嚥下障害とは、何らかの原因で嚥下機能(食べる・飲み込む機能)に障害が起こった状態をさします。嚥下障害は患者さんのQOL(生活の質)低下に直結することから、高齢化が進む現代社会において重要なテーマといえます。
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「嚥下障害」とは、病気など何らかの原因で嚥下機能(食べる・飲み込む機能)や形態に障害が起こった状態をさします。嚥下障害になると、ものが食べられなくなり、日常生活に支障をきたします。
嚥下障害によって発生するデメリットは、大きく3つです。
嚥下障害の問題は、治療をしてもなかなか元どおりには戻らない、つまり、不可逆的な病態であることです。このような点から、まず嚥下障害にならないようにする=「予防」や、嚥下障害が起こったあとにできるだけ進行を抑える=「リハビリテーション」が非常に重要であるといえます。
嚥下障害の最大の原因は、脳卒中*ですが、そのほかにパーキンソン病、進行性の神経筋疾患、サルコペニア*なども原因になりえます。また、まったく別のカテゴリーでは腫瘍(たとえば食道がん、口腔がん、咽頭がんなど)を原因として嚥下障害が起こることがあります。このように、嚥下障害にはさまざまな原因があります。
脳卒中とは:脳の血管がトラブルを起こす病気です。脳卒中は大きく脳出血・脳梗塞・くも膜下出血に分類されます。
サルコペニアとは:加齢や病気により筋肉量が減少することで、握力や下肢筋・体幹筋など、全身の筋力低下が起こった状態をさします。
嚥下障害は、原因が1つであるとは限らず、複合的な原因によって嚥下障害が進行する可能性があります。そのため、どのような原因で嚥下障害が起こっているのかを見極め、その状態を正しく評価し、リハビリテーションなどの対策を行う必要があります。
嚥下障害の予防には、口腔ケアがもっとも大切といわれています。歯ブラシなどを用いて口腔内の食物の残りかすや細菌を除去し、口腔内の衛生状態をきれいに保つことが重要です。
「誰でも、加齢と共に嚥下機能が低下する可能性がある」ということを認識することが大切だと考えます。そして、嚥下機能や呼吸機能を高める運動などを意識的に行うことが重要です。たとえば、当院では、嚥下機能を鍛える「嚥下体操*」や、1日に時間を決めて歩くことなどを特におすすめしています。
嚥下障害の予防には、栄養管理と血圧のコントロールも重要です。
まずは栄養が偏らないように心がけ、筋力低下を防ぐためにタンパク質や脂肪を意識的にとるとよいでしょう。また、嚥下障害の大きな原因である「脳卒中」を防ぐためには、毎日血圧を測る、塩分を控えるといった方法で血圧をコントロールすることも大切です。
浜松市リハビリテーション病院 病院長
浜松市リハビリテーション病院 病院長
日本リハビリテーション医学会 リハビリテーション科専門医・リハビリテーション科認定臨床医・リハビリテーション科指導医日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
東京大学農学部林学科森林植物学教室を卒業後、ご尊父の出身大学である浜松医科大学に入学。卒後はまず脳神経外科を専攻した。初めて主治医として受け持った患者さんが転移性脳腫瘍で、手術の助手も初めて務めたが、嚥下障害で肺炎になり大きな苦労を経験する。その後、リハビリテーション科に転向し、嚥下のリハビリテーションに精力的に取り組んだ。摂食訓練におけるsafe swallow、errorless trainingを導入して成果を上げ、学会活動を通じて研究も行い、成果を広く普及啓発活動し、今日に至る。最近では臨床倫理学会の理事を務めるなど、摂食嚥下障害の臨床倫理的問題にも取り組んでいる。
藤島 一郎 先生の所属医療機関
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