになるでしょう。新病院の完成に向け、より充実した病院を目指してまいります。

そして、地域の医療機関に対しても、垣根のない病院でありたいと思っています。私は近隣病院へも手術のお手伝いに行っています。向かった先の病院で若手医師がダヴィンチを学びたいといえば、その機会をつくったりもしています。それが、その医師のモチベーションとなり、将来よりよい医師になるための糧になると思っているからです。

そういった機会も含め、当院だけでなく、地域の病院がお互いに弱いところを補完し合いながら、よりよい医療圏をつくっていきたいと思っています。

これは静岡県全体の問題ですが、地方に残る若手医師が少なくなっています。新専門医制度が始まった2018年には、さらにその傾向が強くなり、静岡県は全国でも専攻医(後期研修医)の減少率が高い地域となってしまいました。また島田市は、静岡市と浜松市の中間に位置するため、どちらかに行ってしまう医師が多いように思います。

医学部生に対しては、病院見学を広く受け入れており、まずは実際に当院を見てもらえる機会を作るように工夫しています。

 

 

何事も興味を持たなければ、一生をかけて携われるような仕事は選べないと思います。そのため、若手の医師には、「まずは医師の仕事が好きになるように」と伝えています。専門の診療科を選ぶときも、打算で選ぶのではなく、好きな診療科を選んでほしいと思います。

一生興味を持ち続けることができて、自分が楽しめるものでないと、仕事は続けていけません。そして、初心と共に感謝と謙虚な気持ちを忘れずにいれば、きっとよい医師になれるでしょう。

まずは、2021年の新病院開院に向かって準備をしていきたいと思っております。より充実した、市民の皆さまに満足していただける病院を目指して、職員一同努力してまいります。

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