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院長インタビュー

近未来の地域医療を担う「総合力」を備えた医師育成を目指す滋賀病院の挑戦

近未来の地域医療を担う「総合力」を備えた医師育成を目指す滋賀病院の挑戦
来見 良誠 先生

独立行政法人地域医療機能推進機構 滋賀病院 院長

来見 良誠 先生

目次
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独立行政法人 地域医療機能推進機構 滋賀病院(以降、滋賀病院)は総合病院健康保険滋賀病院として1953年に開院しました。病床数増加や人工透析室開設、病院機能や関連施設追加などを経て、2014年に独立行政法人地域医療推進機構に移行して現在に至ります。

地域医療機能推進機構の一員として各種健診、診療、老人保健施設の運営など医療の力で地域を支えるほか、「総合力」のある人材の育成に注力していることも大きな特長であると、病院長の来見良誠(くるみ よしまさ)先生はおっしゃいます。

病院で特に注力している診療や特長、病院独自の取り組み、地域医療に対する考え、後進の医師教育について、来見先生にお話を伺いました。

 

病院外観(滋賀病院よりご提供)

一般的な循環器内科が扱う代表的な病気としては、心筋梗塞心臓弁膜症心不全のほか、不整脈高血圧症などがあり、服薬や心臓カテーテルなどを用いて治療します。当院では、これら循環器の病気はもちろん内科疾患にも対応しています。

循環器内科に関連した診療にも力を入れており、心臓手術後に心臓や足の血管に動脈硬化が認められるなど一部の患者さんに運動療法・カウンセリング・教育などを行う心臓リハビリテーションを行っています。ほかにもペースメーカー植込術で設置した機器に異常がないかなどのチェックも受け入れています。

消化器の病気は種類が多く治療方法も多岐にわたります。当院では各種診療ガイドラインを遵守しつつ、患者さんの体にかかる負担をなるべく軽減した検査や治療を提供するよう心がけています。

消化器内科では、鼻から入れる内視鏡を導入しており、鎮静剤を使用した状態でも検査を受けることが可能です。食道・胃・大腸に対する治療では、内視鏡的粘膜下層剥離術と呼ばれる内視鏡治療を積極的に導入して、体にメスを入れる量を極力減らしています。

消化器外科では、消化器の進行がんや内視鏡手術が困難な症例の手術を担当しており、体への負担を考えて可能な限り腹腔鏡による手術を積極的に行っています。

糖尿病内科では、腎臓に対する診療と糖尿病や甲状腺疾患といった内分泌に関する診療を担当しています。

尿蛋白や血尿が認められる方の精密検査や腎機能の検査、腎炎診療、腎不全の管理や人工透析などを行っています。

糖尿病や甲状腺の病気の発症には、ホルモンのはたらきが関わっていることが多く、特に糖尿病では体質や生活習慣が影響を及ぼすことから、予防や進行を遅らせるためには生活習慣の見直しや改善が重要です。当院では、医師だけでなく、看護師、栄養士、薬剤師のほか、臨床検査技師や理学療法士などのスタッフが力を合わせたチーム医療で患者さんをサポートします。

スタッフ全員が「もし自分の身内ならどうするか」と考えながら患者さんやご家族と相談して、治療方針や治療方法を決定します。当院では、検査、入院を伴う治療、術後のリハビリテーションなどを一貫して行えるのが特長です。

スポーツで酷使しやすい肘や肩関節の痛みに対する治療や予防などに詳しい医師も所属しているので、クラブチームや部活動などに所属している方から週末に趣味としてスポーツを楽しむ方まで、スポーツに伴う運動器の悩みについてのご相談も受け付けています。

年を重ねるにつれ、加齢に伴う軟骨の摩耗や、リウマチなどの病気の影響で膝や股関節の不調を感じる方が増加します。特に高齢者の整形外科疾患は生活の質を低下させやすいため、生活指導・運動療法・服薬治療・手術などを組み合せながら治療にあたります。

リハビリ室では、各種器械を使用して筋力の低下防止や日常生活復帰に向けたリハビリテーションを行っています。

がん治療では、外科手術・抗がん剤による化学療法・放射線療法が三本柱とされており、病院全体で患者さんの体と心の負担を極力減らしたがん診療に注力しています。

比較的早期のがんに対しては、可能な限り内視鏡や腹腔鏡による手術を行うことで、体にかける負担を開腹手術よりも軽減して早期の社会復帰を目指しています。

見た目の美しさは直接命に関わるものではないものの、病気や治療に伴う心の負担を少しでも減らして生活の質を高めたいという願いから、患者さんご自身の組織やインプラントを使用して新しい乳房をつくる乳房再建という手術も、形成外科が中心となって実施しています。

