院長インタビュー

地域医療の要を担い、地域の方が抱える問題の解決を目指すJCHO群馬中央病院

地域医療の要を担い、地域の方が抱える問題の解決を目指すJCHO群馬中央病院
内藤 浩 先生

独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO) 群馬中央病院 院長

内藤 浩 先生

目次
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JCHO群馬中央病院は、群馬県前橋市の中心地に位置する病院で、法改正に基づく組織改編や病院機能拡充を経て、2014年に独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)群馬中央病院として体制を新たにしました。同院は、地域の方のニーズに応える地域医療の要としての病院を目指しています。

地域の方が住み慣れた地域で暮らすサポートを行う、JCHO群馬中央病院の取り組みとはどのようなものでしょうか。病院長の内藤(ないとう) (ひろし)先生にお話を伺いました。

JCHO群馬中央病院 外観
JCHO群馬中央病院 外観

当院は、地域包括ケア病棟60床を含む333床の病院で、80床の介護老人保健施設と健康管理センター、地域包括支援センターなどの介護福祉施設も敷地内に有しています。

当院が属する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO:ジェイコー)病院とは、従来全国にあった社会保険病院や厚生年金病院、船員保険病院で、独立行政法人化し病院グループとなった現在も、地域における救急やへき地医療などの5医療事業と、がんなどの5疾患や地域包括ケアの連携を要とした医療活動を行っています。

当院の使命は、高齢化の進む社会において、地域に根差した医療の提供で地域の方を支えることであると考えています。当院では地域医療を実現するために、地域に求められる医療の提供はもちろんのこと、地域の方を対象とした健康サポートにも積極的に取り組んでいます。なかでも特に力を入れているのが、医療、生活支援、病気の予防など、多面的に地域全体を支えるための取り組みです。

当院では、地域の方がどのようなときも住み慣れた場所で過ごせるよう、さまざまな側面から地域の医療課題の解決に尽力いたします。

当院は、救急をはじめとする地域の医療を守ることこそが存在意義であるととらえています。

新型コロナウイルス感染症の蔓延で社会が混乱した時期でも、当院は地域の医療を守るため可能な限り救急車をお受けしました。その際は新型コロナウイルス感染症の患者さんだけでなく、他の病気で救急医療が必要な患者さんも積極的に受け入れるべきと考え、病院全体で工夫しあいながら力を尽くしました。

当院は、群馬県で屈指の分娩数を誇り、群馬県より地域周産期母子医療センターに指定されています。16床の新生児未熟児治療室(NICU)を有しており、切迫早産や合併症などを伴うハイリスク出産への対応や、小児科との連携で母体・胎児・新生児の状態に合わせた集中的治療をおこなうなど、高度な周産期医療を提供しています。

リプロダクションセンターでは、“不妊に悩む方への特定治療支援事業”の指定医療機関に指定され、副院長の伊藤 理廣医師を中心に取り組んでいます。

また妊娠に伴い、出産や子育てなど多様な悩みを抱え込んでしまう方もいらっしゃいます。そこで当院では、助産師が妊婦さんのご相談に応じる「助産師外来」や妊婦さんとご家族を対象にした出産時指導を行う「パパママクラス」など各種教室をご用意しています。

これからも、総合病院としての専門性を活かしながら、妊婦さんやご家族が安心して妊娠や出産を迎えられるよう、一貫したサポート体制で取り組んでまいります。

消化器・肛門疾患センターは、消化器内科と消化器外科の医師で構成しています。これは、病気の種類や患者さんの状態に応じて、能率的かつ合理的な診療をするためです。

主に消化器内科では病気の早期発見・早期治療を目指して内視鏡検査を実施しています。消化器内科で消化器がんや肛門疾患など外科的処置が必要な病気が見つかれば消化器外科に引き継いで、患者さんに適した手術を行います。

消化器外科では、患者さんの体の負担を減らすために、開腹手術よりも痛みや出血の少ない内視鏡治療や腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。

