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院長インタビュー

これからの医療のあり方を見据え、次々とイノベーションを推進する済生会熊本病院

これからの医療のあり方を見据え、次々とイノベーションを推進する済生会熊本病院
中尾  浩一 先生

社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 院長

中尾 浩一 先生

目次
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済生会熊本病院は、生活困窮者を救済するために1911年に創立された社会福祉法人・恩賜財団済生会を母体とする、医療・保健・福祉活動を行う病院です。近年は、世界水準の医療の提供を目指し、国際医療機能評価であるJoint Commission International(JCI)の認証を取得・更新するなど、さまざまな先進的な取り組みを行っています。

2017年4月に同院の院長に就任された中尾浩一先生に、これからの医療のあり方や同院が積極的に取り組んでいる医療などについて、お話を伺いました。

病院外観

医師や薬剤師などの医療に関わる「ひと」や、医療機器および医薬品などの「もの」をまとめて医療資源と呼んでいますが、これらの医療資源は社会全体で共有する、有限の財産です。我々病院経営者は、一人でも多くの方に医療を提供できる体制を維持するため、すべての患者さんが満足できる結果の追求から、患者さんやご家族の方が納得できる医療の提供への転換が必要です。

そのためには、次の3点が重要になると考えました。

  1. 医療にかかわるイノベーションの推進と、実際の診療現場への導入
  2. より効率的に医療を提供するための仕組みづくり
  3. 「患者さんの自立を助ける」存在であることへの医療従事者の意識変革

このような考え方のもと、当院は急性期病院として急性期医療を追求するため救命に特化した診療科に絞る代わりに、医療にかかわるイノベーションを積極的に導入して、その上で地域の医療機関との連携を大切にする病院としてのあり方を、選択しています。

当院は、診療科による縦割り組織ではなく、臓器や部位にもとづいて内科領域と外科領域の医師が協力して診療する「臓器別センター制」を導入しています。その上で、近年は、救急医療やがん診療に積極的に取り組んでいます。ここでは、当院が実施している医療の一例をご紹介します。

救急搬送者の受け入れの様子

2010年に、救急総合診療センターという救急科と総合診療科を組み合わせた、全国でも稀な組織を創設しました。救急総合診療センターでは、救急科と総合診療科の医師が協働し、特に重症度が高いと診断された患者さんをはじめ、多臓器にわたる病気を抱えていると思われる、もしくはどの診療科にも属していないと思われる患者さんを受け入れ、治療しています。また2018年には、「ハイブリッドER」としての使い方も見据えて2room方式のIVR-CTも導入し、さらなる救急医療の充実を目指しています。

2017年度、当院で受け入れた救急車・病院車・防災ヘリ・ドクターヘリ・ドクターカ-による救急車搬送数の合計は9,030台でした。これは、1日あたり24台を受け入れている計算です。

熊本市および周辺地域の急性期医療を支える病院として「断らない救急」をスローガンに掲げて受け入れ体制の充実化を図ってきたことのあらわれです。これからも、地域の皆さんが安心して暮らせるよう努めてまいります。

当院では、がんの三大治療と呼ばれる手術・放射線治療・化学療法を中心に、がんによる痛みのコントロールを行う緩和ケアを組み合わせた治療を行っています。当院は、患者さんが抱えるがんの種類や進行状況、治療に対する患者さんやご家族の希望を伺った上で治療方針を決定します。

予防医療センターでは、がんの早期発見を目指して、各種がん検診やフォローアップなども行っています。

2台目の手術支援ロボット・ダヴィンチを導入

ダヴィンチを使用した肺がん手術の様子

2012年に手術支援ロボット・ダヴィンチを導入しました。ダヴィンチでは、専用のモニターで患部の様子を見ながら、ロボットを遠隔操作して手術します。ダヴィンチは従来の腹腔鏡手術に比べ、より精密な手術を行うことが可能です。

