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肋間神経痛の対処方法とは?~治療薬の種類や、市販薬の効果~

肋間神経痛の対処方法とは?~治療薬の種類や、市販薬の効果~
北原 雅樹 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター ペインクリニック 診療教授

北原 雅樹 先生

目次
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肋間()神経痛(ろっかんしんけいつう)とは、肋骨(ろっこつ)周辺に張り巡らされた“肋間神経”が刺激を受け、胸に痛みが生じることをいいます。肋間神経痛には“続発性肋間神経痛”と“原発性肋間神経痛”があり、それぞれで対処方法が異なります。

本記事では、肋間神経痛を疑う症状が現れたときの対処方法について詳しく解説します。

肋間神経痛の治療法は原因によって異なります。

損傷・圧迫・感染などによって肋間神経に生じている、原因が明らかな肋間神経痛を“続発性肋間神経痛”といいます。

肋骨の骨折や開胸手術などが原因で肋間神経が損傷したことによって生じる肋間神経痛では、プレガバリンやガバペンチンなどの抗てんかん薬を内服することによって症状の緩和が期待できます。

また、変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)胸椎椎間板(きょうついついかんばん)ヘルニアなど脊椎の病気により肋間神経が圧迫されている場合の肋間神経痛では、抗てんかん薬や抗うつ薬などによる薬物治療や、リハビリテーションなどの運動療法が検討されます。

さらに、帯状疱疹(たいじょうほうしん)()によって肋間神経に感染が生じている場合の肋間神経痛では、抗ウイルス薬の投与や痛みを抑えるための薬物治療や神経ブロックなどが検討されます。また、帯状疱疹による肋間神経痛を予防するには、ワクチン接種が有効です。特に50歳以上の方は、帯状疱疹による皮膚症状が治まった後も痛みが続く“帯状疱疹後神経痛”にかかるリスクが高くなります。そのため、ワクチン接種を行い、免疫を高めることで予防しましょう。

原因が明らかではない肋間神経痛を“原発性肋間神経痛”といいます。

原発性肋間神経痛や、上で述べた治療を行っても改善がみられない続発性肋間神経痛では、対症療法として神経ブロック治療が検討されます。神経ブロック治療とは、痛みの原因となる神経に局所麻酔薬を注射することによって痛みを和らげる治療方法です。ステロイドを使用することもありますが、多用するとさまざまな弊害を引き起こすため、症状の強い時期のみ使用し、常用はしません。

特に原発性肋骨神経痛の場合、できる限り初期からこの治療を行うことによって、痛みを和らげることが期待できます。一方で、続発性肋骨神経痛では、効果を示さない傾向があります。

神経の損傷・圧迫などによる続発性肋間神経痛は、上半身を動かしたり、ねじったりすることによって痛みが強くなることがありますが、適度に体を動かすことにより痛みが和らぐ場合もあります。そのため、体調が極端に悪いときを除いては、医師や理学療法士の指導の下、適度な運動を取り入れることを心がけましょう。

原発性肋間神経痛の場合には、痛みが慢性化すると痛みへの過剰な不安が神経系に刺激をもたらし、さらに痛みを増強させてしまう恐れもあります。そのため、痛みの発作が続けて起きるときは、治療によって痛みをなるべく早く抑えることを意識しましょう。また、発作が落ち着いているときは、痛みを恐れ過ぎないよう心がけ、痛みの原因となるようなストレスを避けながら、通常どおりの生活を送るように心がけることが大切です。

肋間神経痛は、市販薬の鎮痛剤を服用しても効果がないことが一般的です。ただし、原発性肋間神経痛と思っていたものが筋けいれんによる痛みであることがあり、その場合は消炎鎮痛剤を服用することによって痛みが和らぐ可能性もあります。

肋間神経痛の場合には、原因に応じた治療をしないと改善がみられない場合もあるため、市販薬で様子を見るのではなく、病院の受診を検討するようにしましょう。

肋間神経痛は原因が分からないものもあり、一度症状が和らいでも再発する可能性があります。そのため、治療後も胸や背骨などに負担のかかりにくい姿勢をするように心がけるほか、原発性肋間神経痛の原因の1つと考えられるストレスを軽減するよう心がけましょう。ウォーキングなどの軽い運動は脊椎を支える筋肉などの老化を防ぎ、肋間神経痛の原因となる脊椎の病気を予防できるほか、ストレス解消にもつながるため効果的といえるでしょう。

肋間神経痛は原因によって治療方法が異なります。また、中には肋間神経痛と思っていた胸の痛みが気胸狭心症、肋骨の骨折などの別の病気によるものである可能性もあります。そのため、気になる症状があった場合に自分判断で対処するのではなく、病院を受診することが大切です。病院では検査によって痛みの原因を探り、原因に合わせて適切な治療が行われます。

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