私自身、消化器外科とくに大腸がんを専門にしていることから、この分野には力を入れており、JCHOグループでも上位に入るほどの実績となったことは誇りに感じています。

今後も、消化器内科と消化器外科での連携体制を取り続けることで、病気の早期発見・早期治療と、患者さんの心と体の負担を軽くする治療の実現を目指します。

患者さんの多くは、初診時や入退院時、退院後の生活など、病気に関連する多岐にわたる悩みを抱えています。当院では、患者さんが抱えるさまざまな悩みにお応えする体制を整備するため、地域医療連携センターを設置しています。

地域医療連携センターは、以下の4つの窓口で構成されています。

地域医療連携センターのスタッフたち

地域医療連携センターのスタッフたち

地域医療連携室

患者さんの受け入れと紹介を行う窓口。セカンドオピニオンにも対応。

医療福祉相談室

病気に関する経済的、社会的な相談にソーシャルワーカーが応じる窓口。

患者支援室

外来から退院まで継続した看護を提供する窓口。介護・福祉領域にも対応。

入退院センター

入退院に関する説明、相談窓口。看護師やソーシャルワーカーなどの専門知識を有するスタッフのほか、薬剤師、管理栄養士、リハビリスタッフ、歯科衛生士などが適宜介入し、入退院にかかわる手続きや説明を一か所で完結するように整備。

お悩みの内容によっては、複数の窓口で協力して患者さんのお悩みの解決を図っています。

患者さんの抱えている不安を少しでも解消できるよう、地域医療連携センター全体で、患者さんのサポートに力を入れていきます。

JCHOグループ病院として、地域に開かれた医療機関であることは当院の願いです。

連携医制度により約750人もの地域の先生方とつながりを持つことができ、患者さんのご紹介・逆紹介では約1万人を超す勢いでしっかりとした連携ができています。

また、地域の方にも気さくな病院と感じていただければと、当院ではさまざまなイベントを行っています。
病院は、医師・看護師をはじめとした医療の専門職が多く働く場所です。そういった人的資源を生かし、地域のみなさんとのつながりを持つことも大切と考えています。頻繁に行っている市民公開講座や、地域のクリニックや福祉施設に当院の専門職スタッフが訪問する指導講習は大変ご好評をいただいています。

当院では、地域の小中高生を対象にした教育活動に積極的に参加しています。
たとえば、地域の学校が行う調べ学習で、医療をテーマにした内容の時は子どもたちが来院して私たちと討論することがあります。内容は、“なぜ日本では無痛分娩が進まないのか”や“人間は不老不死になれるか”などといった興味深いテーマもありました。きちんとした資料で丁寧に調べて考察した内容に対し、私たちも科学的観点から真摯に論議を交わし楽しませていただいています。

病院見学では、医療職以外にもソーシャルワーカーや設備技師などといったスタッフもいることは意外性があったようで、たくさんのお子さんに興味を持っていただけたときは印象的でした。中には“将来外科医を目指す”と言ってくれるお子さんもいて、一人の医療人として頼もしく感じました。

当院は、地域の方が求めるものは、医療に留まらず可能な限り提供する病院を目指しています。そのために、生活支援、健康支援などにも対応できるよう、病院内外との連携を強化していきます。

また、当院が「地域の方が抱える問題が解決できる場」であることを、広く地域の方に知っていただきたいと考えています。今後は、インターネット上での情報発信や市民公開講座の実施などの広報活動にも力を入れていきます。

内藤先生

チーム医療のなかで、若手医師の皆さんにしか担えない重要な役割があります。患者さんは、ベテランの医師に伝えにくいことを若手医師の皆さんに相談します。その相談のなかに貴重な情報が含まれていることも少なくありません。

若手医師の皆さんは、臨床チームの一員として大切な役目を担うとともに、技術や知識の研鑽を積み重ね、患者さんが相談しやすい存在になっていただきたいです。

当院は、お困りのことが生じたときに、地域の方に頼っていただける病院を目指しています。「地域の方が抱える問題が解決できる場」として、地域の方の声に応えるために、どのようなときも地域で生活できるよう、診療や各種サービスを提供していきます。

これからも、医療や福祉など多方面から地域の方を支える病院でいられるよう、新たな試みに積極的に取り組んでまいります。

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  • 独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO) 群馬中央病院 院長

    内藤 浩 先生

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