2018年4月にダヴィンチの保険適応範囲が拡大したことを受けて、当院でも泌尿器科領域に加え、2018年に肺がんと胃がんのロボット手術を開始しました。また2019年1月に、ダヴィンチ2台目の導入にあわせて「ロボット・低侵襲手術センター」を開設し、より多くの方への治療機会の拡大を目指しています。

リニアックやガンマナイフによる放射線治療も充実

高エネルギー放射線治療機・リニアック

2018年、腫瘍部分に対して放射線を集中的に当てることができる、高エネルギー放射線治療機・リニアックも導入しました。当院では、IMRT(強度変調放射線治療)と定位放射線治療(SRT)の双方に対応可能な機器を使用しているため、患者さんのがんの種類や、がん縮小や疼痛緩和といった目的に応じた治療が可能です。

また、2016年にはガンマナイフの機器更新も行っています。ガンマナイフとは、がんや脳腫瘍の治療で使用する、放射線治療機器の一種です。機器に複数ある照射光からガンマ線を病巣部に向かって照射することで、周辺部位への影響や副作用を極力抑えた治療ができるのが特徴です。

このように、当院では各種放射線治療機器を積極的に導入することで、がん治療全体の選択肢の充実をはかっています。

心臓にある弁の働きが悪い心臓弁膜症という病気に対して、TAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)という治療を行っています。TAVIは、太ももの付け根もしくは肋骨の間からカテーテルと呼ばれる細い管を通して人工弁を留置します。当院では、ハートチームと呼ばれるTAVI治療専門のグループが、治療を担当します。

ほかにも、心臓の病気の一種である僧帽弁閉鎖不全症で、高齢だったりほかの病気も併発したりしているなどの理由により外科手術を受けるのが難しい患者さんを対象に、カテーテルと呼ばれる細い管を用いたクリップ治療を行っています。

この治療方法は太ももの付け根からカテーテルを入れて行われるため、手術による出血量や手術後の痛みを極力抑えることができます。

心臓や脳血管手術に特化したハイブリッド手術室

ハイブリッド手術室での集合写真

ハイブリッド手術室とは、手術室と心臓や脳血管に対するレントゲン撮影装置を組み合わせた手術室のことです。ハイブリッド手術室では、患者さんを動かすことなく、画像診断と手術やカテーテル治療をスムーズに行うことができます。

2018年4月には院内2室目となるハイブリッド手術室を導入し、脳血管治療や心臓血管領域、整形外科領域などで使用しています。

ここまで、当院が実施している医療の特徴と、導入している医療機器についてご紹介してきました。

物事の選択と集中を進めるということは、不完全さを容認することでもあります。急性期医療を行う以上、患者さんと接する期間も自然と限られます。そういう意味で当院は、医療のすべてをカバーしていない「不完全な存在」であると言えるでしょう。

そんな当院にとって、地域の医療機関との連携は生命線ともいえます。我々の「不完全さ」を補完してくれる存在が地域の医療機関なのです。当院からは急性期を脱した患者さんを地域の医療機関にお任せして、反対に地域の医療機関からは病気が悪化した患者さんをお預かりします。互いの存在価値を認め合い、敬意を忘れず、支え合い、ときに勉強会などを通じて高め合っていける関係を維持していきたいと考えています。

「患者さんが抱える心身の不調の原因を見つけ、もとの状態に戻るために医療を行う」という病院本来の役割を考えると、地域の皆さまと当院の付き合いは無いに越したことはありません。

しかし、ご自身やご家族の健康に不安を感じたときなど、何かあった場合にはきっとお役に立つでしょう。当院の職員は、患者さんや地域の皆さんとの間に築き上げてきた信頼関係におごることなく、「熊本に新しいものを持ってこよう」という気持ちで医療に向かい合っています。そして、わかりやすい説明を心がけ、患者さんの心に寄り添った医療を行うことで、患者さんが健康を取り戻す手助けができるよう日々励んでいます。健康や医療に対する不安や疑問があれば、いつでもご相談ください。

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  • 社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 院長

    中尾 浩一 先生

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