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心不全の0次予防の重要性——SNSを活用した日本循環器学会の啓発活動

心不全の0次予防の重要性——SNSを活用した日本循環器学会の啓発活動
岸 拓弥 先生

国際医療福祉大学 大学院医学研究科(循環器内科学)教授、国際医療福祉大学 福岡薬学部 教授、医...

岸 拓弥 先生

目次
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脳卒中と循環器病克服5カ年計画」の5戦略のうち、「予防・国民の啓発」戦略では、心不全の0次予防*として、ソーシャルメディアやインターネットを活用した啓発キャンペーンの実施、一般市民へ向けた各種イベントの開催といった啓発教育を推進することを提唱しています。本記事では、日本循環器学会で心不全の予防・啓発をするにあたり、特に工夫している事例とその方法について、国際医療福祉大学大学院医学研究科(循環器内科学)・福岡保健医療学部 教授の岸 拓弥先生にお話しいただきました。

*0次予防:5カ年計画内で提唱された心不全予防対策のひとつで、禁煙、減塩、節酒、運動不足解消などにより、心不全のリスク因子となる高血圧糖尿病などの発症を予防すること

日本循環器学会では、2018年10月より、公式Twitter(@JCIRC_IPR)の本格運用と、ツイートによる情報発信を開始しました。

Twitter上では、「#(ハッシュタグ)心不全」と検索することで「心不全」という単語が含まれているツイートを一覧で見ることができます。ところが、表示される情報には、エビデンスに乏しいと思われるものも少なくありません。この状況を改善しようと、日本循環器学会が公式にTwitterを活用し、多くの方々が「#心不全」で日本循環器学会の公的情報にたどり着けるような仕組みを作ろうと私たちは考え、公式アカウントの本格運用を始めました。

日本循環器学会がTwitterを活用する理由は、「第1次脳卒中と循環器病克服5カ年計画」に則り、心不全による死亡率を5年間で5%減少させることです。将来的には、当学会のTwitterを閲覧した方が、当学会のホームページに掲載される急性・慢性心不全診療ガイドラインにたどり着き、ガイドラインの情報を得られるという一連の流れを確立させることを目指したいと考えています。

5カ年計画については小室先生の記事「今だからこそ、心不全予防の重要性を伝えたい」へ。

TwitterなどのSNSの便利な点は、就寝前にベッドの中で、あるいは通勤中の電車の中でなど、隙間時間に情報収集ができる点でしょう。私は現代社会において、こうした少しの時間で正しい情報を入手できる社会を作る必要があると考えています。

当学会のTwitterアカウントは、情報広報委員と事務局により、1日平均15ツイートの頻度で発信を開始しました。ここでは主に、学会の歴史や最新トピック、ガイドライン、学会誌「Circulation Journal」、海外の注目論文などを紹介してきました。

同年12月下旬にはフォロワー数が1500を超え、日本循環器学会の公式Twitterとして認定されました。また、第83回学術集会(2019年3月29日~31日)開催時には、当日のセッションに関する情報を公式Twitterで発信したり、Twitterを使ったクイズ大会を実施したりと、Twitterを活用した学会運営も積極的に進めました。

米国心臓協会(AHA)、欧州心臓学会(ESC)などの海外の学会は、日本循環器学会が始めるよりも前からTwitterによる情報発信を活発に行っています。たとえば米国心臓協会(AHA)は、学会開催中に発表されたスライドの写真などを特設アカウント上で投稿しており、さらに、リプライ機能を使った、ユーザーたちによるディスカッションが繰り広げられています。オンライン上で資料の共有やディスカッションが行われることで、学会に参加していない方も、学会で発信された内容やトピックに関する情報を得ることができる仕組みが整っているのです。

本格的なTwitter活用を開始して1年経過した2019年10月現在、日本循環器学会の公式Twitterのフォロワー数は5000人を突破しました*。しかし、海外学会が運用するアカウントのフォロワー数は数万人~数十万人*を超えており、当学会のTwitterによる広報活動は、まだごく一部のユーザーにしか浸透していないのが現状です。今後は、Twitterを通じてさらに多くの方に情報を届けられるよう、ツイートを発議とした討論への発展や、継続的運営のための体制整備などを進めたいと考えます。

*フォロー数、フォロワー数に関する数値は現在の実態とは異なる場合があります。

日本高血圧学会も、心血管疾患の最大の原因である高血圧の克服を目指して「日本高血圧学会みらい医療計画」を策定し、タスクフォースとして3本の柱」を掲げています。

医療システム

1つ目は、生涯に渡って活用できる高血圧診療システム(ライフタイムケア)の構築です。具体的には、全国民が、高血圧治療ガイドラインに沿った診療を受けられるような社会を目指すと共に、医師(高血圧治療の経験を一定以上積んでいる医師、地域のかかりつけ医、医療チーム)、関連学会、行政機関、保険者などで連携体制を整え、シームレスな高血圧診療体制を作ることを目指します。

学術研究

2つ目は、研究を推進し、高血圧の予防・予知・制御を可能にする医療を目指すことです。心不全をはじめ、心血管病や認知症など、高血圧がリスクとなるあらゆる病気の予防のためにさまざまな研究を進めることで、病気のさらなる解明と治療法の開発を行います。また、人工知能やビッグデータ、Internet of Human(IoH)を利用したオンライン診療も活用し、高血圧の予防・予知・制御を可能にしていきたいと考えています。ワーキンググループでは、このような高血圧の予防・予知・制御を可能にする医療を「みらい医療」と呼んでいます。

社会啓発

3つ目は、一人ひとりが血圧管理に自発的に取り組む社会を作ることです。一人ひとりの国民が、血圧の把握と自己管理における重要性について理解し、減塩・禁煙・運動といった高血圧予防のための行動を実践できる社会の実現を目指して、血圧の自己管理および生活習慣のセルフケアの啓発活動に取り組みたいと考えています。

さらに、今後は行政機関と連携して、“高血圧ゼロのモデルタウン”の創出を目指します。

日本高血圧学会では、2019年7月より「高血圧ゼロのまち」モデルタウンの募集を開始しました。ここでは、実際に「高血圧ゼロのまち」を目指す自治体を公募し、試験的に「高血圧ゼロ」を目指したさまざまな取り組みを実践していくことを検討しています。具体的に、モデルタウンではコンビニで商品を購入するときやタクシーを利用するときなど、日常生活で多くの方が利用する場面で血圧測定を必須事項に導入し、自分自身の血圧を知るチャンスが多くあるような社会をイメージしています。モデルタウンの取り組みを発端に、社会全体が高血圧予防に対する意識の目を向け、皆さんの健康を保つための取り組みが進むようになることを期待しています。

記事2」でご説明した通り、高血圧心不全の大きなリスク要因です。そこで日本高血圧学会は、「みらい医療計画」を作成し、心不全のリスクとなる高血圧の予防・克服を目指した活動を行っています。「みらい医療計画」では、「医療システム」「学術研究」「社会啓発」という3本の柱を掲げ、2019年現在で4300万人と推定される高血圧の患者数を、10年で700万人削減して、日本人の健康寿命を延ばすことを目標にしています。

私は、この日本高血圧学会「みらい医療計画」を推進するフューチャープラン推進部門の推進委員会副委員長として、この取り組みに関わっています。「記事2」で詳しく述べましたが、心不全は、心不全の発症リスクを正しく理解し、予防・対策を行うことで重症化を防ぐことができる病気です。私は、日本人の健康寿命を延ばすことを目指して、これからも正しい情報を積極的に発信していきます。

1)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会:高血圧治療ガイドライン2019, ライフサイエンス出版, 2019

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