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肥満症とはどんな病気?~肥満・メタボリックシンドロームとの違いや受診の目安~

肥満症とはどんな病気?~肥満・メタボリックシンドロームとの違いや受診の目安~
金城 瑞樹 先生

神奈川県内科医学会 幹事、糖尿病対策委員、大和市医師会内科医会 会長、横浜市立大学医学部 臨床...

金城 瑞樹 先生

朝倉 太郎 先生

鶴間かねしろ内科クリニック 院長

朝倉 太郎 先生

目次
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厚生労働省が出している“令和元年 国民健康・栄養調査報告”によると、20歳以上の肥満の方の割合は男性が33.0%、女性が22.3%とされています。肥満とは、太っている(正常以上に脂肪が体内に蓄積されている)状態を指し、病気ではありません。しかし、この状態が悪化すると、治療を必要とする“肥満症”という病気になってしまう可能性があります。本記事では、肥満症とはどのような病気なのかについて詳しく解説します。

肥満症とは、肥満に起因して健康障害を引き起こしている、または健康障害を引き起こすリスクが高い状態のことを指し、適切な治療が必要な状態です。ここでいう健康障害は大きく分けて、脂肪細胞の質的異常によるもの(糖尿病高血圧症脂質異常症動脈硬化症、脂肪肝肝硬変、月経異常など)と、量的異常によるもの(変形性関節症など整形外科疾患、睡眠時無呼吸症候群)があります。

肥満症と似たものに “メタボリックシンドローム”がありますが、肥満症とは別のものとして扱われ、診断基準が異なります。肥満症とメタボリックシンドロームの診断基準は以下のとおりです。

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肥満症とメタボリックシンドロームの診断基準

BMI25以上の方は、医療機関の受診を検討しましょう。

医療機関では、肥満からくる健康障害がないかどうか検査を行います。また、まれですが内分泌性肥満などの病気が原因の場合もあるため、肥満が何らかの病気からくるものでないか鑑別することも必要です。現段階で健康障害がない場合でも、腹囲を測り、内臓脂肪の蓄積があると判断されると腹部CT検査で内臓脂肪の状態を確認します。

肥満症を放置していると、糖尿病高血圧症変形性関節症などの健康障害が悪化し、さらなる悪循環を招くことがあります。そのため、増えすぎた脂肪を減少させ、代謝などを正常な状態に近づけることで、健康障害を改善し、新たな健康障害を予防する必要があるといえます。

肥満症で行われる治療には、栄養療法、運動療法、内科的治療、外科的治療が挙げられます。一般的にはまず栄養療法や運動療法が検討されます。しかし、改善が見込めない場合やリスクが高い状態である場合(“BMIが25以上ですでに2つ以上の健康障害のある方”や“BMIが30以上で1つ以上の健康障害のある方”)、内科的治療として薬物療法が検討されることがあります。

さらに、BMIが40以上の方やBMIが35以上で健康障害を抱えている方は“病的肥満症”ともいわれ、そのまま放置してしまうと健康障害によって命を落とす恐れもあります。そこで、内科的治療などで改善が見込めない場合は、減量手術が検討されることもあります。現在日本で行われている外科手術としては、食事量を減らすための胃切除術や、栄養の吸収を抑える胃バイパス手術などが挙げられます。

治療の詳細については、次の記事で解説します。

肥満症は欧米を中心に世界的に増加傾向にあり、日本でも年々増えています。肥満症は放置するとさらに悪循環を招くうえに、健康障害に伴って平均寿命が短くなるという報告もあるため、軽く考えずに治療を受けることが大切です。

医療機関は減量のための多くの手段を持っています。食事を抜くダイエットなど自己判断で対策を講じてしまう方もいますが、誤った対策を講じてもかえって脂肪が増えてしまう恐れがあるため、まずは医師に相談してみましょう。

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  • 神奈川県内科医学会 幹事、糖尿病対策委員、大和市医師会内科医会 会長、横浜市立大学医学部 臨床教授、東林間/鶴間 かねしろ内科クリニック 理事長、杏林堂クリニック 院長

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