概要
肋間神経痛とは、肋骨の下を走る神経に何らかの原因で痛みが生じることです。肋間神経痛自体が一つの病気なのではなく、あくまで原因となる病気や外傷、解剖学的な異常が引き起こす症状のひとつとして捉えられています。
肋間神経は、12個ある胸椎の間から左右に対となって出て各肋骨の下を走り、胸壁と腹壁の筋肉や皮膚の運動・知覚を司っている末梢神経です。肋間神経痛は5~9番目の肋間神経に生じることが多く、通常は左右のうち一側に起こるものです。
症状の程度や現れ方は原因によってさまざまですが、特に病的な異常がない原発性肋間神経痛と、何らかの病気に起因する続発性肋間神経痛に分けられます。
原因
肋間神経痛は大きく2つに分けられますが、それぞれの主な原因は以下の通りです。
原発性肋間神経痛
病気や外傷、解剖学的な異常がないにもかかわらず発症します。ストレスによるものが多いとされていますが、不適当な姿勢を長時間続けることで肋間神経が骨などによって直接刺激されて発症することもあります。
また、筋肉のコリによって発痛性物質が放出されて痛みを引き起こすことも知られています。
続発性肋間神経痛
何らかの病気や外傷、解剖学的な異常によって生じるものです。さまざまな原因がありますが、それぞれ以下のようなことが原因として挙げられます。
多くは、肋間神経を直接刺激することで発症します。一方、帯状疱疹は、ウイルス感染によって生じ、通常は皮疹を伴いますが肋間神経痛だけが生じることもあります。
症状
特定の肋間神経に生じる痛みであるため、その肋間神経が支配する筋肉や皮膚の領域のみの痛みが生じます。痛みは非常に強いことが多く、広範囲ではなく、範囲が限られた痛みであることが特徴です。
原発性の場合は、強いストレスを感じたり、肩や背中が凝っているときにズキズキとした痛みを感じたりします。症状は発作的で、比較的早く治まるのが特徴です。
一方、続発性の場合は、上半身を動かしたり、前かがみになったりしたときに肋間神経への圧迫が強くなって非常に強い痛みが生じます。また、帯状疱疹ではピリピリとした表層部の痛みが生じ、特有の皮疹を伴わないことも多いです。
検査・診断
肋間神経痛が生じた場合には、まず病的な原因がないかを検査します。主に行われるのは以下の画像検査です。
レントゲン検査
肋骨や脊椎の骨折、腫瘍などの異常を評価できる検査です。しかし、肋骨骨折はレントゲン検査でははっきりわからないことも多々あります。他にも、肺炎や肺がんなどの胸郭内病変を発見することが可能です。
CT検査
肋骨や脊椎、胸郭内の病変を詳しく観察できる検査です。レントゲンではわからない骨折を発見することもできます。
MRI検査
椎間板ヘルニアなどの脊椎病変を観察できる検査です。椎間板の圧迫や脱出などを詳しく評価することが可能です。また、脊椎にある病気の治療方針を決めるうえでも重要な検査となります。
また、肋間神経痛は胸壁や腹壁に痛みが生じるため、画像検査で明らかな異常がない場合には狭心症などの心疾患や消化器病変がないかを調べるために、心電図検査、心臓超音波検査、血液検査、内視鏡検査などが行われることもあります。
治療
軽度~中等度の肋間神経痛は、消炎鎮痛剤など内服や湿布によって改善することが多いです。リハビリや運動療法が並行して行われることもあります。
続発性の場合には原因となる病変の治療が必要となり、それぞれに適した手術や患部の固定、服薬治療などの治療が優先して行われます。特に帯状疱疹は早期から抗ウイルス薬を投与しないと症状が長引くことがあるので注意が必要です。
また、原発性や原因疾患の治療が困難である続発性のなかで、内服治療によっても痛みが改善しない場合には、肋間神経ブロック注射が行われることがあります。これは、原因の肋間神経に麻酔薬とステロイドを直接注入して痛みを麻痺させる効果が期待できるものです。
「肋間神経痛」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「肋間神経痛」に関連する記事
- 肋間神経痛の対処方法とは?~治療薬の種類や、市販薬の効果~横浜市立大学附属市民総合医療センター ペ...北原 雅樹 先生
- 肋間神経痛の症状をチェック〜原因によって痛み方の特徴やタイミングが異なる〜横浜市立大学附属市民総合医療センター ペ...北原 雅樹 先生
- 肋間神経痛の原因には何があるの?~続発性・原発性で原因が異なる~奈良県立医科大学附属病院 ペインセンター...渡邉 恵介 先生
- 肋間神経痛の治療にはなにがあるの?〜薬の種類や、薬で改善されない場合の治療とは〜順天堂大学 医学部 麻酔科学・ペインクリ...井関 雅子 先生
- 肋間神経痛とは?〜背中から胸にかけて痛みが走る症状と、痛みに対する治療の種類〜横浜市立大学附属市民総合医療センター ペ...北原 雅樹 先生
関連の医療相談が53件あります
原因不明の痛みが続いています
長年、背中と腰の間(左右)、胸(肺の下あたり)が筋肉痛のような痛みが続いています。処方された薬では全く治まらず、年々痛みの箇所が広がっている感じがします。レントゲン、MRIでは以上なしと言われますが、痛みがひどく、起き上がったり、立ち上がる際に激しい痛みがあります。
肋骨、脇腹の痛み
2ヶ月程前にサーフィンをしている時に肋骨、脇腹を痛めました。1週間くらいは重いものを持てず、咳やくしゃみでも痛みが出ていたため、整形外科を受診しレントゲンを撮りました。骨には異常はなく痛み止めと湿布を2週間分処方して頂きました。多少痛みは引きましたがそれでもまだ手でおさえた時の痛みや寝返り時の痛みも続いたため、ペインクリニックで再度診察して頂き、ヒビが入っていないかなどの検査もして頂き特に異常はなく、痛み止めと湿布を再度処方してもらいすべて使い切りました。 2ヶ月たった今でも、当時よりかは痛みは引きましたが手で軽く抑えると鈍痛のようなものがあります。このまま経過観察なのか再度医療期間へ行った方がいいのかわからず相談させて頂きました。
膝、肘、肩、鎖骨、指リンパ?血管の痛み
症状は高校生くらいの時からです。 週に1〜3回必ずきます、 朝から痛い時と途中から痛くなる時があります。 リンパなのか血管なのか 腱鞘炎のような激痛が走ります。 箇所はリンパのところがからジーンと痛いです。 痛くてじっとしてられないのでついマッサージや触って押してしまいます。 ひどい時は仕事に支障をきたしてしまうので、 痛み止めを飲んでしまいます。 特に腫れたりしこりがあったりしてる訳ではないのですが、激痛です。 必ず左右どちらかにくるのですが、 左だと左半身が痛い、 右は右という必ず片方どちらかにきます、 腫れてもないので特に以上はないのでしょうか? リンパなのでしょうか?
背中の疼痛
右側肩甲骨と背骨の間から胸の方にかけてズキンと痛みがあります。 毎日ではありませんが、不定期で痛みます。 我慢できない程ではないので放っておくと2〜3日で治まります。 治まるので放っておいてましたが、何度も再発するので心配になってきました。 受診した方がいいでしょうか? 何科に行けばいいでしょうか?
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。