インタビュー

嚥下障害とは?デメリット・原因・予防について

嚥下障害とは?デメリット・原因・予防について
藤島 一郎 先生

浜松市リハビリテーション病院 病院長

藤島 一郎 先生

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この記事の最終更新は2019年03月26日です。

嚥下障害(えんげしょうがい)とは、何らかの原因で嚥下機能(食べる・飲み込む機能)に障害が起こった状態をさします。嚥下障害は患者さんのQOL(生活の質)低下に直結することから、高齢化が進む現代社会において重要なテーマといえます。

詳しくは慢性期.comのページをご覧ください。

嚥下障害」とは、病気など何らかの原因で嚥下機能(食べる・飲み込む機能)や形態に障害が起こった状態をさします。嚥下障害になると、ものが食べられなくなり、日常生活に支障をきたします。

嚥下障害によって発生するデメリットは、大きく3つです。

  • 栄養摂取が難しくなり、低栄養などの栄養障害を起こす
  • 食道を通るべき食べ物や唾液が気道に流れ、肺に到達して「誤嚥性肺炎」を起こす
  • 食べる楽しみを失い、患者さんのQOL(生活の質)が低下する

嚥下障害の問題は、治療をしてもなかなか元どおりには戻らない、つまり、不可逆的な病態であることです。このような点から、まず嚥下障害にならないようにする=「予防」や、嚥下障害が起こったあとにできるだけ進行を抑える=「リハビリテーション」が非常に重要であるといえます。

嚥下障害の最大の原因は、脳卒中ですが、そのほかにパーキンソン病、進行性の神経筋疾患、サルコペニアなども原因になりえます。また、まったく別のカテゴリーでは腫瘍(たとえば食道がん口腔がん咽頭がんなど)を原因として嚥下障害が起こることがあります。このように、嚥下障害にはさまざまな原因があります。

脳卒中とは:脳の血管がトラブルを起こす病気です。脳卒中は大きく脳出血脳梗塞くも膜下出血に分類されます。

サルコペニアとは:加齢や病気により筋肉量が減少することで、握力や下肢筋・体幹筋など、全身の筋力低下が起こった状態をさします。

嚥下障害は、原因が1つであるとは限らず、複合的な原因によって嚥下障害が進行する可能性があります。そのため、どのような原因で嚥下障害が起こっているのかを見極め、その状態を正しく評価し、リハビリテーションなどの対策を行う必要があります。

  1. 嚥下障害の原因を見極める
  2. 嚥下障害の状態を正しく評価する
  3. リハビリテーションなどの対策を行う

嚥下障害の予防には、口腔ケアがもっとも大切といわれています。歯ブラシなどを用いて口腔内の食物の残りかすや細菌を除去し、口腔内の衛生状態をきれいに保つことが重要です。

「誰でも、加齢と共に嚥下機能が低下する可能性がある」ということを認識することが大切だと考えます。そして、嚥下機能や呼吸機能を高める運動などを意識的に行うことが重要です。たとえば、当院では、嚥下機能を鍛える「嚥下体操」や、1日に時間を決めて歩くことなどを特におすすめしています。

嚥下体操 浜松嚥下研究会HP

嚥下体操の動画はこちら

嚥下障害の予防には、栄養管理と血圧のコントロールも重要です。

まずは栄養が偏らないように心がけ、筋力低下を防ぐためにタンパク質や脂肪を意識的にとるとよいでしょう。また、嚥下障害の大きな原因である「脳卒中」を防ぐためには、毎日血圧を測る、塩分を控えるといった方法で血圧をコントロールすることも大切です。

 

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