公立藤田総合病院は、救急医療から地域包括ケアシステムまでを広くカバーする病院です。“私たちは患者さん中心の医療を行います”を理念に掲げ、患者さんが自宅近くで安心して最期を迎えられるように、患者さんと最期まで向き合うという病院の姿勢を貫いています。地域の患者さんを支える同院の各診療科の特色、病院システムのIT化と地域連携、働きやすい環境づくりについて、病院長の近藤 祐一郎先生にお話を伺いました。
当院は福島県中通りの北部にある国見町、桑折町、伊達市によって運営されています。地域の人口は80,000人程度(国見町約9,000人、桑折町12,000人弱、伊達市60,000人弱)と減少しており、高齢化も進んでいます(2020年3月時点)。国見町と桑折町の病院数は少ないため、何かあれば最初から当院の外来を受診される患者さんも多くいます。救急車や時間外救急診察を受け入れて手術や入院加療も行っており、高度な治療が必要な患者さんは大学病院との連携で対応しています。さらに当院は初期臨床研修病院であり、初期臨床研修医の教育・育成に力を入れています。
高齢の患者さんは複数の病気を合併していることが多く、急性期の病気の治療が終わっても、日常生活を送りながら治療を継続していくことが必要です。急性期の治療を終えて当院に帰ってきた患者さんが、地域包括ケア病棟で治療を継続することや、地域で療養する患者さんが、具合が悪くなったときに当院で入院加療を行えるように、地域包括ケアシステムの構築を図り、地域のニーズに沿った医療の提供に取り組んでいます。
2018年4月に開設した患者サポートセンターでは、在宅で療養生活を送っている患者さんが住み慣れた自宅で安心して生活するために在宅療養の支援も行っています。
当院は、各種学会の認定指導施設となっております。
腎臓内科では慢性腎臓病を中心に治療を行っており、透析医療も提供しています。腎臓病の早期から透析治療に至るまで一貫して当院で治療が受けられます。
泌尿器科では、前立腺肥大症や前立腺がんなどの腹腔鏡下手術をはじめとする治療を行っています。前立腺がんが進行して骨に転移した場合には、放射線医薬品による骨転移部の治療も実施しています。
整形外科では大腿近位部骨折をはじめとする骨折、股関節や膝関節症、外傷などの手術を行い、リハビリテーション部門と連携して早期回復を促しています。また、スポーツ選手の診療も行っています。
消化器科では、消化器がんの早期診断、内視鏡治療を行っています。内視鏡による胆石治療が可能です。外科では胃・大腸がんの手術、鼠径ヘルニアの手術や腹腔鏡下胆嚢摘出術などを手掛けています。
当院の医師が診療に出向いている近隣の介護施設や希望のあった開業医の方々との間で、電子カルテ、検査データや画像を共有して確認できるようにし、地域の医療機関との連携がスムーズに行えます。
電子カルテ化以外にも、情報システムのIT化を進めて院内でも仕事の効率化を図っています。予約システムを導入したことにより、外来患者さんの待ち時間を減らすことにも成功しています。
タブレット使用により院外でもCTやMRI画像、心電図データを確認できるようにしており、緊急性の高い患者さんが多い脳神経外科や循環器科において、医師が病院以外の場所にいるときでも指示を仰いで治療にあたることが可能です。臨床検査技師、放射線技師が24時間スタンバイしているため、必要となったらすぐに採血や画像検査が可能です。いつでも各種検査を行えることが医師にとっても患者さんにとっても安心材料になっていると思います。
当院ではタイムカードを導入、当直明けは午前中で帰ってもらうなど、長時間労働とならないように勤務時間を管理しています。研修医の先生であっても当直の先生のサポートがあるので、夜中まで残らなければならないことはありません。各診療科間の協力体制も整っていて、働きやすい環境です。
若いうちは最先端のことや難しい手技に目が行きがちですが、患者さんの話をよく聴き、患者さんを1人の人間として尊重しながら診療することが基本だと考えます。医師は患者さんからすれば強い立場であり、逆らいにくい存在に見えてしまうこともあります。患者さんに命令口調で接するのではなく、同じ立場に立って共感しようと努め、支えていくことが大切です。患者さんの話をよく聴きながら技術を高めていけるように心がけると、よい医師になれるのではないでしょうか。
高度な医療を提供することも大切ですが、私の理想は患者さんが安心して人生の最終段階を迎えることができるようしっかり支える病院となることです。完全には治らない病気もたくさんあります。それでも最期まで患者さんを診ることが医師の使命だと思っています。患者さんとのつながりができ、診療に納得して満足していただき、「最期に先生に診てもらえてよかった」と喜んでいただく。当院はそれを叶えられる病院であり続けたいと願っています。
今ではこの“最期まで患者さんと向き合う”という考え方がスタッフにも浸透しつつあります。もう一皮むけて患者さんにとってさらによい病院となれるように、これからもスタッフ一同頑張っていきたいと思います。
元気なときに家族と自分の最期をどこでどう迎えたいかを考えてほしいなと思います。「ぽっくり死ぬ方がよい」と言われる方もいらっしゃいますが、そうなると残された人が困る場合も少なくありません。当院では訪問診療も行っているので、ご家族の自宅で看たいという要望にお応えすることも可能です。
万が一病気になってどうしようもなくなってしまう前に、ご家族がいる方も一人暮らしの方も、どういう形で最期を迎えたいのかを一度考えておいてほしいと思います。
人口も少なく、1市2町という狭い地域に建つ当院だからこそ支援も細やかに行えます。当院は皆さんに寄り添いながら、ご希望に沿った療養ができるようにお手伝いをいたします。
公立藤田総合病院 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。