健康でいられる期間を延ばすためには、病気の早期発見と早期治療が大切です。当院では、地域医療推進機構として各種健康診断や人間ドックにも注力しています。

当院以外でも滋賀県全域において健診車による巡回健診を行っており、公共施設や企業を健診会場にして健康診断を行うことも可能です。

当院では血液透析と腹膜透析の双方を実施可能です。在宅療養中の患者さんの増加を受けて、在宅血液透析支援もしています。

病気の進行や合併症の発症率低減を目的として、人工透析が必要になる前の慢性腎臓病の患者さんを対象に、集団教育「じん教室」や教育入院「そらまめ教育入院」も行っています。

 

カンファレンスの様子(滋賀病院よりご提供)

院内向けの取り組みですが、当院では毎朝のカンファレンスを診療科問わず自由に参加できるようにしました。

カンファレンスは患者さんの状態や治療方針について話し合う場で、診療科によって重視するポイントが異なり、専門外の症例が提示されるときには、ベテランの医師も新たな知識を得ることで、少し得をした気分になれることが大きな特徴です。実際の症例をもとに、担当科の医師が所見や治療について話すため、カンファレンスに参加することで他科の医師も自然と専門知識を身につけることができる環境です。より知識を増やしたい医師にとって学びの場になり、診療スキル向上や異常の見落とし減少などの効果も現れてきました。当然の結果として、各診療科間の垣根が低くなり、意思疎通がしやすい医局になってきました。

 

災害訓練時の様子(滋賀病院よりご提供)

地域内に複数の医療機関が点在していることもあり、それぞれの役割にもとづいた連携が進んでいます。そのなかで当院は医療連携のハブ的存在として、がん診療や、健康診断、人工透析など、他分野の医療を手がけています。

医療の中には、急性期医療と呼ばれる病気や症状の進行が早く喫緊の対応が必要な「待てない医療」もあり、ときに急性期病院のみで全て受け入れるのが難しいこともあります。当院は急性期病院との位置づけでありますが、地域で医療を完結させるため、今後は従来からの役割も担いつつ、さらに近隣の急性期病院のフォローにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

たとえば、終末期の患者さんが延命措置を望んでいなかったとしても、病院に搬送された時点で医療介入が行われます。このように、患者さんは医療に対して受身の姿勢をとらざるを得ず、そこに患者さんの本当の希望が入らないことが往々にしてあります。

今後は、患者さんの視線と立場に立って気持ちや要望を知ったうえで、患者さんの求めに応じたサービス提供への転換が必要です。2020年や2025年といった近未来を想定して、患者さん主体の医療サービスを構築していきたいと考えています。

当院は滋賀医科大学との間に地域医療教育研究拠点に関する協定を結んでおり、医学部生の臨床実習を受け入れて診療やカンファレンスに毎日参加してもらっています。実習は5年生全員と6年生の一部が対象で、毎日5名の学生が参加しています。座学ではわからない現場の臨場感を知ってもらい、またこの病院に来たいと思ってもらえるよう職員一同取り組んでいます。

当院では、総合力のある医師の育成に注力しています。総合力とは「総合診療ができる能力」というよりも「いかなる事態にも対応できる包容力と技術」というニュアンスのほうが近いです。

人口構造の変化によって大勢の高齢者を少数の医師で診る次代の到来が予測されており、総合力をそなえた医師の育成は急務であると考えています。

これから経験を積んでいく若手医師には、総合力を身に着けたうえで専門性を追求していただき、ある程度キャリア形成が進んだ医師には、自身の専門性をさらに磨きつつ総合力をプラスアルファで身につけていただきたいと考えています。当院では、医師のみならずすべての職員に対して、目指すところは、「総合力のある専門職であれ」と啓発しています。

 

 

地域医療構想と呼ばれる「地域全体で皆さんの健康を守ろう」という考えのもと、当院は皆さんの生活を見守りときに医療や福祉でサポートする、地域と生活に根付いた病院として活動し続けてきました。

患者さんやご家族が健康や病気に対する不安を相談しやすく、職員も皆さんに対して自然に声をかけられるような関係性で結ばれた病院になりたい。それが、当院で働くすべての職員の願いであり目標です。

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  • 独立行政法人地域医療機能推進機構 滋賀病院 病院長

    来見 良誠 先生

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